この株はテンバガー期待できるか?
次の4つの視点に着目して分析していきます。
時価総額
企業概要
ティッカー | S [NYSE] |
会社名 | SentinelOne, Inc. |
セクター | SaaS セキュリティ |
設立 | 2013年 |
IPO(上場) | 2021年 6月30日 |
CEO | Tomer Weingarten氏 |
時価総額 | 11.3Bドル |
本部 | カルフォルニア州 マウンテンビュー |
従業員数 | 850人 |
単位:T=1兆、B=10億、M=100万
IPO幹事構成
シェアホルダー
テクニカル
バリュエーション
IPO後初値 ドルから、+10 %の価格帯で推移しています。
価格帯別出来高
直近のサポートラインは、47ドルとなっています。
テーマ性(事業内容)
会社ビジョン
マーケット
IDCによると、当社のソリューションが対応する市場は、2021年から2024年の間に年平均成長率11.9%で成長し、2024年には402億ドルに達すると予想されています。
現在、当社の対応可能な市場は、以下の市場からの収益です。
企業向けエンドポイントセキュリティ
2021年に97億ドル、2024年に120億ドルに成長する市場で、モダンエンドポイントセキュリティ、サーバセキュリティ(物理サーバおよびクラウドワークロードセキュリティ)、情報保護および制御、エンドポイントマネジメントから構成されます。
サイバーセキュリティ・アナリティクス、インテリジェンス、レスポンス、オーケストレーション
デバイスの脆弱性評価、フォレンジックとインシデント調査、ポリシーとコンプライアンス、セキュリティデバイスのシステム管理、セキュリティ情報とイベント管理(SIEM)、ソフトウェアの脆弱性評価などで構成されます。
ITオペレーションマネジメント
2021年の市場規模は59億ドル、2024年には111億ドルに成長
From S-1
サービス・商品
サイバーセキュリティ・ソリューションには、単一の自律XDRプラットフォーム内のエンドポイント、コンテナ、クラウド・ワークロード、およびモノのインターネット(IoT)デバイスにわたるAI(人工知能)による防止、検出、応答、および脅威ハンティングが含まれます。
当社は、エンドポイントを含めたサイバーセキュリティの防御を真に自律的なものにするために、世界で初めてAIを搭載した拡張検知・応答(XDR)プラットフォームを開発しました。
当社のシンギュラリティ・プラットフォームは、サイバー攻撃を瞬時に防御し、人間一人、あるいは群衆が行うよりも高速、大規模、高精度で実行します。
当社のXDRプラットフォームは、拡大を続ける外部および内部の無数の異種ソースからのペタバイト級の構造化および非構造化データをリアルタイムで取り込み、相関付け、照会します。
組織全体のデータの動的な表現を構築することで、リッチなコンテキストを構築し、より高い可視性を提供します。
その結果、当社のAIモデルは、高い精度、実用性、および自律性を備えています。当社の分散型AIモデルは、すべてのエンドポイント、すべてのクラウドワークロード上でローカルに実行されるとともに、当社のクラウドプラットフォーム上でも実行されます。
各エンドポイントとクラウドのワークロード上で、高度に最適化されたAIモデルを単一の軽量ソフトウェアエージェントで実行します。静的AIモデルは、あらゆる種類のファイルベースの攻撃を予測し、「ゼロデイ攻撃」と呼ばれる未知の脅威も、ミリ秒単位の極めて高い精度で予測します。
AIモデルは、エンドポイント上のすべての振る舞いをマッピング、監視、リンクして、ストーリーラインと呼ばれるリッチでコンテクストのあるストーリーを作成します。忠実に再現されたストーリーラインは、行動AIモデルによって継続的に評価されます。
行動が脅威であると判断された場合、当社のソフトウェアは自律的に攻撃を阻止するための行動を起こします。ストーリーラインには、攻撃中に行われた不正な変更の完全な記録が含まれているため、これらの変更を修正したり、元に戻したりすることができます。
デバイスの時間を巻き戻す力は、市場ではユニークなものです。これは究極のセーフティネットであり、自律的なサイバーセキュリティの模範となるものです。このように、私たちのソフトウェアは、手動での高価で時間のかかるインシデント・クリーンアップを排除します。”
From S-1
「当社のシンギュラリティ・プラットフォームの階層は以下の通りです。
シンギュラリティ・コア
従来のアンチウイルス製品や次世代アンチウイルス製品よりも効果的で管理しやすいと考えられる当社のEPPでアンチウイルスツールを置き換えたいと考えている組織向けのエントリーレベルのセキュリティソリューションです。Singularity Coreには、当社のStatic and Behavioral AIモデル、自律的な脅威対応とロールバック機能が含まれます。
シンギュラリティ・コントロールエンドポイント管理のための当社の「セキュリティ・スイート」機能を追加した、ベスト・オブ・ブリードのセキュリティを求める組織向けに作られたもの。ネットワーク接続、USBやBluetoothの周辺機器を制御したり、不正なデバイスを発見するための機能が追加されています。
シンギュラリティ・コンプリート
シンギュラリティ・コンプリート(Singularity Complete)は、シンギュラリティ製品のすべての機能を備えたフラッグシップ製品です。
From S-1
ビジネスモデル
「当社は、当社のSingularity Platformのサブスクリプションを販売することで、実質的にすべての収益を得ています。
当社のサブスクリプションは、Singularity Core、Singularity Control、Singularity Completeの3つの階層に分かれています。さらに、顧客は8つのサブスクリプション型Singularityモジュールによって、当社プラットフォームの機能を拡張することができます。
