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Sea Limited社について
企業概要
時価総額30Bドル以上「大型株」
時価総額10Bドル〜30Bドル未満「中型株」
時価総額10Bドル未満の銘柄「小型株」
ティッカー | 【SE】 |
会社名 | Sea Limited |
カテゴリー | SaaS |
設立 | 2009年5月8日, シンガポール |
CEO | フォレスト・リー氏 |
IPO | 2017年 10月 |
本部 | シンガポール |
従業員数 | 29,800人 |
シーはシンガポール発のインターネット企業です。主に東南アジアの消費者や中小企業向けに、デジタルエンターテイメント、電子商取引、電子ウォレットなどに特化したデジタル金融サービスを提供しています。Garenaではオンラインゲーム、Shopeeではeコマースプラットフォーム、AirPayではデジタル金融サービスを展開しています。
主要事業であるオンラインゲームのサービス名は、Garenaであり、Sea という社名は、東南アジア(South East Asia)に由来しています。
Our mission is to better the lives of consumers and small businesses with technology.
テクノロジーを活用して消費者や中小企業のライフを改善する
Sea Limited
CEOのフォレスト・リーは中国本土生まれで、上海交通大学、スタンフォード大学ビジネススクールを卒業し、シンガポールに移住、国籍を替えた経歴をもちます。リーとテンセントの間で深い協力関係が構築されていたと考えられます。
保有投資家
Sea Limitedには豊富な資金があり、同社のバランスシートには35.15億ドルの現金があるだけでなく、優良投資家として知られる中国のインターネット複合企業であるテンセントがいます。
2019年年次報告によると、2020年3月15日、創業者およびテンセントは、同社の普通株式の総議決権の63.0%を実質的に保有していましたが、2024年には、18%程度になっています。
機関投資家による保有比率は、最大であった2021年Q3の「1,073」から2023年Q3には「701」に減少しています。
バリュエーション(市場評価)
今後の期待値
過去5年間のPER推移
過去5年間のPBR推移
過去5年間のPSR推移
【テーマ性】Sea Limited社の事業内容と将来性
「需要」マーケット・ユーザー(顧客)
新型肺炎が蔓延し、都市封鎖(ロックダウン)・テレワーク(Work From Home)によって、2021年以降、消費者行意識は大きく変わりました。
航空・鉄道・飲食店といった業界は大打撃を受けていますが、
Seaの主要事業であるオンラインゲーム・ ECの業界は恩恵を被っています。
また、世界のビデオゲーム市場の規模は2021年までに1740億ドルに達すると推定されています。特にアジア太平洋地域はその規模が大きく、2019年の市場規模は720億ドルで、北米市場の2倍以上となっています。
売上構成比
Sea Limitedは競合企業から遅れながらもEコマース事業に参入しましたが、モバイルに焦点を当てたSeaの電子商取引事業体Shopeeは次のようなマーケットを獲得しています。
地域比
アジア太平洋地域の主要市場は、中国、日本、韓国です。しかし、これらの上位3カ国以外にも、東南アジアの新興成長市場には多くのチャンスがあり、Sea Limitedはゲームプラットフォーム「Garena」を通じ、この市場を支配しようと計画しています。
- シンガポール、マレーシア、タイで地位を築く
- 東南アジアのGDPの40%を占めるインドネシアでも、トコペディア、ラザダ、ブカラパックの先行者に取り付き、アプリのダウンロードベースでは首位に
- 東南アジアと台湾の月間アクティブユーザー数でShopeeが引き続きショッピング部門で1位を獲得
- 巨大市場インドでゲーム『Free Fire』の人気が高まっている
「供給」サービス・商品・問題解決
主要事業としては、3つの事業で構成されています。
2020年第2四半期の事業別売上成長率は、いずれも前年同期で
50%以上の伸びを見せています。
■デジタルエンターテイメント事業 +67.3%
■ EC事業(プラットフォームモデル) + 120.1%
