この銘柄はテンバガー期待できるか?
オニールのCAN-SLIMを用いて分析していきます。
CAN-SLIMの分析方法についてはこちらをご覧ください。
時価総額
企業概要
- 2007年にサービスを開始
- 世界最大のオンライン代替宿泊旅行代理店で、ブティックホテルや宿泊体験の予約サービスも手掛ける
- プラットフォームは、2020年には、560万のアクティブ宿泊施設リストを提供
- 400万に及ぶホストのリストは、220カ国、10万都市に拡大
- 2020年の収益に占める割合
- 53%:北米地域
- 30%:欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域
- 10%:アジア太平洋地域
- 7%:中南米
- 収益はすべてオンライン予約の取引手数料から得ている
ティッカー | ABNB [NASD] |
会社名 | Airbnb, Inc. |
セクター | 民泊アプリ |
設立 | 2008年8月 |
IPO(上場) | 2020年 12月 |
CEO | ブライアン・チェスキー氏 |
時価総額 | 88Bドル |
本部 | サンフランシスコ |
従業員数 | 5597人 |
単位:T=1兆、B=10億、M=100万
IPO幹事構成
シェアホルダー
名門機関投資家の「Sequoia Capital」がガッツリ株を持っています。
あと創業者3名がほぼ同数の株を保有しています。
チャート分析
IPO後初値 146 ドルから、+ 15 %の価格帯で推移しています。
Airbnbの株価終値の史上最高値は、2021年2月11日の216.84ドルです。
下値切り下げのベースを形成後、出来高を伴ったブレークがありました(矢印)
この買いポイントから、指数が連日下がる悪い地合いでも上昇トレンド・バンドの中で推移しています。
今後の展開としては、マーケットの地合いによって、次の展開が予想できます。
価格帯別出来高
2021年9月30日時点では、86%が含み益となっています。ボリュームの平均値は152ドルです。
深掘り
会社ビジョン
エアビーのビジョンについては、ブライアン・チェスキーCEOのプレゼンが分かりやすいです。
感染症の流行前のような世界にはなりません。
つまり、旅行は以前と変わります。データがそれを裏付けています。
世界を対象に調査をしましたが、旅行は屋外活動の中でも最も再開したいことでした。
対して、出張は最も再開したくない旅行の種類です。出張は感染症の流行前のようには絶対になりません。
無くなるという意味ではなく、以前とカタチを変えるということです。
その理由は、飛行機で会議に行くハードルが非常に高くなるからです。ですから、出張と旅行が混じるようになります。
当社が恩恵を受けるような出張が出てくるでしょう。
こんなデータがあります。現在、当社の都市部の予約では28泊以上が非常に多いです。
在宅勤務でも、数週間は会社に本社する必要があるからです。
これは顕著な傾向として見ています。最近、定着しつつある傾向も紹介します。
Airbnbを利用する世界中の顧客は旅行する場所や時期がより重要になっています。ZOOMで働く世界はどこでも仕事ができます。
それは住む場所を選ばないということです。20〜30ヶ所の同じ場所へ皆が旅行するのではなく、
世界中の1000ヶ所が旅行先になります。つまり、滞在期間が長くなります。
2年前は28泊以上の滞在は14%でした。現在は24%です。
そして、いつでも旅行ができます。2月に「柔軟な日付設定」の機能が付きました。
特定の日付を入力して検索する代わりに
夏の「週末」や「1週間」「1ヶ月間」で検索ができます。この新しい機能で約1億回の検索がありました。
2月以降で約1億回です。旅行先はより柔軟になり、画一的ではなく
意味のある旅に変化しています。そして、出張から旅行に変わっていきます。
最後に伝えたいのは、国境の開放に伴い当社も順調に進むことでしょう。
Airbnb ブライアン チェスキーCEO
サービス・商品
ホテルとの違い
従来のホテルでの宿泊も非常に快適で良い体験を得られます。
しかし、そのような標準的な体験ではなく、地元の人々が住む近くに滞在し、地元の人のように暮らし、その地域でしか体験できないユニークな体験をすることが支持されると思います。
もしくは、家族旅行にあたり狭いホテルに宿泊したくない。
そんな時に広い一軒家にホテルと同額か、それ以下の料金で宿泊できると、それだけでも価値を感じませんか?
