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FSLY株価の経緯
2020年8月
コロナ暴落後はクラウド株が全般的に上昇しています。
しかし、すべてのクラウド企業が勝者であるわけではありません。
Fastlyの株価は、決算前カップウィズハンドルを形成していましたが、8/5の2Q決算後のTiktokに対する大統領命令を受けて、株価は▲38%ほど暴落しました。
Tiktok問題の株価への影響
米国現大統領トランプは2020年8月6日に、安全保障の脅威として、Tiktokを運営するバイトダンスとの取引を9月15日に禁止すると大統領命令にサインしました。これは、アメリカにおける事業をアメリカ企業に売却するか、利用禁止の二者択一を迫るものです。
売却先としてはマイクロソフト社、ツイッター社が候補に上がっていますが、マイクロソフトはFastlyにとってエッジコンピューティングの競合で、TikTok事業はFastlyの売上構成比12%を占めており、ビジネスごと奪われかねないとして、リスク回避の売りが殺到しました。
今後の動向としては下記のシナリオが予想されます。
今後この株は他のクラウド銘柄と同様上がっていくのでしょうか?
その後。。
2020年9月
Fastly社の現在の株価状況は次のようになっています。
暴落後、Tiktok懸念でうねうねヨコバイしています。
最高値:初値から+368%
2020年10月
Tiktok懸念でボックス相場を形成していましたが、Googleとの提携発表後2020年10月6日に一気に新高値を更新しました。
最高値:初値から+388%
2020年10月14日〜
ガイダンス発表で大幅な下方修正があり、投資家を失望させ、▲50%となる大暴落中になり200MAを大きく割り込んでいます。
なぜここまで売り込まれているのか、どこで下げ止まりそうなのか?
2年後、、結局IPO価格を△60%ほど深堀りしたところで下げ止まったように見えます。
Fastly社決算まとめ
この株は未来の「GAFAM」のようなテンバガー株になりうるか!?
以下のグロース株5つのポイントに沿って確認してみましょう。
1) 決算が予想を上回っているか?
2020第2四半期決算(Q3)概要
Q3ガイダンスの引き下げ理由として、次の2つがあげられています。
- 以前に開示された最大の顧客(TikTok)によるFastlyのプラットフォームの使用は期待を満たしておらず、その結果、TikTokからの収益が大幅に減少した
- 第3四半期の後半には、いくつかの顧客の利用率がFastlyが予想していたよりも低かった
「いくつかの顧客」と省略している点も、「第3四半期の後半」という点が不透明感を増しており、第4四半期に向けて利用率が低下していることが予見されます。
EPS(一株あたり利益)Q2
直近の2020年Q2決算では、EPSが予想EPSを「0.03ドル」上回っています。
FastlyはIPO後一度も決算の取りこぼしがありません。
2020年 2Q決算 | 実績 | 予想 |
---|---|---|
EPS(一株利益) | 0.02 ドル | -0.01ドル |
Q3ガイダンス | コンセンサス予想 |
---|---|
EPS(一株利益) | 0.00 ドル |
売上高成長率 (Q2)
直近の2020年Q2決算では、売上高が予想売上高を「$17.70M」上回っています。
2020年 2Q決算 | 実績 | 予想 |
---|---|---|
売上高 | 7,500万 ドル | 6,040万ドル |
売上成長率YtoY | +62% | – |
Q3ガイダンス | コンセンサス予想 |
---|---|
売上高 | 7,477万ドル |
売上成長率は62%増でしたが、顧客増加率はわずか2%(総顧客数297→304)です。
※競合のCloudflareは80社の企業顧客を追加と発表しています。
利益率(Margin)Q2時点
粗利益率は前年同期比の55%から60.2%に上昇しました。
PINS | |
---|---|
Gross Margin(粗利率) | 57.50% |
