個別株取引で、稼ぐためには銘柄選定よりも先に「売買タイミング」を学ぶことが、大切な投資資金を守り着実に成果を出す上で最も重要です。
本記事では、要点の解説と、オニール流を用いて、最近のチャートの例を分析していくことで、より分かりやすく「買ってはいけないとき」を吸収できます。
買ってはいけないときー!!
ベース形成中
上昇トレンドでの買いタイミングのほとんどは、
「ベース形成後の出来高急減 → 出来高急上昇 × 新高値をつけたとき」が基本とされています。
しかし、ベース形成中の買いは成功する確率が低いため、推奨されてはいません。

株価が上昇する可能性が最大になったときに買うことが目的だから。
株価が9W(週)連続で、10WMA(週移動平均線)の下にあるときに、ファンダメンタルズ条件がほぼ同じだと、成功確率は30〜40%しかない。

株価が上昇中で、きちんとしたベースからブレイクアウトして新高値に近づいているときは、強気相場なら60〜70%の成功確率になる。
株価が下落している時に買いたがる人がほとんどだが、それが損失を多く出す要因となる。
例えば下のチャートの場合、カップウィズハンドルをつけ上昇するのと、ダブルトップをつけ大きく下がっていくのとでは天と地の差です。

出来高が多いのに〇〇
出来高が多いのに株価下落
出来高が多いのに株価下落(週足で5週間ほど観察)する場合は、買ってはいけない!

出来高が多いのに失速
出来高が多いのに2週連続で値幅の下半分で引ける場合は、買ってはいけない!
これは、「買い圧力 < 売り圧力」という状態で売り抜けを意味しています。

しかし、実際のチャートでは、下のような分かりずらいものが多く、「上ヒゲ」のような分かりやすい綺麗なサインはあまり見つけられません。

〇〇なのに出来高が薄い
ブレークアウトなのに出来高が薄い
ブレークアウトしたのに出来高が薄い場合は、買ってはいけない!
下のパターンは、前週より出来高が薄いのに高値ブレークしています。

新高値なのに出来高が薄い
新高値なのに出来高が薄い場合は、買ってはいけない!


3〜4回目のベース
3〜4回目のベースでは、 買ってはいけない!

ベースが短すぎる場合
3〜4週間ではベースとはいえず、ベースが正しく形成されないまま上昇した場合、買ってはいけない!

ただし、3〜4週間で買いの例もあります。
(1959年:アメリカンフォトコピーエクイップメント=p49、ベース3週間)
(1963年:ナショナル航空=p52、ベース4週間)
ベースの安値が切り上がる場合
ベースの安値が切り上がる場合、だましの場合が多く買ってはいけない!
ただし、新高値で出来高増加で買いの例もあります。
(1986年:アドビシステムズ=ADBE)
(1967年:スカイシステムズ=×p62)
強気相場では右肩上がりのベースぽいものも現れます。平底型の強気版といったところでしょうか。

締まりのないベース
締まりのないベースは買ってはいけない!

ただし、稀に締まりのないベースでも成功する例もあり分かりずらいです。。
(1970年:ライドエイド=RAD)
(1983年:ウォールマート=WMT)
(1975、76年:シーコンテナーズp68)
(1971年:ライドエイド=RAD)
(1968年:ロウズ=LOW)
(1966年:モノグラム・インダストリーズp58)
(1959年:テキサスインスツルメンツp46)