これこそが民泊の良さです。そして民泊サービスの頂点がAirbnbです。
今後も旅行が拡大、体験を重視する人が増加する中において、Airbnbが支持されて売上が拡大し続けるんじゃないかと考えています。
顧客
エアビーのプラットフォームは、2020年には、560万のアクティブ宿泊施設リストを提供しました。
400万に及ぶホスト(家の提供者)のリストは、220カ国、10万都市に広がっています。
ビジネスモデル
売上構成
収益の大半は、プラットフォーム上のカード取引から生み出される事業者から得る手数料が占めています。
また、プラットフォームへの月次アクセス料、ATM手数料、不正監視、トークン化など、決済処理以外のサービスからも収益は生み出されています。
地域
2020年の収益のに占める割合は、北米地域が53%、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域が30%、アジア太平洋地域が10%、中南米が7%であった。収益はすべてオンライン予約の取引手数料から得ている。
強み
オンリーワン
私自身、Booking.comやHotels.comなどはホテルや旅館の予約でよく利用していましたが、民泊を簡単に予約できるシステムは他に見当たりません。
また、Airbnbは都市をまたいだ利用が可能な事に対して、Uberはひとつの都市内での利用しかできません。
ネットワーク効果
Airbnbのネットワーク効果とは、世界220以上の国と地域でネットワークを構築しており、これが圧倒的な強みになっていると認識しています。
たとえば、Airbnbは東京にいる旅行者は米国のホストが用意する家に宿泊したり、同時に欧州にいる旅行者が日本のホストが用意する家に宿泊するということを可能にします。
つまり全世界の需要と供給がAirbnbという1つのプラットフォーム上で完結します。
Airbnbのような複数都市間のネットワークを構築することは、実現難易度こそ高いですが、一度構築してしまえば高い参入障壁になるため他社が参入しにくくなります。世界の民泊市場を独占できる可能性があります。
これこそがAirbnbのビジネスモデルの最大の強みだと言えます。
投資リスク
× コロナリスク
コロナショックのようなリスクに対して一番弱いです。特にロックダウンになると非常に弱く、
売上の大半を占める欧米でのロックダウンは死活問題となります。
× 法規制
近隣住民とのトラブルなどによる各国での法規制リスクがあります。
× 財務
2Bドルほどの借入があります。
業績
決算
最新の2021Q2は、EPS、売上高ともに、オールOKでとても良い決算でした。
- 年 4-6 月期は、売上高が前年同期比 4 倍の 13 億 3519 万ドル(約 1470 億円)に急増
- 旅行需要が回復した追い風を受け、19 年の同時期の水準も上回った
- 7‐9 月期は売上高が四半期ベースで過去最高になる見通しを示した
- 4-6 月期の最終赤字は 6821 万ドルとなり、前年同期の 5 億 7558 万ドルから改善
- 最終赤字の主な要因は株式報酬費用の計上で、調整後の EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は 3 四半期ぶりに黒字転換
- ブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)は「旅行業界に過去最大のリバウンド(回復)が訪れている」と説明
- 4-6 月期の予約総額は前年同期比 4.2 倍の 134 億ドル。
- 「米国が引き続き堅調で、欧州も大きく回復している」(チェスキー氏)
2021年 Q2 決算 | 決算良否 | 予想 | 実績 | 成長率(YoY) |
---|---|---|---|---|
EPS(ドル) | ○パス | -0.36 | -0.11 | |
売上高(ドル) | ○パス | 1.27B | 1.34B | +299% |
純損益(ドル) | 0.682B | |||
予約数(件) | 8310万 | +197% | ||
総予約額(ドル) | 11.19B | 13.4B | +320% | |
調整後 EBITDA(ドル) | 0.05B | 0.127B | ||
FCF(ドル) | -0.0778B | 0.784B |
M = Mllion(100万)
B = Bllion(10億)
2021年 Q3 ガイダンス予想 | アナリスト予想 | 会社予想 |
---|---|---|
EPS予想(ドル) | 0.69 | |
売上高予想(ドル) | 2.04B | M |
業績指標一覧
指標 | |
---|---|
EPS成長率(YoY) | +% |
売上成長率(YoY) | +299% |
ROA(総資産利益率) | -32% |
ROE(自己資本利益率) | -145% |
ROI(投資利益率) | -79% |
自己資本比率 | |
Gross Margin(粗利率) | 77.7% |
Operating Margin(営業利益率) | -68.4% |
Profit Margin(純利益率) | -111% |
M = Mllion(100万)
B = Bllion(10億)
収益性
同社は 19 年に国際オリンピック委員会(IOC)とパートナー契約を結び、このほど閉幕した東京五輪が最上位スポンサーとして臨む最初の大会でした。
新型コロナウイルスの影響で無観客となったことにより日本でインバウンド需要を取り込むもくろみは外れましたが、業績への影響は軽微だったようです。
EPS成長
EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。
参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。
Airbnbの2018年から2021年までの年次および四半期の1株当たり利益の履歴です。
- 2021年6月期のAirbnbのEPSは0.11ドルで、前年同期比で91.54%の減少となりました。
