米国株を買うなら円高か円安か?
長期投資のリスクは、大きく分けると下記の2つがあります。
- 株価変動リスク
- 為替変動リスク
米国株に投資するときに、気をつけたいのが為替相場です。
なぜなら、いくら長期保有の経費率を気にしていても下記のように為替で大きく差がついてしまいます。
ドル円の相関関係は表のようになります。
為替 | ドル円 | 100万円→USD | 1万USD→円 |
---|---|---|---|
円安ドル高 | 110円 | 9,091USD | 110万円 |
↕︎ | 100円 | 10,000USD | 100万円 |
円高ドル安 | 90円 | 11,111USD | 90万円 |
つまり、ドル円相場が「たった1円」変わるだけで100万円換金であればの1万円前後の差が生まれてしまいます。「10円」だと10万円前後です。
- 円からドルを買うときは「円高」の時
逆に、ドルでの収入を円に変換する場合は、下記のタイミングがお得になってきます。
- ドルを円に戻すときは「円安」の時
これを知ったら、円をドルに変換するときに、毎回お得なタイミングでドルを買付たくなると思います。
しかしながら、円高を待っているといつまでも投資できない、機会損失の恐れがあります。
以上のことから、米国株投資家には2つの選択肢があります。
- 稼ぐ力、資金力を向上し、為替変動を気にしない。
- コツコツとチリツモ感覚で円高になったタイミングで円建投資用資金からドルの買付を行っておく。
運用金額の大きいく投資期間の長い長期投資では、1%の差がのちに大きくのしかかってきます。そのため、ドルが安く買えるタイミングを見極めるための知識を持っておくことが大切です。
円安になる場合、円高になる場合
円高、円安要因の比較
今後、円安か円高かどちらに振れるのか、100%はわかりませんが、下記のような材料から総合的に推測します。
円安になる要素
- YCC導入はもうちょい後
- リスク回避の円買いは「先」
- 輸入以上に輸出が激減
- そのほか ストラテジストの意見
円高になる要素
- 金利差が無くなってきたから
- 世界1位の対外純資産国
- リスクオフによる円高
- 過去10年間の対外投資が巻き戻される!?
円安になる要素:解説
YCCとはイールドカーブ・コントロールのことで、「長短金利操作」とも呼ばれ、FRBや日銀が導入した金融政策のひとつです。これにより、長短の金利の動きを適切な水準にコントロールを行っていて、FRB(米国)が導入すると投機目的やリスク回避の意味でドル売り、円買いが進み「円高になる」。2020/7/6現在YCCの導入は見送られていて円高にはならない=円安方向。

有事の際の株価が暴落する局面では、株や不動産、債権が売られて現金化する動き(リスクオフ)が起きます。その時、下記のような項目に買いが集中すると言われています。
- 日本円
- スイスフラン
- 金(ゴールド)
反対に2020/7月現在の株価のように経済や景気予想がよく株に買いが集中すると、ドル高円安になります。

輸入よりも輸出が多くなると、円を売ってドルを買う動きの方が多くなるので必然的に「円安」に振れます。しかしながら、2008年以降は一概に貿易収支の動きが為替に直結しなくなってきているので、この考え方には注意が必要です。
為替ストラテジストによると、「リスクオフ」への反応が小さくなり先行きに期待できるとのことから、2020年7〜9月期のドル円は「1ドル113円〜114円」との予想を維持していますが、こういった考え方もあるのかなといった程度に留めておくだけでいいでしょう。
円高になる要素:解説
- 米国株式指数が下がっている場合、円高になる傾向
=株式が暴落したら、米国株を買うと2重にお得
上記のように米株価が下落すると、円高になる傾向がありますが、その理由を下記に説明します。
日本と米国の政策金利(短期)の差はリーマン・ショック時の金利差(日本-0.1%:米国2.5%)から減少しています。(日本-0.1%:米国0.25%)2020/7月

リーマン・ブラザーズが破綻した2008年9月までは金利差が約5.0%もありました。
その時は、金利の高い米債権を買う動きが強かったので米ドルを買う=円安の傾向がありましたが、現在はその機会がなく円高になりやすい状態と言えます。
同様のことが長期金利(米国10年国債利回り)の低下からも言えます。

日本円は、世界1位の対外純資産国として広く知られています。対外純資産国とは、国同士の借りているお金と貸しているお金の収支で、世界で最も負債の多い米国(ー1,077兆円)に対して日本は+341兆円となっているので「世界から見るととても信頼のできる国」となり、円の信用が高くなります。

コロナショックの感染者数の増加は、2020/7月現在世界的に留まっておらず、いまだに景気悪化懸念があることから「リスクオフ」へ動く可能性があります。
日本の企業は過去10年間、国内の金利が低く利益がでにくいため海外の会社をM&A買収して海外への投資を増加させてきました。

しかし、コロナショックによる経営基盤の建て直しが進められると、これまで10年間行ってきた海外投資が巻き戻される懸念があります。
もちろん、株や債権と違って企業の売買には時間がかかるため、今はその姿をほとんど表せていませんが、今後は海外への投資が引き上げられて国内への引き上げが進むと「ドル売り円買い」の動きになり「円高」に振れると考えられます。
結論:円高になるとしても1ドル100円までと考えています。
下記の理由から、円高になるとしても1ドル100円までと考えています。
- 新型コロナウイルスの更なる拡大予想
- 米国がYCCの選択肢を残している
- 海外M&A撤退予想
- S&P500などの米株指数が高値を超えてこない
- コロナショック暴落時にも、100円を割ることが無かった
- 2020/6月S&Pによる日本国債の格付けを「ポジティヴ」から「安定的」引き下げ

あくまで予想ですので、為替を気にしすぎるて円高を待って米国株投資への機会損失にならないように注意しましょう!