未来予想図(2030-2040-2050年)
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【AMRS】アミリス(AMRS)の何でも発酵で作れる合成生物学の可能性とは?

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企業について、サクッと把握

会社サマリー
  • アミリスは米国の化学品会社
  • 合成生物学的手法を用いた再生可能化学品を製造、販売
  • 酵母菌等を用いてサトウキビなどの糖類を高付加価値の成分に代謝させる技術を持つ
  • 「バイオフェネ」のブランド名で再生可能ファルネセン(液体炭化水素分子)を化粧品、医薬品、香味・香料、燃料製品の市場をターゲットに販売

  • ブラジルで再生可能ディーゼル燃料とジェット燃料を製造、販売
ティッカーAMRS [NASD]
会社名Amyris, Inc.
セクターバイオ
設立2003年
IPO(上場)2010年 9月
CEOジョン・G・メロ氏
時価総額3.98Bドル
本部アメリカ合衆国
カリフォルニア州
エメリービル
従業員数595人

B = Bllion(10億ドル)

バリュエーション

AMRSは、上場後2〜5ドル台をウロウロしていましたが、2020年末から急激な上昇に伴い、一時最安値からのテンバガーをわずか4ヶ月ほどで達成しました。

ニュース

更年期障害対策のパーソナルケア製品を提供する新しいコンシューマーブランドを立ち上げるため、Naomi Watts氏とパートナーシップを結んだことを発表しています。

業績サマリー
  • 2021年度)4億ドルの売上を見込み、EBITDAでは通年で損益分岐点を達成する
  • 売上)2025年に20億ドルの売上と6億ドルのEBITDAを達成する可能性
  • 株価)今年末には$30、22年末には$75に達する可能性
業績
業績
売上成長率(YtoY)+96.72%
PSR(LTM)24.9倍
PSR(NTM)12.8倍
ROE(自己資本利益率)297.50%
ROA(総資産利益率)-177.00%
ROI(投資利益率)-269.30%
Gross Margin(粗利率)49.30%
Operating Margin(営業利益率)-%
Profit Margin(純利益率)-%
2020/12決算

EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。

参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。

EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。

ROAは、自己資本に加え、借金や現金も含めた総資産をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標です。

アメリカの企業におけるROAの平均値は6%程度ですが、日本企業の平均値は3%程度です。そのため、日本企業ではROAの目標値を5%程度で設定しているところが多いです。

上記数値が年々上昇傾向にあればROAの上昇につながり、株価の上昇につながります。

ROEは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標で、アメリカの投資家達が最も重要視している財務指標となっています。

 米国企業のROEは平均的に日本企業(平均9%)の倍近い(平均17%)といわれ、アップルが約110%、テスらは6%程度と様々です。

逆にROEマイナスの場合は赤字か債務過多状態の状態で、その会社は株主資本を1年とうしてどれだけ減らしたかってことがわかります。

注意点

借金(負債)は「株主資本」には入らないため、多くの借金をして利益を上げた結果、高いROEになるケースもあります。

投資利益率とは、投資額に対してどれだけ利益を生み出しているかを見る尺度です。

ROIの数値が高ければ高いほど、うまく投資ができているといえます。

投資用語のかんたん解説集

指標の意味と見方については、次の記事で解説しています。

決算

直近4回の決算では、EPS、はミスですが、売上高はクリアしています。

しかし、直近2020年Q4の売上高はYoY+96.72%と急上昇しています。

Source : Trading view
2020年 Q4 決算直近決算良否予想実績
EPS(一株利益)×ミス– 0.09ドル→(-0.35ドル)→ -0.44ドル
売上高パス69.71 M ドル→(9.76Mドル)→79.74M ドル
売上成長率(YoY)+96.72%
2021年Q1 ガイダンスアナリスト予想会社予想
EPS予想– 0.18ドル
売上高予想73.36Mドル
売上成長率(YoY)+251.8%
Source : Seeking Alpha
引用:Seeking Alpha