Operating Margin(営業利益率) | -21.60% |
Profit Margin(純利益率) | -21.40% |
キャッシュフロー(CF)Q2時点
Q2の営業活動に使用された現金は880万ドル、設備投資は310万ドルで、四半期のFCFは1190万ドル。(FCFマージンは-15.9%)
(Q1の運用に使用された現金は720万ドル、設備投資は1160万ドルで、FCFマージンは-29.8%。2019年Q2のFCFは1,000万ドル、FCFマージンは-21.6%)
一部の顧客が支払い延長を要求したため、売掛金の増加により、Q2に営業活動に使用された現金が増加しました。これらの延長の大半は、すでに7月に支払われています。
粗利率について Q2時点
- 2019年Q2の600万ドルから増加した、Q2の700万ドルのEBITDAの調整。これはEBITDAの最初の好調な四半期を表しており、Fastlyの収益性への移行をさらに強調しています。
- 粗利益の大幅な改善。非GAAPベースの粗利益率はQ2の61.7%で、2019年度Q2の55.6%から微増しました。
- カテゴリー別の収益の割合としての営業費用の継続的な改善。上記イラストの数値は非GAAPです。 GAAP指標は、運用レバレッジの改善において同様の傾向を示しています。
経費率 Q2時点
セクター | Q2 2019 | Q1 2020 | Q2 2020 |
R&D | 24% | 20% | 17% |
S&M | 35% | 28% | 24% |
G&A | 18% | 18% | 19% |
- ドルベースの正味拡張率(DBNER)は、第2四半期に137%でした。(Q1の133%と2019年Q2の132%)第2四半期の純維持率(NRR)は、第1四半期の130%から138%でした。 DBNERには、顧客チャーンの影響は含まれていません。 NRRには顧客のチャーンが含まれますが、請求の超過に対する影響も含まれます。
130%を超えるDBNERは、Fastlyを急速に成長しているソフトウェアプロバイダーのトップセグメントに位置付けます。
- 630名の従業員で四半期を間もなく終了します。 2020年の収益は中間点で2億9,500万ドルと見積もられているため、これは、従業員1人あたりの収益が46.8万ドルになることを意味します。 Fastlyは、慎重な自動化とプレミアム顧客への注力により、各従業員から大きなレバレッジを生み出すことができます。
2020第3四半期決算(Q3)予想 Q2時点
- Q3収益の見積もりは7,350〜7,550万ドルで、年間+49.6%の成長を表しています。(予想+45.0%、収益7,220万ドル)
Q2からQ3の収益の伸びは、アウトパフォーマンスを想定しない限り、基本的に横ばいです。(2019年度Q2からQ3までの売上高は約7.8%増加し、2019年度Q3の売上高の伸び率は年間+35.3%)
- Q3の非GAAP EPSの見積もりは、予想された0.03ドルに対して0.01ドルで、中間点で0.03ドルの引き上げになります。 Q2とQ3の両方で非GAAP純利益がプラスになるはずです。 (2019年度Q2のEPSは0.09ドル)
- Q3の非GAAP営業利益は100万ドルと推定されています。ガイダンスの上限を想定すると、営業利益率は再びプラスになります。( 2019年第3四半期の営業損失は900万ドル)
2) 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
Tiktok懸念により、一時大きく株価を下げ、一時株価回復の兆しを見せていましたが、業績不振により上場後最安値付近まで下がりました。
3)時価総額が比較的小さいか?
現在の時価総額は12.99Bドル(2020/10)
4) 今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?
現在の株価は割高と言えます。
現在の株価 : 136.5ドル → 66.55ドル(10/29下落途中)
これらの算出方法については、下の記事で解説しています。
5) 将来の「成長ストーリー」は良好か?
