
長期投資をしようと思っているけど、最近株価の変動が大きくって、いつ買ったらいいかわからないなー

経済の動向、企業業績、いろんな噂話などたくさんの情報が溢れているので混乱してしまいますね。
基本的に長期投資はいつ買い始めても、定期的に積み立てていけば問題ありませんが、株価の上下動が大きいときには下記の方法がオススメです。
- 毎月1日など決まったタイミングで定期的に積み立て、株価は気にしない
- 定期積み立てしているが、株価が上昇トレンドの時に多く買う
ドルコスト平均法として知られる1.の投資方法に固定してもいいですが、2.の効率的に株価が下がったタイミングで積み立てられれば、より早い資産形成に繋げられる可能性があります。
この記事では、「2.定期積み立てしているが、株価が上昇トレンドの時に多く買う」手法について解説していきます。
長期投資テクニカル分析の種類
世の中には、1000以上のテクニカル分析方法があると言われていて、それぞれの使い方も人さまざまです。
その中でも、これだけは知っておくべき、厳選した長期投資向けの9種類のテクニカル分析手法を解説します。
- 移動平均線を使ったシンプル分析法
- 最強の!?ゴールデンクロス(75MA,200MA)
- VIX指数
- MACD(マックディー)
- RSI
- ストキャスティクス(Stock)
- 一目均衡表
- ボリンジャーバンド(BB)
- フィボナッチ数列(フィボナッチ・リトレースメント)
移動平均線を使った分析方法
移動平均線とは
- クロストレンドで上昇局面か下落局面かトレンド転換を判断する
- 下落トレンド時は下値抵抗線として、上昇トレンド時は地合いの強さを表します
移動平均線とは、単純に日数の終値の平均値(点)を結んで平均線(線)にしたもので、通常下記の3つを使います。
- 短期 = 25 SMA
- 中期 = 50 SMA
- 長期 = 200 SMA

上図の日足チャートをみても分かる通り、弱い地合い(下落トレンド)ではチャートは25MA、50MAの「下」を推移し、強い地合い(上昇トレンド)では25MA、50MAの「上」を推移します。
使い方などは、下記のページで詳しく説明しています。
VIX指数とは
VIX指数とは、別名:恐怖指数として知られています。
文字通り、株式市場の恐怖感をチャートに表したもので、未来の市場のトレンドを読んで投資タイミングの判断をするときに使われます。
VIX指数は、ボラティリティ(チャートの上下動:変動率)の激しさに連動します。
下のチャートはVIX指数とS&P500指数を並べたものですが、VIXと株価には相関関係があります。直近20年間で、VIX指数が「80」を超えたのは、2008年リーマンショックと2020年コロナショックです。

使い方などは、下記のページで詳しく説明しています。
MACD(MACD)
MACDは「Moving average Convergence/Divergence Trading Method」の略称で、日本語に訳すと「移動平均・収束拡散トレード法」と呼ばれます。
「MACD」とは簡単にいうと移動平均線を元にしたテクニカル分析指標で、数あるテクニカル分析手法の中でも、 特に使用頻度・重要度の高い指標です。世界中のトレーダーがMACDを1つの指標にして取引を行っています。
MACDのルーツは移動平均線からきており、1979年にジェラルド・アペル氏によって開発されたテクニカル分析です。
MACDで用いられているのは単純移動平均線 (SMA) ではなく、指数平滑移動平均線 (EMA) が用いられています。特徴としては、 二本の移動平均線が離れたりくっついたりする様子からトレードを分析するために活用します。
MACDのメリット
MACDのメリットは以下の4つあります。
- 通常の移動平均線よりも直近の相場を重視しているので短期トレード向き
- MACDラインとシグナルラインのクロスで投資行動すべきタイミングがわかる
- MACDラインからシグナルラインを引いたヒストグラムがMACDから物事を判断しやすくなる
- ダマシが少なくテクニカル分析初心者におすすめしやすい
ゴールデンクロスラインやデッドクロスラインなど、トレンド時にMACDを使用することによって他のテクニカル分析による売買シグナルより、 エントリーするタイミングなどを図る指標となるのが大まかなMACDの魅力です。
MACDの見方
MACDをチェックすることで売買すべきタイミングがわかります。まずはMACDの基礎を3つに分けて解説します。
⑴MACDの見方:ゴールデン・クロス/デッド・クロス