アミリスは決算毎にアナリスト予測はことごとく外して裏切り続けてきました。

これだけみますと超だめ企業です。このことから投資家の信頼を得ていない状態であることは明らかで、信頼を得るには少なくとも数回の決算をクリアすることが求められます。

深掘り

アミリスの歴史

以前はAmyris Biotechnologies, Inc.として知られていましたが、2010年6月にAmyris, Inc.に社名を変更しました。

2005年抗マラリア薬前駆体アルテミシン酸(テルペノイド系)を生産する微生物株開発
2007年↑の技術プラットフォームを商業的に応用開始、ファルネセン(テルペン系)販売
2014年香料業界向けの追加分子の製造
2015年国防高等研究計画局(DARPA)との提携により
テルペン以外の低分子化学品の研究開始
2016年タンパク質の研究開始
利益率の低い成熟市場向けから利益率の高い
スペシャリティ成分市場へのビジネスモデルの移行決定
ファルネセン由来のスクワレンを化粧品原料として製品化
2017年ビタミン(テルペノイド系)の商業生産、DSM等に販売
2018年代替甘味料製品であるPurecaneTMの商業生産開始
2019年カンナビノイド(大麻成分・テルペノイド系)の開発開始
2020年アルコール系手指消毒剤PipetteTM(スクワレン)のFDA承認獲得
乳児用栄養成分HMOのFDAのGRAS承認申請提出
発酵法によるカンナビゲロール(CBG)の商業生産開始
  • アミリスはテルペノイド系の発酵法が得意
  • スクワレンを誘導したようにCBGを原料にして他の機能性タンパク質を誘導する研究に特化
  • アミリスの持つ発酵法はなんでも作れる魔法の技術ではなく対象を限定する技術かもしれない
  • ただ、その限定された中でCBGが存在しただけで今後広がりのある展開が期待出来る

テクノロジー

「同社の技術プラットフォームは、微生物を触媒として利用することで、再生可能な植物由来の糖質を大量の高付加価値成分に代謝することを可能にしています」

アミリス社は、抗マラリア薬アルテミシニンの前駆体であるアルテミシン酸を生産するための微生物株を作製する技術を開発しています。

同社の技術プラットフォームは、微生物を触媒として利用することで、再生可能な植物由来の糖質を大量の高付加価値成分に代謝することを可能にしています。

アミリス社は、この技術プラットフォームを応用して、クリーンヘルス&ビューティ、フレーバー&フレグランス市場向けの製品の開発・製造・販売を行っている。

アミリス社は、Amyris、Biofene、Biossance、Pipette、Purecane、No Compromiseの商標で事業を展開しています。

Amyris, Inc.は、COVID-19ワクチンの開発を加速することを含む、新規リボ核酸ワクチンプラットフォームの開発を進めるために、感染症研究所との共同研究契約を結んでいます。

アミリスの「サスティナブル・バイオテック」シリーズ 1〜3

代替タンパク質

下記特許で抗体(=タンパクの一種)産生技術として、K. Marxianusという聞き慣れない酵母株を用いてタンパク生産経路の構築を既に実施しています。

未来の食べ物。食肉生産が温室効果ガスの排出に大きな影響を与えていることは疑いの余地がありません。肉牛だけで世界のメタンガス排出量の70%を占めています。

インポッシブルフーズ(@ImpossibleFoods)のような企業は、遺伝子組み換えの酵母と発酵、つまりバイオテクノロジーを活用して、牛やメタンを使わずに肉の味を再現するヘムを製造しています。

インポッシブル・バーガーは、全米の食料品店やバーガーキングなどのファストフード店にも登場し、肉を使わない代替品として広く親しまれています。

インポッシブルをはじめとする多くの企業が植物由来の製品を発売したことで、消費者は持続可能でおいしい代替品を手に入れることができ、その結果が数字に表れています。肉の代替品は、パンデミック後の7ヶ月間で129%の売上増を記録しました。

バイオテクノロジーのおかげで、私たちは食肉、そしてより広い意味での食料の持続可能性を再考することができるようになりました。植物性の肉への移行は、今後何十年、何百年にもわたって、地球の健康に計り知れないほどの直接的な影響を与えるでしょう。

