*PER、PSRについて
株価の期待値が、PER(株価収益率)もしくはPSR(株価売上高倍率)として確認できます。
PERとPSR(株価の割高/割安さを示す指標)
略称 | 英称 | 観点 | 計算式 | 指標 | 目安 |
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PER | Price Earnings Ratio | 純利益(フロー) | 株価 ÷ EPS | 利益と比べて 割安かが分かる | 10倍〜30倍以下 (平均15程度) (業界、業績より目安は異なる) |
PSR | Price to Sales Ratio | 売上(フロー) | 時価総額 ÷ 年間売上高 | 売上と比べて割安かが分かる (ベンチャー企業向け) | PSRは20倍以上だと 割高0.5倍以下なら割安 (業界、業績より目安は異なる) |
PERとは
PERは、株価と企業の収益力とを比較することで、株価が現在どのくらいの水準にあるのかを測る指標です。
利益(フロー)の面から見て、現在の株価が割高なのか、それとも割安なのかを判断する材料になります。
EPSだけでもみることもあり、毎回プラス成長していれば株価が右肩上がりになりやすい場合が多いです。
PERは数値が低いものほど割安ですが、高成長なら数値が高くても割安になることもあります。一般的には、PER15〜17倍程度が妥当だといわれていますが、同業他社と比較することでも割高・割安を判断することができます。
PSRとは
PSRとは、企業価値を売上高で評価し、株価が現在どのくらいの水準にあるのかを測る指標です。
本質的にはEPSがもっとも重要になりますが、ここ数年テック系のグロース株は赤字(先行投資)で売上だけ成長するというのが主流になってきています。
この場合、売上の方が重要視されることが多いです。
- 売上を投資に積極的に回していくベンチャー(成長初期)企業だと、営業利益はマイナスになりやすい
- これは、マイナスだから悪いということではなく、企業自身が将来の成長性に投資しているということを表している
その場合、PERが機能しない(異常値になる)ため、PSRを割高・割安の目安として使うことができます。
PSRは、「どの時点の売上高を換算するか?」によって変わってきます。
主に使われる3種類のPSRは次の通りです。
*3種類のPER、PSRについて
財務指標
収益性を確認するためにROE、ROAを、成長性を確認するためには売上成長、自己資本比率、利益率、キャッシュフローをチェックします。
ROAとROEは(経営の巧さを表す指標)として使われます。
略称 | 英称 | 観点 | 指標 | 目安 |
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ROE | Return On Equity | 当期純利益÷総資産 | 借金とか含めた総資産を用いて企業があげた利益が分かる指標 | 世界基準は10%以上 (高い程よい) 日本企業平均約3%、アップル約17%! |
ROA | Return on Assets | 当期純利益÷自己資本 | 自分の資本だけでどれだけ利益を上げたかが分かる指標 | 一般的に5%以上で優良 (業種により目安が異なる) 日本企業平均約8%、アップル約70%! |
自己資本比率 | – | 総資産(ストック) | 無利子負債も含めた企業健全性 | 70%以上なら理想企業、30〜40%以上なら倒産しにくい(業種により目安が異なる) |
D/Eレシオ(DER) | Debt Equity Ratio | 純資産(ストック) | 有利子負債に対する企業健全性 | 低ければ低いほど財務健全性が高く、高いほど借金過多 |
売上成長率 | – | 純利益(フロー) | 企業の成長性 | 増収率20%以上。売上高が4年で2倍で優良 |
営業利益率 | – | 純利益(フロー) | 儲かる企業かどうか | 10%以上あれば優良。40%の超優良企業もある。 |
キャッシュフロー(CF) | – | 現金収支 | P/L,B/Sでは分からない企業健全性 | 各CFのバランスから黒字倒産のリスクを検知する |
*ROA(総資産利益率)
ROAの目標値は、業種や企業の形態によって異なるため、目標値を決める際には、日本企業における一般的な目標値である5%を目安にしつつ、同業他社のROAを参考にしながら数値を設定するのがよいでしょう。
アメリカの企業におけるROAの平均値は6%程度ですが、日本企業の平均値は3%程度です。そのため、日本企業ではROAの目標値を5%程度で設定しているところが多いです。
上記数値が年々上昇傾向にあればROAの上昇につながり、株価の上昇につながります。
*ROE(自己資本利益率)
ROEとは、利益が多い少ないだけではわからない効率性を判断するための経営指標です。