■EC事業(小売モデル) + 225.8%
デジタルエンターテイメント(ゲーム)事業
Sea Limitedはゲームというアセットライトな事業で地盤を築きました。
デジタルエンターテイメント事業のアクティブユーザは、2019年2Qの3.1億人から2020年2Qでは4.9億人と1年間で2億人近くの増加を見せており、課金ユーザも2600万人から5000万人と直近の1年間で大幅に増加しています。
Garenaが有力なゲームコンテンツを配信できたのは、テンセントのバックアップが大きいです。「League of Legends」、「Arena of Valor」、「Speed Drifters」など、Garenaの最も人気のあるゲームの一部は、テンセントとその関連会社、またはテンセントが所有しているものです。
2020年Q2でゲーム事業Garenaの四半期アクティブユーザー数が61%成長しています。
四半期課金ユーザー数は91%成長しました。コロナによってゲーム利用が増加したことが反映されたと考えられます。
EC事業
ゲーム以外にも、Sea Limitedは「Shopee」プラットフォームを通じたEコマースにも積極的に取り組んでおり、デジタルエンタテインメントを上回るスピードで成長しています。
- 2017年のECの収益は4744万ドル。2019年には17倍近くに膨れ上がり、8億2265万ドルに達している。
- 2020年Q2でEC事業の総注文数が150%成長。
- 調整後の収益は同期間で187%増加。
- 流通総額(GMV)は110%成長。
- 非常に急激な成長が継続しています。
しかし、Sea Limitedにとってeコマースはまだ赤字です。最大のライバルであるLazadaのように、競合他社のほとんどは、中国のインターネットの巨人、アリババの支援を受けています。
このように、EC事業が派手な赤字を積み重ねる財務構造でしたが、近年、東南アジアのEC市場の成長が急加速したことで状況が一変しました。さらに、コロナ禍で一部の消費者がオンラインショッピングの割合を高めることで、Shopeeは急速にその収益規模を膨らませている。
Shopeeは中国で流行していることをすべて詰め込んだ造りをしています。
- アリババとJDの複占だった中国EC市場に突如食い込んだ拼多多のECアプリへのゲーミング機能の追加
- タオバオライブなどが激しい競争を繰り広げるライブストリーミングなどを揃えています
デジタル金融部門
Sea Limitedの第三の柱は、デジタル決済とデジタルウォレットを運営する事業体「SeaMoney」を通じたデジタル金融サービスで、Sea Limited の中では総売上高の0.5%未満を占め、最も小さな部門です。
導入から日が浅く、モバイルウォレットサービス(AirPay) 、決済サービス ( ShopeePay ) 、クレジットに関連するデジタル金融サービス( ShopeePayLater ) の3つの金融サービスの提供を行なっています。
東南アジアでも中国の先行例をならい、デジタル決済が浸透しつつあり、ECという最もデジタル決済と相性のいいプラットフォームを保持する「Shopee Pay」が猛烈な勢いで先行勢を追いかけています。
東南アジアの金融ハブであるシンガポールでは、MASがデジタル銀行のライセンス付与をめぐり14社の申請者を審査している最中だが、今後この地でデジタル銀行業を展開できることは、東南アジアの金融への強い影響力を持つ可能性があるということを意味しています。
将来の「成長ストーリー」は良好か?
エンターテイメント × 金融であればテンセント、EC × 金融であれば、まずアリババが思い浮かびますが、EC × 金融 × ゲームという3つの組み合わせは、今までにはない事例であり、非常に面白い企業だと思います。
東南アジアを代表的するプラットフォーマーになれるか、今後の企業動向を注目していきたいです。
また次回の決算においては、以下の観点で何か進捗があるのか確認していきたいと思います。
- エンターテイメント×EC、エンターテイメント× 金融で魅力的なサービスの開発・提供ができているか?
- 消費者行動の変容や、経済成長が著しい東南アジアの成長を取り込み、
- 高い売上高成長率を維持しているか?
- 売上高成長率に陰りが見える場合、営業利益の改善に向けた施策によって、先行投資の回収が行えるモデルになっているか?