市場調整中
一気に上がり、まだ市場調整中なのは明らかな場合、買ってはいけない!
ルールに満たないとき
安い株
10ドル以下の安いガラクタ株は買ってはいけない。
- NYSEならば、20〜300ドルの株価。
- NASDAQならば、15〜300ドルの株価を中心に買う。
大化け銘柄のほとんどが30ドル以上のベースから現れる。
EPS(一株当たり収益)
以下のような成長をしている銘柄以外は買わない。
- 過去3年間、年間のEPS(1株当たり収益)が毎年最低25%上昇
- 毎年のEPSの見通しが25%以上上昇
- 直近2〜3四半期のEPSが大幅に上昇
(最低25〜30%、強気相場では40〜500%。高い程よい) - 年間キャッシュフローが20%以上か、EPSの伸び率以上。
売上増加率
以下のような成長をしている銘柄以外は買わない。
- 直近3四半期の売上増加率が毎期上昇
or - 直近の売り上げが最低25%以上上昇
ROE(株主資本利益率)
以下のような成長をしている銘柄以外は買わない。
- 17%以上の銘柄を買う
- 一流銘柄のROEは25〜50%のはず
レラティヴ・ストレングスの悪化
レラティヴ・ストレングスが悪化するのも売りのサイン。
「インベスターズ・ビジネス・デイリー誌」のレラティヴ・ストレングス指数が70以下に下がったら売りを検討。
40〜60台の銘柄は買ってはならない。
「Investors.com」では各銘柄のページで確認可能です。

「Market Smithソフトウェア」では、赤枠のところで確認することができます。

参考までに、ウィリアム・オニール著「オニールの成長株発掘法」では次のように解説されています。
レラティブ・ストレングス指数とは、「インベスターズ・ビジネス・デイリー」紙が独自に開発した評価法で、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの値動きと過去52週間にわたり比較するもの。
そしてその評価として各銘柄に1〜99の数値が割り当てられる(Max99)。
例えば、
レラティブ・ストレングス指数が99の場合は、その銘柄の値動きは市場全体の99%の企業を上回ったことを意味している。
レラティブ・ストレングス指数が50の場合は、市場の銘柄の半分がその銘柄よりも良い値動きをし、残りの半分が悪い値動きだったことを意味する。
1950〜2008年の最高の値動きを示していた銘柄の、平均値は87。
出典元:ウィリアム・J・オニール著「オニールの成長株発掘法【第4版】」
レラティヴ・ストレングスの低い銘柄
レラティヴ・ストレングスが悪化するのも売りのサイン。
「インベスターズ・ビジネス・デイリー誌」のレラティヴ・ストレングス指数が70以下に下がったら売りを検討。
40〜60台の銘柄は買ってはならない。
確認方法は、先ほどの項と同様です。
参考までに、ウィリアム・オニール著「オニールの成長株発掘法」では次のように解説されています。
レラティブ・ストレングス指数とは、「インベスターズ・ビジネス・デイリー」紙が独自に開発した評価法で、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの値動きと過去52週間にわたり比較するもの。
そしてその評価として各銘柄に1〜99の数値が割り当てられる(Max99)。
例えば、
レラティブ・ストレングス指数が99の場合は、その銘柄の値動きは市場全体の99%の企業を上回ったことを意味している。
レラティブ・ストレングス指数が50の場合は、市場の銘柄の半分がその銘柄よりも良い値動きをし、残りの半分が悪い値動きだったことを意味する。
1950〜2008年の最高の値動きを示していた銘柄の、平均値は87。
出典元:ウィリアム・J・オニール著「オニールの成長株発掘法【第4版】」
そのほか
以下のような成長をしている銘柄以外は買わない。
- 適切な銘柄ランキングの上位であるべき
- EPS、売り上げ増加率、ROE、利益、製品の優位性の観点からその分野で1位の企業であるべき
- レラティブ・ストレングス指数が85以上
- 1日の平均出来高が数十万株以上あるものを中心に選ぶ
配当金やPER(株価収益率)を基準に株を買ってはならない。
チャートを読み適切なベースと正確な買いポイントを見極められるようになること。
起業家精神にあふれた「新しいアメリカ」を象徴する(IPOから10年以内)企業を中心にポートフォリオを構成する。

人それぞれですが、まずは基本のフォームを身につけ、
自分流の投資術を見出すことが大切だと思います。
オニール本とは、投資家にとっては教科書的なバイブル本として有名です。
その情報量もさることながら、120年分の株式市場から分析した内容になっていますので4000円という価格以上の知識がつまっていると思います。
これは書籍であるとともに、この理論により作られた「Market Smith 株式チャート分析 ソフトウェア」の説明書にもなっています。
本書は、題名からはファンダメンタル中心の内容かと思いつつ、実は7割方は売買タイミング(テクニカル分析)の詳細な解説が実際の豊富チャートをもとになされています。