この銘柄はテンバガー期待できるか?
オニールのCAN-SLIMを用いて分析していきます。
CAN-SLIMの分析方法についてはこちらをご覧ください。
企業について、サクッと把握
会社サマリー
マルケタ(MQ)との提携で発行するバーチャルカードで自社加盟店以外のECや、実店舗での分割後払いに対応するBNPLを提供しています。
ティッカー | AFRM [NASD] |
会社名 | Affirm Holdings, Inc. |
業種 | フィンテック |
時価総額 | 30 Bドル |
設立 | 2012年 |
IPO(上場) | 2021年 1月 |
CEO | マックス・レヴチン氏 |
本部 | カリフォルニア州 サンフランシスコ |
従業員数 | 1,641人 |
単位:T=1兆、B=10億、M=100万
フィンテック市場は、これまでビザやマスターカードや従来の銀行が牛耳っていましたが、その構図がBNPL(バイナウペイレイター)のよって革新されるかもしれないと言われています。
今回紹介するアファームもそんなBNPLの一つで、購入した商品を実質金利ゼロで分割払い(後払い)を容易にするサービスです。
時価総額10Bドル未満の銘柄「小型株」
時価総額10Bドル〜30Bドル未満「中型株」
時価総額30Bドル以上「大型株」
経営者
アファーム(AFRM)は、ペイパルの共同設立者かつ元CTOマックス・レヴチン氏が2012年に設立した会社です。
打倒クレジットカード!!!金融弱者を救え
ペイパルの設立に携わった幹部は経営のプロ集団であり、ペイパル・マフィアと呼ばれています。
保有投資家
主な投資家の保有比率は次のようになっています。
- Traditional investment manager(伝統的な投資運用会社) – 20%
- VE/PE firm(ベンチャー・キャピタル/プライベート・エクイティ・ファンド)-16%
- Individual/Insider(個人投資家)-7%
チャート分析
IPO後初値 90.90 ドルから、+ 40 %の価格帯で推移しています。
アファーム・ホールディングス(AFRM)の株価は2021年に入ってから急落していました。
この背景は、最大のマーチャントパートナーであるペロトン・インタラクティブ(PTON)がトレッドミルのリコールの問題で揺れていたことが、アファームの売上を圧迫していたと言う事実に基づくものです。
また、アップルペイが参入するなど、競争激化懸念が出ていました。
カップウィズハンドルのようにも見えますが、「正しいカップウィズハンドル」とは違いがあります。
- カップが深すぎる
- 取っ手が深い+期間が短い
価格帯別出来高
2021年10月6日時点では、90%が含み益となっています。ボリュームの平均値は116ドルです。
事業内容
会社ビジョン
Affirmは「Honest」という言葉をよく使います。
これが意味するのは、顧客が同意した金額以上の支払いを求めないということです。Affirmは日本語で「言い切る」という意味を持ちます。正直に包み隠さず、全て言い切るというのがAffirmの信念です。
マーケット
Eコマース市場の拡大がBNPLの成長を後押ししており、BNPL市場自体も非常に高い成長が見込まれます。
アファームがアドレス可能な市場は7兆ドルだと言われています
アメリカでも3倍以上の直近TAM(アドレス可能なマーケット)があり、更にこれが成長していく可能性大と考えるとより魅力的な市場に見えてきます。
市場が認知されることになるので アファーム(AFRM) だけでなく スクエア(SQ) 、マルケタ(MQ)などのBNPL事業者にも追い風になりそうです。
ユーザー
他のBNPLサービスと同様、主なユーザー層はミレニアル世代、Z世代から好まれています。