Sea Limited社の業績まとめ
2021年の総収益は、2017年の新規株式公開(IPO)時の3倍になっていました。
2019年のデジタルエンターテインメント部門の収益は11億3600万ドルで、1年前の4億6200万シンガポールドルの2倍以上になりました。これは、グループの総収益21億ドルのほぼ半分を占め、急成長を遂げています。
ここでは以下の3点の視点で業績を見ていきましょう。
- 会社が儲ける力(収益性、損益計算書)
- 会社の経営の上手さ
- 会社の財務健全性(B/S バランスシート、貸借対照表)
会社が儲ける力(収益性、損益計算書)
EPS(一株あたり利益)
当期EPSと売上、年間のEPSが伸び始めているかが注目ポイントです。
EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。
参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。
4半期
年間
EPS予測
売上高成長率
収益とは、企業が商品やサービスの販売と引き換えに顧客から受け取る金額と定義できる。収益は、損益計算書の最上位項目であり、そこからすべての費用と経費を差し引いて純利益を算出します。
4半期
年間
収益予測
収益予測(EBIT)
EBITはEarnings Before Interest and Taxesの略で、企業の中核事業活動から利益を生み出す能力を評価するための重要な指標です。
企業の利益を示す指標であり、営業に関連するすべての収益と費用を含むが、利子と法人税費用は含まないものです。
収益から、税金と利息を除いた費用を差し引いたものとして計算されます。
EBITは営業利益とも呼ばれ、企業の中核事業の業績分析に用いられ、投資家が企業の収益性と将来性を判断するのに役立ち、財務分析では企業の営業成績を評価するために使用されます。
利益率(Margin)
COGS には固定費も変動費もそれぞれ混合されています。
卸売業や小売業であれば、変動費と COGS はほぼ等しい関係にあります。一方、サービス業や製造業では、人件費や工場経費が COGS に含まれるため、多くの固定費が COGS に入ります。
Gross Margin(粗利率)
4半期
年間
Operating Margin(営業利益)
4半期
年間
Profit Margin(純利益率)
4半期
年間
会社の経営の上手さ
ROE(自己資本利益率)
ROEは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標で、アメリカの投資家達が最も重要視している財務指標となっています。
米国企業のROEは平均的に日本企業(平均9%)の倍近い(平均17%)といわれ、アップルが約110%、テスらは6%程度と様々です。
逆にROEがマイナスの場合は赤字か債務過多状態の状態で、その会社は株主資本を1年とうしてどれだけ減らしたかってことがわかります。
四半期
年間
ROA(総資産利益率)
ROAは、自己資本に加え、借金や現金も含めた総資産をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標です。
アメリカの企業におけるROAの平均値は6%程度ですが、日本企業の平均値は3%程度です。そのため、日本企業ではROAの目標値を5%程度で設定しているところが多いです。
上記数値が年々上昇傾向にあればROAの上昇につながり、株価の上昇につながります。
四半期
年間
会社の財務健全性(B/S バランスシート、貸借対照表)
自己資本比率
自己資本と他人資本を合計した総資本に占める自己資本の割合です。自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいとされています。
自己資本比率=(自己資本/負債+自己資本)×100%
50%以上あればかなり良好な状態といえ、少なくとも30%程度は確保しておくとよいと言われています。
自己資本比率は、業種によって大きく異なります。以下に、中小企業庁「平成30年中小企業実態基本調査」による業種別の黒字企業の平均になります。
業種 | 自己資本比率 |
---|---|
建設業 | 39.5% |
製造業 | 45.6% |
情報通信業 | 58.6% |
運輸業、郵便業 | 36.3% |
卸売業 | 38.3% |
小売業 | 36.7% |
不動産業、物品貸借業 | 32.7% |
宿泊業・飲食サービス業 | 14.4% |
サービス業(ほかに分類されないもの) | 44.9% |
*一般に投資機会が豊富でROI(投下資本利益率)が金利を上回る状況では、自己資本比率が低いほどROE(株主資本利益率)が高まります。これを財務レバレッジ効果と呼びます。
日本企業の自己資本比率は約20%(高度成長期=財務レバレッジ)→製造業平均48.6%(2004年)
また、米国主要500社の自己資本比率の平均は32%と言われています。 業種や会社の数、規模など違いはありますが、日本の自己資本比率の平均がアメリカを上回っています。
キャッシュフロー(CF)
キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。
キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。
C/Fでは主に安全性を確認できますが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/Fです。健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的です。
投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れます。そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。
フリーC/Fは営業C/Fと投資C/Fを足したものをです。これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。
営業CF(CFO)
四半期
年間
投資CF(CFI)
四半期
年間
財務CF(CFF)
四半期
年間