MACDにはゴールデンクロスラインとデッドクロスラインと呼ばれている売買シグナルがあり、上昇トレンドと下降トレンドと下降トレンドの発生を表しています。
MACDが平均であるシグナルの線を上抜ける・下抜けることによって最近の相場が平均から外れ、相場の転換を意味しています。
また、 ゼロライン下でゴールデン・クロス上でデッド・クロスが起こることによって信頼ができる売買シグナルとなります。
⑵タイミングを示すシグナル強さや条件

MACDにおける①0ラインを基準にしましょう。 ②ゴールデンクロスは0ラインの下部で線が交差すること、③デッドクロスは上部で交差することを意味し、売買シグナルの条件になります。
クロス時の2本の線が急な角度であるほど価格変動に勢いがあると判断でき、これが売買シグナルの強さになります。④もゴールデンクロスに見えますが交差角度が緩く、売買シグナルには至らないように見えます。
MACDでは、ゴールデンクロスライン・デッドクロスラインの売買シグナルから取引の判断を行います。
⑶0ラインブレイクアウト

線が2本とも0ラインを超えたら買いのチャンスです。これが①0ラインブレイクアウトです。上がったところで②デッドクロスしそうなところで売れば確実な利益を得られます。
0ラインブレイクアウトは上昇トレンドを確実に確認するための目安です。このときにMACDとシグナル2つのラインが離れることが、その銘柄が旬であることを示しています。
トレンド発生のサインが明確なので、テクニカル分析初心者にとっても取引すべきタイミングをキャッチしやすいです。
MACDの設定

MACDの発案者であるジェラルドアペル氏の推奨パラメータ設定は、画像の3通りあります。(短期8 18 6/中期12 26 9/長期6 13 4)
機関投資家のアルゴリズムの多くは、中期12 26 9を使用していることから、まずは中期を設定してトレンドが読みにくければ、パラメーターを変更してみてみるといった使い方がオススメです。
長期投資の場合は、週足チャートを主に使用するため、それに合わせた設定値になります。
MACDの注意点
レンジ相場に不向き
MACDは スローペースで変動している相場ともちあい相場には不向きなテクニカル分析です。こういった相場の場合、一時的に売買シグナルが発生しても戻ったり、どっちに動くかはっきりしない状況が続いてしまうため、取引がしづらくなってしまいます。
また、MACDは相場が急激に動いた場合売買シグナルが発生しない場合があります。発生しない理由は、MACDとシグナル線に利用されているEMAとSMAは過去の価格の平均を表しているため、急激な相場変動に対して遅れて反応してしまいます。
MACDを用いて取引をする場合はなるべきもちあい相場やじりじりとした相場は避けて、 なるべくトレンド相場にて使うようにすることが大切です。MACDだけでなく、全てのテクニカル分析にもいえますが売買シグナルが発生したとしても、その通りに相場が動くとは限らないので注意しましょう。
ダマシに気を付ける
もちあい相場や緩やかなトレンドなどでMACDを用いた場合に気を付けたいのはダマシです。こういった相場で発生した売買シグナル、通常のトレンド相場にて発生する売買シグナルより信憑性が弱く、場合によっては損失を出してしまう恐れがあります。
方向性がしっかりしていないような相場では弱い売買シグナルやダマシなどが多発するので、ダマシにかからないように 大きなトレンドの把握をし、逆に動いてしまった場合は 損切りをしっかり行うなどの対策が重要となります
ダマシとは
テクニカル分析にて売買シグナルが出ているのにその通りに上昇・下落しないことを指します。
ダマシの発生というものは頻繁に起きることなので、避けることは難しく多くの投資家が頭を悩ませる現象の一つです
RSI
RSIの特徴
RSIの利点はピークとボトムを捉えやすく、他のオシレーター指標に比べ、使い方がシンプルなため初心者にもオススメです。
RSIは短期から中期的な売買タイミングをとらえるのに広く使われるオシレーター系の指標で下記のような特徴があります。
- ボックス相場で威力を発揮する
- 主に逆張り投資によく使われる
- 上昇トレンド中は100%に近い数値、下降トレンド中は0%に近い数値になるため、有効的な活用はできない
RSI有効活用ルール
RSIの特性上、下記のケースで使用することで成功率が上がります。
- RSIはボックス相場(横ばい)でつかう
- RSIは長期の時間足でつかう
- RSIだけで判断せず、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことを強く推奨します
RSIは極端な下落相場、上昇相場では有効に機能しません。
これは、上昇局面に入ると数値が50%以上の範囲で推移し、下降局面に入ると数値が50%以下で推移するためです。
RSIの使い方1『売買タイミングの見極め』
RSIは下記のように読み取ります。
- RSI値が「70以上で買われすぎ」→ 下落へ転換
- RSI値が「30以下で売られすぎ」→ 上昇へ転換