ファスト・ファッション(#biofabrication

ファストファッションの前提は、流行が来たらすぐに着て、すぐに捨てられるように作られていることです。

地球への影響は?繊維製品の製造は、主要な水路を汚染し、温室効果ガスの排出量を倍増させます。また、繊維製品全体の85%が年間で埋立てられています。

しかし、消費者がファストファッションを求める傾向が続く中、多くの人々がファッションをより環境に優しいものにする方法を模索し始めています。そして、バイオテックは、それを実現するための主要なソリューションの一つとして普及しています。

バイオ・プラスチック

プラスチックの製造は環境に悪影響を与えるだけでなく、プラスチックはしばしば埋め立てられ、環境中に残留します。プラスチックの製造には、年間約2億7千万トンの石油が使用され、8千万トンのプラスチックが埋め立てられています。

プラスチックとの戦いは、その源から始める必要があります。#バイオテックは、持続可能な代替素材であるバイオプラスチックの開発を進めています。#バイオプラスチックは、石油ではなく、植物や植物性油脂、リサイクルされた廃棄物などの再生可能な資源から作られます。

バイオプラスチックは、再生可能な原料を用いて完全な生分解性プラスチックを提供する可能性があるという点で、エキサイティングな開発です。

バイオプラスチックは、再生可能な原料を用いて完全な生分解性プラスチックを提供できる可能性があります。バイオプラスチックがスケーラブルな生産・価格設定モデルに到達すれば、従来のプラスチックに代わる持続可能な代替品となるでしょう。

ingredientB(マテリアル)

今月発表された下記論文の言葉からの引用です。

ブレイクスルーとなったのはまさにテクノロジーの成熟です。私たちは今、1年以内に分子をターゲットからスケールまで移動できます。パートナーにとって、これは非常に重要なことです。

つまり投資をして、その分子の開発サイクルを自信を持って計画できる。10年前には不可能だったことです。今、このモデルは確固たるものになってます。

CEOのMelo氏

*契約者でないと見れません。

今後2030年までにバイオテクノロジーがいかに多くの産業を再構築する可能性があるか

今後2030年までにバイオテクノロジーがいかに多くの産業をディスラプトする可能性があるかが、以下のレポートで示されています。

米国シンクタンクRethinkXの予測

今後の食品産業を考える上でこの予測はかなり衝撃的です。

米国シンクタンクRethinkXが報告した今後10年間の乳タンパクのコスト比較ですが、25年頃に乳牛から採取されるカゼインやホエイよりも、合成生物学によって遺伝子改変した酵母等により発酵生産した製造コストの方が安くなる特異点を迎えます。

Source : RethinkX

代替えタンパク質に加え、培養肉などの食肉代替技術も追随することによって、30年頃には米国で飼育する家畜牛の数が、なんと半減すると予測されています。

ビジネスモデル

AMRSの売り上げ構成

  • 40%はコンシュマー製品
  • 47%はIngredient
  • 13%がコラボレーション

特にコンシュマーの売り上げがAnual YtoYで200%弱成長しており投資家にも注目されている分野です。

化学やバイオ企業が消費者マーケティングに垂直統合したビジネスは他に3M, GSKなどがあります。

成長性

2020年末あたりから株価が急上昇した理由と考えられる材料

2020/12/16に行われた投資家向け説明会がカタリストになっている可能性が高いです。

この説明会では、保有商業化合物(同社は計11の化合物を商業化していました)のマネタイズにより、450Mドルの収入を獲得することができると発表されました。

3つのディールから構成されており、1つ目はfarnesene という化合物を元に、一つの化合物を作る権利を50Mでマネタイズ。

残り2つの詳細は不明ですが、2021年度第1四半期中にクローズし、詳細が見えてくるようです。

なお3つ、計450Mドルのディールはアップフロント部分と後払い部分から構成されていますが、うち200Mドルがアップ・フロントとして2021年度上半期にもらえるとしています。

もともと2020/11月の決算説明会で、3つのディールに着手していると発表していましたが、その時は350Mのディールと発表していました。これが、サプライズとして働き、地合いの良さも伴って上昇したと考えられます。

