新型コロナウイルスのワクチン開発への投資は「博打」です。
しかし、誰が勝者になるかに関係なく、きちんとおカネを貰える可能性の高い手堅いシナリオもあります。それは、ワクチン製造の下請け会社の株を買う方法です。
この方法は、ゴールド・ラッシュのときと同様です。実は一番儲けたのは金を取り当てている人ではなく、金を掘る人にツルハシやブーツなど身の回りのものを売っていいた人なのです。
エマージェント・バイオソリューションズ社のビジネスモデル
EBSは2001/9/11のアメリカ同時多発テロ事件の後、米国で起きた炭疽菌テロに対抗するワクチンを生産するところから事業を開始しました。
- 鎮痛薬として使用される「オピオイド」の中毒患者が過剰摂取で病院に担ぎ込まれた際に投与される「ナルカン」という薬の製造に力を注いできました。
- 新型コロナウイルスのワクチンに関してノヴァヴァックスとヴァックスアートが臨床試験を行うにあたり、臨床試験に必要となるワクチンを製造する契約しています。
- ジョンソン&ジョンソンとも下請けとして、1.35億ドルの契約を結びました。
- 英アストラゼネカと新型コロナウイルスワクチン3億回分の生産を契約。開発サービスや分析試験、医薬品成分の製造過程を提供すると発表しています。アストラゼネカとの契約額は約8700万ドルになります。
先ほど挙げた企業のうち、どのワクチン開発プロジェクトが成功するかは、誰にもわかりません。しかし、ワクチンが承認されるされない関わらず、下請けとしての製造の手間賃はEBSに支払われるため、堅調なビジネスモデルとなり得るのです。
さらに、良く効くワクチンが完成すれば、アメリカ政府がそれを大量に発注し、生産キャパシティに余裕があるEBSの売上が倍増すると予想されます。
エマージェント・バイオソリューションズ社業績
EBSの2Q決算
EPS | 3.21 |
PER | 36.61 |
配当利回り | – |
時価総額 | 62億ドル |
株式数 | 0.5億 |
EPS
EPS | 予想 | 結果 | % |
20/6 | 0.68 | 1.98 | 1650.0 |
19/6 | 0.17 | 0.12 | -78 |
18/9 | 0.61 | 0.55 | – |
予想64セント → 結果+1.98ドル
売上高
売上 | 予想 | 結果 | % |
20/6 | 297 | 395 | 162.5 |
19/6 | 213 | 243 | 110.4 |
18/6 | 209.3 | 220.2 | – |
予想2.97億ドル → 3.95億ドル
売上高成長率
前年同期比 +62.5%
近年の業績で、売上高は年々伸びています。これは近年、アメリカでオピオイド禍が年々酷くなり、それに応じて「ナルカン」の売上高が伸びたことが主な要因です。
しかし、アメリカ政府はオピオイド禍を抑え込むため、いろいろと手を尽くしています。それが成功した場合は、ナルカンの売上高は鈍化または減少に転じることが予想されますが、新型コロナの関連ビジネスは新しい収益源となり得ます。