RSIの使い方2『トレンド転換の予測』
RSIのもうひとつの使い方として、相場の転換サインとして活用する方法があります。これをダイバージェンスと言います。
RSIとチャートが下図のようなカタチを形成した時に、トレンド転換のサインとして確認できます。

ローソク足が直近高値を更新しているが、RSIは同調せず高値を切り下げています。その後、上昇トレンドが下降トレンドに転換しています。このように、トレンド転換のサインとして読み取ることができます。
これは、下降トレンドから上昇トレンドへの転換のような、逆の場合にも使えます。
RSIで主に使用する日数
日足 : 9日 14日 22日 30日 42日 52日
週足 : 9週 13週 26週
RSIに入力する数値は、上記の数字を使います。
状況に応じて様々な値を利用し明確なチャートの動きがでるように設定してください。
RSI開発者のワイルダー氏推奨は14日の使用です。9日ですと、ボラティリティが大きく騙しが多くなってしまいますし、期間が長すぎるとサインがわかりにくくなってしまいます。
ストキャスティクス(Stock)

ストキャスティクス はRSIと同様に現在の価格が、ある一定期間のなかで売られすぎか買われすぎかを下記の計算式から相対的に示したものです。
ストキャスティクスは、FX(外国為替証拠金取引)でも利用されることの多い指標ですが、株式投資でも一般的に使われています。
ストキャスティクスが買いシグナルを示していれば、その銘柄に買い注文を出すタイミングとしては悪くないと判断できます。
ストキャスティクスの見方
ストキャスティクス には2種類の見方があります。
1)レンジの位置で判断する

一般的に%K(パーセントK)が75%以上で買われすぎ、25%以下で売られすぎとみることができます。
ストキャスティクスの設定
ストキャスティクス は、3つの数値を入力して使います。

ストキャスティクスを構成する3つのパラメータのおすすめ設定値は以下になります。
- K = %Kに影響するパラメーターX・・概ね20以上
- D = %Dに影響するパラメーターY・・2~3程度、状況によりもっと大きな値
- smooth = %SDに影響するパラメーターZ・・Fastストキャスティクスの1
2)ゴールデンクロスかデットクロスで判断する

パーセントK(短期線青)の方が短期間で算出している指標なので先行して動き、また感応度が高くなります。
一方で、パーセントD(中期線オレンジ)はパーセントKにやや遅れて動きます。
ストキャスティクスが底値圏でパーセントK(短期線青)がパーセントD(中期線オレンジ)を下から上に上抜いたら買いシグナル、その逆は売りシグナルとなります。
日本人が考案した「一目均衡表」を使った将来予測法
一目均衡表は、日本人が発明したテクニカル指標です。外国人トレーダーからも「Ichimoku」として親しまれ、「ローソク足チャート」とともに純国産のテクニカル指標として世界中で利用されています。とても奥が深いテクニカル指標で、日本でも熟知している投資家は数名しかいないと言われています。
- 複数の移動平均線を使った分析
- 未来の線を表示する珍しい方式
一目均衡表は、相場は「売り手」と「買い手」の『均衡(パワーバランス)』が崩れた方向へ動き、方向性が確立した後、相場の行方というものは『一目瞭然』(いちもくりょうぜん)である、という考え方に基づいています。
相場のパワーバランスを眺めながら、「いつ相場が変化するのか」「いつ目標値が達成されるのか」など、「いつ」といった「時間軸」を重視して相場の動向を予測します。
一目均衡表の見方
一目均衡表は、「ローソク足」と「5つの線」で形成されます。