ネガティヴ視点
決算前に下方修正した企業の株価が浮上するには、数ヶ月〜1年ほど時間をかけてから浮上する傾向にあります。
これは、今後半年から1年はデッドマネーになる可能性が高いということを意味しています。
デットマネーが招くのは機会損失で、ZoomやPeloton、Docusignのような明確なストーリーを持っていて、ファンダメンタルズも優れている銘柄を購入できないことはデメリットであると言えます。
ポジティヴ視点
シグナルサイエンスの買収
シグナルサイエンスの買収は、将来的にFastly の収益を再加速させる魅力的な買収でした。
- 収益の増加
- より高い成長
- より高いマージン
- 42社の新規エンタープライズ顧客
- 類似のDNA、シナジー、クロスセルの機会を持つ企業
- Compute@Edgeと統合するためのSecure@Edgeという新たなビジネスの創出
最新のガイダンスにシグナルサイエンスの収益が含まれているかどうかが、注意すべき点です。
Google Cloudとのパートナーシップ
Google Cloud MarketplaceでFastlyを利用できるようにするなるという発表がありました。
これにより、顧客がGoogle CloudからFastlyのソリューションを購入することができるので、今後の収益成長に繋がることを意味しています。
そのほかのポジティヴな展望としては、業界最大規模のICTアドバイザリ企業Gartner(ガートナー)は、2022年までにエンタープライズで生まれるデータの75%が、データセンターやクラウド以外の場所で生成・処理されるようになると予測していて、エッジコンピューティングの重要性はますます高まっていくことが予想されます。
Fastlyは、セールスサイクルが長く数ヶ月で爆発的な成長が望める企業では無いですが、数年かけて長い高成長(30%程度)が期待できる企業になります。
今後の動き方は、第3四半期の決算説明会で経営陣がどのようなコメントを出すのかをみて判断すべきだと思います。
経営陣の答えが曖昧だったり、減速が続くようであれば、売却優勢になると思われます。
Fastly社について
企業概要
ティッカー | 【FSLY】 |
会社名 | Fastly, Inc. |
カテゴリー | IT、クラウド、SaaS |
設立 | 2011年 |
上場 | 2019年5月 |
時価総額 | 89.5億ドル(9468億円) |
企業価値(EV) | 88.5億ドル(9358億円) |
CEO | Joshua Bixby氏 (2020年2月–) |
設立 | 2011年3月 |
本部 | USカリフォルニア州 サンフランシスコ |
従業員数 | 717人 |
2020年2月、FastlyのCEO兼創設者だったArtur Bergman(オーサー・バーグマン)は、FastlyのCEOを辞任すると発表し、社長だったJoshua Bixby(ジョシュア・ビクスビー)が代わりにCEOに就任しました。
Fastlyの本社は、カリフォルニア州サンフランシスコにあり、デンバー、ニューヨーク、ポートランド、ロンドン、東京にも海外オフィスがあります。
Fastly社の強み
FastlyはそもそもCDNというマーケットではなく、エッジコンピューティングの先駆者という独自の位置付けにいます。そう言った意味で、CDNというマーケットシェアの争いに巻き込まれることなく、エッジコンピューティングというマーケットのリーダーというポジションを築いています。
サービス・商品
Fastlyの提供する新価値は、「エッジコンピューティング技術による通信の超高速化」です。
エッジコンピューティングとは
現在、スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスの普及やIoTの本格活用により、多彩な端末から大量のデータがクラウドに送られるようになりました。一方でデータ量の増大はネットワークやクラウド側に高負荷を与え、通信の遅延を引き起こしつつあります。
エッジコンピューティングとは、「ユーザーやユーザーの端末の近く(エッジ)にサーバーを分散配置することで通信遅延を抑制する技術」を指すと言われています。
これにより、大容量のビッグデータをクラウドに高速で送ることが可能になり、よりリアルタイム性の高いサービス構築への活用が期待されています。
Fastlyはこのエッジでコードが動くエッジコンピューティングのインフラを目指していて、他のCDN業者とは一線を画します。
エッジ・コンピューティングとは、簡単にいうと「ネットワーク配信サービスを爆速化させる技術」のことです。ユーザーに近いエッジサーバーで動的コンテンツすなわちプログラムコードを実行させることにより高速化する仕組みです。
Fastly は自社のサービスをCDN(Contents Delivery Network)ではなく、”Edge Cloud Platform”だと呼んでいます。その強みとしては、他のCDNサービスよりも柔軟性があることです。
・edge デバイスのドーピング技術
・CDN データの交通整理係
・Luset セキュリティと安全性を損わない