ローンのボリュームはアメリカでは社会問題化している学生ローン、自動車ローンに続き、クレカが続きます。
学生ローンは若年層(18-29歳)が中心です。
特に家計に余裕がない学生などの若年層はクレジットカードを使わざるをえず、就職後もさらに追い込まれるという負の循環が生まれています。
サービス・商品
アファーム(AFRM)のサービスの強みは次の通りです。
- 消費者金融のように複利で借金がふくれあがる心配がないところがユーザーを引きつける魅力
- 膨大なデータから機械学習を用いて、顧客の返済能力を判断
(従来のFICOスコアよりも精度が高いとされる)
アファーム(AFRM)はマルケタ(MQ)との提携で発行するバーチャルカードで自社加盟店以外のECや、実店舗での分割後払いに対応しています。
BNPL事業者の基本モデルは「分割払いで購入→分割金額をデビットカード払い or 銀行口座引き落としで清算」となります。
- 世界で主流なのは4分割6週間払い
- アファーム(AFRM)の場合は3、6、12カ月の後払いが主流
支払期間の長さで金利手数料率が設定されますが、4分割6週間は手数料無料であることが多く、手軽に使える後払い手段として浸透しています。
アファーム(AFRM)は全体の取扱高の43%は手数料無料の取引だと報告しています。
BNPL事業者はリボ払いのように消費者に不当な手数料を課さず、透明で健全な後払い環境を育てようとしています。
現在の主戦場はECですが、今後実店舗での存在感も増していくと考えられます。
ビジネスモデル
ユーザーから金利や手数料を受け取らず、商品やサービスを提供する個人や法人から手数料を受け取って利益をだすビジネスモデルです。
アファーム(AFRM)は、ほとんどの小売り大手と組んでいます。
- Amazon
- Walmart
- Shopify
- そのほか6500社以上と提携(マーチャント)
マーチャントはAffirmを導入すると、平均注文単価が最大85%上昇します。さらに、顧客のリピート購入率は20%です。
売上が上がるため、マーチャントは国際ブランドカードよりも高い手数料(標準:5.99% + $0.30)を負担してでもAffirmを導入しています。
大手との提携はAffirmにとって、取扱高が増え収益を拡大させる効果のほか、膨大なトランザクションデータの獲得により、与信精度をさらに向上できるという点でも強力な材料です。
AmazonとAffirmの提携について
Affirmはこの提携を2021年8月27日に発表し、米国EコマースのBIG3(Amazon, Walmart, Shopify)すべてのBNPLを支援することになりました。
これは超強力で、インテグレーションに強みを持つAffirmの実力が一気に開花したとマーケットは評価し、株価は窓を開けて1日で+46.67%上昇しました。
Amazonは日本でもPaidyと提携するなど、BNPLの提供を加速させていました。今回の提携により、米国Amazonのユーザーは50ドル以上の購買でAffirmを使えるようになります。
米国市場では「ShopifyがAffirmを買収するのでは?」という憶測がはびこっていましたが、これにてAffirmの等距離外交が鮮明になりました。Affimは直接の中小EC店舗開拓に加え、大手EC事業者との提携により、広範囲の攻勢が期待されます。
アファームがTARGETへ導入で1日で約20%急騰
2021年10月6日、TargetがAffirmおよびSezzleとパートナーシップを締結してBNPLの支払い方法を提供することを発表しました。
元々発表されていた提携ではあるのですが、株価が1日で約20%急騰しました。
売上構成比
地域比
アファーム(AFRM)のビジネスはほぼアメリカのみとなっています。
投資リスク
金融バブル発生の引き金になる?