- 2021年6月30日までの12カ月間のAirbnbのEPSは15.48ドルで、前年同期比で1090.77%の増加となりました。
- Airbnb 2020年の年間EPSは16.12ドルで、2019年から522.39%増加しました。
- Airbnb 2019年の年間EPSは2.59ドルで、2018年から3600%の増加となりました。
- Airbnb 2018年の年間EPSは0.07ドルで、2017年から74.07%減少した。
売上高成長
2020年はコロナの影響をもろに受けています。
2020年1月まではYoYで30%程度の成長をしていましたが、コロナウイルスが流行りだしてからは大幅なマイナス成長です。特に2020年4月はYoYで-72%とボロボロの数字です。
しかし2020年6月以降を見てみるとYoYで-20%前後を推移しています。まだまだ油断はできないものの一旦はピークを超えたと見ることができます。
収益とは、企業が商品やサービスの販売と引き換えに顧客から受け取る金額と定義できる。収益は、損益計算書の最上位項目であり、そこからすべての費用と経費を差し引いて純利益を算出します。
下の表は、Airbnbの2018年から2021年までの年次/四半期ごとの収益の推移と成長率です。
- 2021年6月30日を期末とする四半期のAirbnbの収益は、前年同期比58.61%増の13.35億ドルでした。
- 2021年6月30日までの12カ月間のAirbnbの収益は34億1600万ドルで、前年同期比305.8%の増加となりました。
- 2020年のAirbnbの年間収益は3.378Bドルで、2019年に比べて29.7%減少しました。
- 2019年のAirbnbの年間収益は4.805Bドルで、2018年から31.58%増加しました。
- 2018年のAirbnbの年間収益は3.652Bドルで、2017年から42.56%増加しました。
会社が儲ける力
利益率成長
Airbnb (ABNB) の最近の売上総利益率、営業利益率、純利益率の現在と過去の推移です。
会社の経営の上手さ
ROE(自己資本利益率)
ROEは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標で、アメリカの投資家達が最も重要視している財務指標となっています。
米国企業のROEは平均的に日本企業(平均9%)の倍近い(平均17%)といわれ、アップルが約110%、テスらは6%程度と様々です。
逆にROEがマイナスの場合は赤字か債務過多状態の状態で、その会社は株主資本を1年とうしてどれだけ減らしたかってことがわかります。
Airbnb (ABNB) の最近の株主資本利益率(ROE)の現在および過去の値です。
会社の安全性
キャッシュフロー(CF)
キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。
キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。
C/Fでは主に安全性を確認できますが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/Fです。健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的です。
投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れます。そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。
フリーC/Fは営業C/Fと投資C/Fを足したものです。これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。
マイナスには要注意!
営業キャッシュフローがマイナス(=キャッシュフロー・マージンがマイナス)となっている場合は、即座に対応が必要な状況と言えます。
本業の稼ぎがマイナスであるということは、このままビジネスを続けても、ひたすらキャッシュが減り続け、それを投資活動の取り崩しや財務活動で賄うこととなります。
スタートアップ企業であれば、営業キャッシュフローのマイナスをVCやエンジェル投資家からの出資といった財務活動で賄うは一般的ですが、それ以外の企業で営業キャッシュフローがマイナスという状況は、非常に危機的な状況と言えます。
スクエア(SQ)の過去8年間のキャッシュフロー推移一覧です。
今後の見通し
今後については「短期的には新型コロナや、デルタ型を含む変異ウイルスの影響が継続する」との見方がエアビーから示されています。
ただ、需要回復が続いているほか、夏休みの旅行需要が加わることにより、7‐9 月の売上高は過去最高だった 19 年 7‐9 月期の 16 億 4600 万ドルを上回るとの見通しが示されています。
Airbnb(ABNB)が影響を受ける、旅行・宿泊領域は今後どのような見通しなのか考えてみます。
上記資料によると2018年の海外旅行者総数(一泊以上の旅行者)は前年比6%増で推定14億人だそうです。この数は今後も右肩上がりに増加して2030年には18億人に増えるとされています。
旅行者数が増加することは当然Airbnbにとって追い風となります。
また、UNWTOは旅行者増加の理由を下記のように分析しています。
- 世界経済が総じて成長傾向にある
- テクノロジー進歩によって登場した新たなビジネスモデル
- ビザ緩和
- 航空利用による旅行の浸透
そもそも人間にとって旅行とは根源的な欲求です。だからこそ、旅行をするためのお金や時間、手段を手に入れれば旅行をしたくなるのは必然です。
今後は「消費よりも体験」が重視されるムーブメントがさらに加速すると思います。
このミレニアルズ世代を中心とした「体験を重視する価値観」こそがAirbnbにとって最大の追い風ではないかと考えています。
体験を求めるからこそ旅行をする。旅行をする際にも従来より良い体験を求める。その手段が手軽にアクセス可能なAirbnbなのは必然でしょう。
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