一目均衡表の使い方
次のときは、買いシグナルとなり「好転した」と言えます。
- 転換線が基準線を上抜けたとき
- 遅行スパンがローソク足を上抜けたとき
- ローソク足が雲を上抜けたとき

さらに、1,2,3の買いシグナルが3つそろった場合を「三役好転」と言い、より強い買いシグナルとなります。
また、1,2,3と逆の向きへ動いた場合は売りシグナルとなり、「逆転した」と言います。
さらに、3つの売りシグナルがそろった場合は「三役逆転」と言い、より強い売りシグナルとなります。
ボリンジャーバンド(BB)
ボリンジャーバンドとは、ボリンジャーさんと言う方が発見された「統計学」を応用した指標となっていて、下図のような帯を形成します。

下のイラストは「標準偏差」を表しており、株価は高確率でこの帯の中に収まると言われています。通常は、20日間×2σ〜-2σの範囲を使う場合が多く、この範囲に収まる確率が95%と言うことになります。

- 現在の株価が、統計学上高値を推移しているのか、底値を推移しているのかが分かる。
- ボリンジャーバンド を範囲を超えない様に株価が推移していくため、次の株価がどの辺りを推移する確率が高いかが予想できる。
下の記事でボリンジャーバンドの具体的な使い方を紹介しています。
フィボナッチ数列の活用法と移動平均線の目安
一般的に有名なフィボナッチの理論が、株式投資チャートの見極めでよく使用されているのをご存知でしょうか?
人間には誰でも共通して美しいと感じる比率があると言われており、その比率をイタリアの学者フィボナッチが証明したことからフィボナッチ数列と呼びます。
具体的には、ミロのビーナスやピラミッドなどの芸術品、カタツムリの渦巻きの巻き方やひまわりの花の数、木の枝の伸び方などの自然界にあるものが、この比率で説明できると言われています。

フィボナッチラインとは「フィボナッチ数列を用いたテクニカル分析手法のこと」です。
要するに、良く分からないけど自然法則で適用できるのだから、株式投資でもこの黄金比率が通用するのではないかという考え方です。
フィボナッチラインには、縦の時間軸に引く方法や斜めに引く方法など様々ありますが、一般的な横に引く方法を今回は説明していきます。
本来のフィボナッチレシオは、0.618でしたが、株価に当てはめる場合は以下の数字を経験則で用います。
- 0.764
- 0.618
- 0.5
- 0.382
- 0.236
高値と安値の価格差に対して、上記のレシオをかけてフィボナッチラインを引いていきます。計算方法は、高値に比率をかけるなど間違っている方も多いため注意して下さい。
それでは、具体的な活用方法を以下の2つのパターンを用いて解説します。

まずは、リーマン・ショックの時のパターンです。
フィボナッチ数列をチャートに当てはめてみると、38.2%のラインと25日移動平均線が交わったところが、上げるか下げるかの分岐点となります。
リーマン・ショックの時では特徴的で、1度下げるとそのまま水平線をたどるような動きを見せています。
また、

次に、チャイナ・ショックの時のパターンです。
やはりこちらも、フィボナッチ数列をチャートに当てはめてみると、38.2%のラインと25日移動平均線が交わったところから下げており、再び上げているのが分かります。
フィボナッチ数列と、チャート動きのリンクについては理由は明らかにされていませんが、過去の事例からも動きがその比率にリンクしていることがわかると思います。