バランスシートの改善

同社は、営業キャッシュ段階からの赤字企業で、バランスシートに対する懸念があったと見られます。

というのも同社は足元債務超過に陥っているからです。

特に2021年度に期限を迎える債券60Mをどうやって乗り切るかを注視していた投資家が存在したと考えられます。

今回の発表で、目先はおろか、健全化に資する大きな資金を獲得できたことで安心感が広がったようです。

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米国のバイオエコノミー戦略

米国は既に12年にオバマ政権がバイオエコノミーに関する戦略 「National Bioeconomy Blueprint」を発表しており、先行してバイオ研究を進めていたことから大きな差が生まれています。

合成生物学の論文数では、図の通り各国の政府支出を比較してみると、米国政府の支出は他国に比べ圧倒していて、1桁違う水準になっています。

投資家の評価

アミリスに投資しているファンドSchottenfeldのGMであるRick Schottenfeld氏は以下のように述べています。

「25年前にインターネットは素晴らしい投資対象になると言う人がいて、その人が何を言っているか分からなかったとしたら、今どうなっていますか?これが合成生物学の現状なのです」

Rick Schottenfeld氏

また、Amyrisの支配株主である米国で最も成功した投資家であるジョン・ドーア氏は、グーグルやアマゾンに早くから投資していました。ジョン・ドーア氏は次のように述べています。

「合成生物学は、地球を健康にし未来を持続可能にするために、今後大きな役割を果たす」「アミリスは、合成生物学の約束を果たしています」

アミリスは収益と製品の面では合成生物学企業のなかで最も進んでいます。同社は2021年に4億ドルの売上を見込んでおり、EBITDAでは通年で損益分岐点を達成する。

$13.50前後のアミリスの株価は時価総額40億ドルと評価されており、投資家にとって最善の策であると思われます。同社のCEOであるJohn Melo氏は、2025年に20億ドルの売上と6億ドルのEBITDAを達成する可能性があると見込んでいます。

ジョン・ドーア氏

また、ピナクルのポートフォリオ・マネージャーであるバロン氏は、アミリスの大きな可能性について次のように述べています。

今後10年以上にわたり、35%のトップライン成長を遂げる可能性がある。Amyrisは、Ginkgoと比べて大幅なディスカウント価格であり、今年末には$30、22年末には$75に達する可能性がある」

ピナクルのポートフォリオ・マネージャーであるバロン氏

競合

合成生物学企業BIG3として、合成生物学のプラットフォーム技術を構築し、世界の先端を走るプレイヤー企業は米国のAmyris、GinkgoBioworks、Zymergenの3社が凌ぎを削っています。

  • AMRS(4Bドル)
  • GinkgoBioworks(20Bドル)
  • ZY(3Bドル)

合成生物学の真打GinkgoBioworksがSPAC上場するかもしれないと報道され、ここ約2年で4B→20Bドルまで約5倍に評価が上昇しています。

売上成長(損益)

バランスシート

2021年4月のPublic offeringでは、次のように書かれてます。

3月31日に終了した3ヶ月間の財務結果、当社の推定によると3月31日時点で、当社の現金および現金同等物は約1億4,000万ドル、負債の元本総額は約1億1,500万ドルです。

さらに、DSM社との契約一時金を含めると3月31日に終了した3ヵ月間の総収益は、以前に発表した21年通年の収益見通しである4億ドルのほぼ半分になると予想してます。ただし、これらの推定値は予備的なものであり、2021年3月31日に終了した3ヵ月間の未監査財務諸表の完成を条件としています。

4億ドルを受け取り、1億9,500万ドルを半分と仮定し、3月31日の契約一時金1億5,000万ドルを差し引くと、第1四半期の収益は約4,500万ドルです。

WSの予想では、1億7,990万ドル(契約一時金を差し引くと2,990万ドル)です。他の3つの予想は、明らかに契約一時金1億5000万ドルを含んでいませんが、平均3770万ドルで、4人のアナリストの平均は3580万ドルということになります。

もしAmyrisが4,500万ドルに近い金額を報告すれば、25%のビートとなります。私の推測では、これはほんの始まりに過ぎず、だからこそ私は「時間はあなたの味方」と言ったのです。

キャッシュフロー

この記事の情報ソース

↓公式のSec.gov資料

↓公式のIR資料

免責事項:
本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいて損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

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