ROEは、優良銘柄を見つけ出す際に有効な指標です。ROEが高いほど、その企業は株主の資金から利益を稼ぐ能力が高いと判断され、特に外国人投資家はROEを重要な指標としています。
株主が自分の出資も含めた持ち分に対して会社がどれだけ儲けてくれたかという、言わば株主にとっての投資利回りを表します。当然、自己資本利益率が高いほど株主からの評価は高くなります。
ROEは、10%が一つの目安で、15%あれば優良であるとされています。
これに対して、ROAの分母である総資産には、株主だけでなく金融機関や取引先などから調達した負債も含まれます。
*ROI(投資利益率)
投資利益率とは、投資額に対してどれだけ利益を生み出しているかを見る尺度です。
ROIの数値が高ければ高いほど、うまく投資ができているといえます。
*Gross Margin(粗利率)
生産コストを差し引いたあとの企業の利益率です。
計算方法は、売上高-売上原価=売上総利益。
粗利益率(%)=売上総利益÷売上高×100。
粗利益率により、管理費や税金、減価償却費などを差し引く前の企業の本業における収益力が分かる。
*Operating Margin(営業利益率)
売上の増加と共に、営業利益も2~3年ほど高い増加率を継続していれば、増収増益のグロース株として投資候補に加えることが出来ます。
Rule of 40%(40%ルール)とは
赤字のSaaS企業の株価を比較する有名な一つの指標として「Rule of 40%(40%ルール)」があります。論理的な理由は説明されていませんが、求め方は次の式になります。
この指標は、「Xの値」が40%以上だと良い、40%以下だと悪いとするものです。
*Profit Margin(純利益率)
投資家がいちばん注目するのは純利益率で、あらゆるコスト、費用、税金などを差し引いたあとの企業の収益力を見るものです。
純利益率(%)=純利益÷売上高×100。
*EPS(1株当たり利益)とは
EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。
参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。
*GAAP、non-GAAPとは
GAAPとは、一般に公正妥当と認められる会計原則(generally accepted accounting principles)を指します。
GAAPに否定のnonが付くnon-GAAP情報は、いわば会計ルールに基づかない情報となります。
広く一般に適用される会計ルールに基づく情報(GAAP)は、汎用性が高い反面、必ずしも個社の事業の特性を的確に表しているとは限りません。そこで、自社の事業の実態を投資家等に適正に理解してもらうためにnon-GAAPを決算説明資料などで併記しています。
*CF(キャッシュフロー)とは
キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。
キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。
- 現金等残高 → 現金・預金と現金同等物を合計した期末の残高
- 現金比率 → 総資産に対する現金等残高の割合
また、営業利益、営業CFと投資CFを合算した自由に使えるお金を、フリーキャッシュフロー(FCF)と言い下記のことが読み取れます。
- プラスの場合は、事業活動で生み出した資金を示し、その資金は経営者の経営判断により事業展開や株主還元、借入金返済など自由に使途を決めることができる。
- マイナスの場合は、事業活動で資金が不足したことを示す。
*営業キャッシュフローとは
営業キャッシュフローとは、本業による収入と支出の差額を表します。
つまり、本業を行った結果に、手元のお金がいくら増えたかがわかる項目です。この項目の合計額がプラスの会社は、本業が順調に行っている証拠となります。
逆にマイナスの会社は、本業で苦戦しており、現金不足で苦しんでいることがわかります。営業キャッシュフローのマイナスが続く会社は、少し先行きが危険な会社と見てもいいかもしれません。
*投資キャッシュフローとは
投資キャッシュフローとは、固定資産や株、債券などの取得や売却をした時の現金の流れを表します。
通常、営業活動を行っていくためには、設備投資などの固定資産への投資が必要なため、優良企業は、この項目はマイナスであることが多いです。
逆にプラスの場合は、会社が持っている設備や、株、債券などを売った金額が投資分を上回っていることを示しています。
*財務キャッシュフローとは
財務キャッシュフローとは、キャッシュ(お金)の不足分をどう補ったのかを表します。
株主に配当を支払ったり、自社株買いをしたり、借金を返済した場合は、マイナスになります。逆に借入金や社債などで資金調達すればプラスになります。
優良企業は、この項目はマイナスであることが多い傾向があります。また、積極的に成長を目指す企業は、借入金などの資金調達も多くなりがちでプラスになることがあります。