世界各地に設置されたPOP(配信拠点サーバー)にコンテンツをキャッシュし、ユーザーにより近いPOP(配信拠点サーバー)からコンテンツを配信するため、0.15秒でキャッシュを更新できる高速な配信が可能となります。これはCDN業界でずば抜けて早いスピードです。
Fastlyはエッジ・コンピューティングのインフラ構築を目指しており、2020年8月現在、複数の事業者とβテストを重ね2020年の後半にリリースする計画をしています。
Fastlyは、エッジ・コンピューティングのインフラを目指している点で、他のCDN業者とは一線を画します。エッジ・コンピューティングはコンセプトこそ過去数年で話題には上がってきましたが、まだまだ発展途上です。2大クラウドとして知られる、AmazonのAWSもようやく昨年末にエッジコンピューティングの計画を発表したところです。
ユーザー・顧客・マーケット
マーケット
エッジコンピューティングのマーケットは、2019年に3.5億ドルのマーケットサイズでしたが、2027年にかけて年平均+37%で成長していくと言われています。
その時に、最適なソリューションを提供できる「数少ない企業の1つがFastly」であり、Fastlyのニーズも高まっていくこととなるでしょう。
主に通信データ量が膨大になる分野から必要とされていきます。
- 防犯カメラと画像認識
- 自動運転の効率的化
- スマホアプリの高速化
- AR(拡張現実)
- オンデマンド動画配信
など
Fastlyのエッジコンピューティング技術は、すでに様々な用途で使われています。
- Redditのケース
- global Saas healthy living app and websiteのケース
- HotelTonightのケース
- Leading American airlineのA/B testingのケース
- global travel and hospitality brandのA/B testingのケース
- Internationally acclaimed magazineのケース
- International daily newspaperのケース
顧客
Fastlyの”Edge Cloud Platform”サービスは、下記の企業に採用されています。
- 日経新聞
- New York Times
- Shopify
- Spotify
- AirBnB
- GitHub
- Vimeo
- Google
など
Google自身もCDNサービスを持っているにもかかわらず、Googleの自社でのクラウドサービスの一部でFastlyの技術を採用するほど、機能性の評価が高いのです。
ビジネスモデル
Fastlyの収益の88%が企業顧客です。
Cloudflareは新規ビジネスによる成長に焦点を当てたビジネスモデルで、より多くの顧客と契約していくことで成長していく形ですが、Fastlyの顧客の絶対数は少なく、単位あたりの大規模な顧客を抱えているため、その顧客が自ら成長することで成長の多くを牽引していきます。
Fastlyのビジネスは、TikTokのように1社の顧客の業績悪化によって、Fastlyの業績も大きく落ち込むというリスクがあります。
コンペティター(競合他社)比較
競合には シェアNo1のAkamai(AKAM)、Cloudflare(NET)、AWS CloudFront(AMZNのクラウドサービス)などがあります。
下の表はFastly(FSLY)、Akamai(AKAM)、Cloudflare(NET)を比較したものです。
FSLY | NET | AKAM | |
Q2 成長率 | +62% | +48% | +13% |
Q3 成長率(予想) | +50% | +39% | +8% |
2020成長率(予想) | +47% | +41% | +9% |
Q2 粗利率 | +62% | +77% | +77% |
Q2 営業利益率 | +2% | -9% | +32% |
Q2 FCF マージン | -16% | -20% | +22% |
2020 成長率(予想) | $295M | $406M | $3.150B |
従業員 | 630人 | 1,535人 | 7,951人 |
2020 Rev / Employee | $468k | $264k | $396k |
2020 Gross Profit / Emp | $290k | $203k | $305k |
Current P/S Ratio | 31.2 | 28.2 | 5.9 |
Fastlyが群を抜いています。ここまで差が付いているのは、Fastlyは、”Edge cloud platform”という差別化により別のマーケットでの勝負をしているためと考えられます。
ライバルのCloudflareは、多少の速度を犠牲にしてでも使用者の多いjavascpriptがエッジで動くようV8エンジンを採用しています。
このようにエッジコンピューティングにおいても、職人気質なFastlyと、庶民派なCloudflareというはっきりとした棲み分けが伺えます。