Credit Karmaの調査では、BNPL利用経験者の3人に1人は返済を遅延したことがあると回答しました(貸倒れはなし)。また、ロイターは規制当局が監視を強化する可能性を指摘しています。
若者世代の購買や、貸倒れリスクの高さが注目され
リーマン・ショックのように今後、金融バブル発生の引き金になる
と考える投資家も多いです。
BNPLの話題になると必ず起こる「クレジットカードのように利用履歴が信用情報機関に報告されないから危険」という問題については、逆にFICOスコアよりも優れているとも考えられます。
CEOマックスレブチンによると、FICOベースよりも承認率が高く、顧客負担コストが低い「いいとこ取り」だと説明されています。
今後、アファーム(AFRM)含め、BNPLの多くはFICOスコアに依存しない新しい与信モデルの構築が重要なテーマになっています。
後払いの生命線である与信管理は、膨大な利用データに基づいて精度に磨きがかかります。
顧客の貸倒れは最も避けたいイベントですが、与信モデル構築には貸倒れのデータも必要です。
Affirmは現在、約700万件のローン契約から10億のデータポイントを取得し、sリスクマネジメントを徹底しています。
ライバル・競合他社
競合が多く、今後、シェアを獲得することができるかどうかが注目のポイントです。
BNPLは、新しいビジネスであるため大きくシェアを獲得している企業がなく、競合の存在については要注意です。
競合としては、
- Klarna
- Afterpay
- ペイパル(PYPL)のBill Me Later
などがあげられます。
業績
業績サマリー
決算
EPSはNG、売上高はOKです。
2021/9/9 | EPS (ドル) | 売上高 (ドル) | 成長率 (YoY) | アクティブ 顧客数 | |
---|---|---|---|---|---|
2021年 Q2 | 市場予想 | -0.29 | 227M | ||
×ミス | 実績 | -0.48 | 262M | +71% | 710万人 (YoY+97%) |
2021年 Q3 | 市場予想 | – | – | ||
○パス | 会社予想 | 234M | 240〜 250M | ||
FY2022年 | 市場予想 | B | |||
○パス | 会社予想 | 1.17B | 1.16〜 1.19B |
業績指標一覧
指標 | |
---|---|
EPS成長率(YoY) | (今回)-380% (前回)-155% (前々)+39% |
売上成長率(YoY) | (今回)+71% (前回)+67% (前々)+57% |
ROA(総資産利益率) | -14% |
ROE(自己資本利益率) | -39% |
ROI(投資利益率) | -17% |
Gross Margin(粗利率) | 62% |
Operating Margin(営業利益率) | -38% |
Profit Margin(純利益率) | -50% |
M = Mllion(100万)
B = Bllion(10億)
収益性
EPS成長
EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。
参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。
アファーム(AFRM)の2020年から2021年までの四半期ごとのEPSの履歴です。
売上高成長
収益とは、企業が商品やサービスの販売と引き換えに顧客から受け取る金額と定義できる。収益は、損益計算書の最上位項目であり、そこからすべての費用と経費を差し引いて純利益を算出します。
アファーム(AFRM)の2019年から2021年までの年次ごとの収益の推移と成長率です。
四半期ごとの収益の推移と成長率です。
会社が儲ける力
利益率成長
アファーム(AFRM)の過去の売上総利益率、営業利益率、純利益率の現在と過去の推移です。
会社の経営の上手さ
ROE(自己資本利益率)
ROEは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標で、アメリカの投資家達が最も重要視している財務指標となっています。
米国企業のROEは平均的に日本企業(平均9%)の倍近い(平均17%)といわれ、アップルが約110%、テスらは6%程度と様々です。
逆にROEがマイナスの場合は赤字か債務過多状態の状態で、その会社は株主資本を1年とうしてどれだけ減らしたかってことがわかります。
アファーム(AFRM)の株主資本利益率(ROE)の現在および過去の値(四半期)です。
会社の安全性
キャッシュフロー(CF)
キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。
キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。
C/Fでは主に安全性を確認できますが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/Fです。健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的です。
投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れます。そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。
フリーC/Fは営業C/Fと投資C/Fを足したものです。これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。
マイナスには要注意!
営業キャッシュフローがマイナス(=キャッシュフロー・マージンがマイナス)となっている場合は、即座に対応が必要な状況と言えます。
本業の稼ぎがマイナスであるということは、このままビジネスを続けても、ひたすらキャッシュが減り続け、それを投資活動の取り崩しや財務活動で賄うこととなります。
スタートアップ企業であれば、営業キャッシュフローのマイナスをVCやエンジェル投資家からの出資といった財務活動で賄うは一般的ですが、それ以外の企業で営業キャッシュフローがマイナスという状況は、非常に危機的な状況と言えます。
アファーム(AFRM)の過去2年間のキャッシュフロー推移一覧です。
この記事の情報ソース
↓売り出し目論見書
↓公式のIR資料
↓その他ツールサイト
免責事項:
本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいて損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。