当社のサブスクリプションおよびモジュールの価格は、通常、エージェント単位で設定されており、各エージェントは、通常、エンドポイント、サーバ、仮想マシン、またはコンテナに対応しています。
当社のサブスクリプション契約は通常1年から3年です。サブスクリプション収益は、契約期間に応じて認識しています。ほとんどの契約は1年単位の契約であるため、通常、次年度も同じ時期に契約が更新されます。
複数年にわたる大規模な契約のタイミングによっては、期間中の契約数が変動することがありますが、収益の認識が一定であるため、特定の期間の収益への影響は限定的です。
From S-1
売上構成比
地域比
売上地域比率は現在アメリカが70%、そのほかの地域で30%となっています。
SaaS銘柄ベンチマーク比較
以下に示すデータは、センチネルワンと、現在公開されているSaaSビジネスの営業指標との比較を示しています。
LTM (Last 12 Months) 売上高($MM: millions)
センチネルワン(S)のLTM収益は113Mドルでした。これにより、最小のパブリッククラウド企業となっています。
LTM (Last 12 Months) 売上高成長 (%)
センチネルワン(S)のLTM収益成長率は+101%で、成長率が100%を超えた数少ないクラウド事業の1つとなっています。
LTM (Last 12 Months) GAAP 粗利率 (%)
センチネルワン(S)のLTM粗利益率は56%で、パブリッククラウド企業としては低い方です。
LTM (Last 12 Months) GAAP 営業利益率 (%)
センチネルワン(S)のLTM営業利益率は▲134%で、パブリック・クラウド事業者の中で最も低い水準となっっています。
LTM S&M(Sales & Marketing)費用 ( LTM Revenue比率)
多額の損害を受けたにもかかわらず、センチネルワン(S)は、パブリッククラウド企業の中で最も高い比率でS&M(Sales & Marketing)に費用をかけています。
SaaS企業のコスト(営業費用)は、サービス提供に直接関連する費用の、「売上原価」と、「販管費」があります。
海外のSaaS企業は、どの会社も販管費を「R&D」「S&M」「G&A」の3つに分けて開示しています。
- S&M(Sales & Marketing):営業部やマーケティング部門の人件費やマーケティング費用等が該当します。将来の売上高を増やすための費用です。
- R&D(Research & Development):プロダクト開発等に伴う人件費等が該当します。
- G&A(General & Administrative):管理部門の人件費やその他一般管理費が該当します。
業績
決算
業績指標サマリー
指標 | |
---|---|
売上成長率(YtoY) | +121% |
PER(LTM) | – |
PER(NTM) | – |
PSR(LTM) | – |
PSR(NTM) | – |
ROA(総資産利益率) | -24.77% |
ROE(自己資本利益率) | -10% |
ROI(投資利益率) | -11% |
自己資本比率 | |
Gross Margin(粗利率) | 55% |
Operating Margin(営業利益率) | –142% |
Profit Margin(純利益率) | -144% |
EBITDA Margin | -1.31% |
M = Mllion(100万)
B = Bllion(10億)
40%ルール
赤字のベンチャー企業の株価を判断する有名な一つの指標として「Rule of 40(40%ルール)」があります。論理的な理由は説明されていませんが、次の2種類の見方があります。
- ① 成長率+利益率=40%以上
- ② 成長率(売上高成長率)+FCFマージン=40%以上
40%以上だと良い、40%以下だと悪いとされています。
昨今の米国のソフトウェア企業の決算資料やカンファレンスコールでは、40%ルール(Rule of 40)といえばあたりまえのように「②FCFマージン+売上成長率」が使われているため、当ブログでは②を使用しています。
*FCFマージン(%)=(営業CF+投資CF) ÷ 売上高
下のチャートでは、LTM収益成長率+LTM FCFマージンを表示しています。センチネルワン(S)の高い成長率にもかかわらず、
同社のRule of 40は、重い損失を考慮すると40%以下にとどまっています。
収益性
ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)
売上高成長
売上成長率
センチネルワン(S)は、過去4四半期において、素晴らしい成長の加速を示しています。
キャッシュフロー(CF)
財務CFと現金を多く積んでいます。これは必要な投資を行うための資金の調達や返済など財務活動に関するキャッシュになります。
C/Fでは主に安全性を確認できますが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/Fです。健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的です。
投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れます。そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。
フリーC/Fは営業C/Fと投資C/Fを足したものをです。これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。
成長性
純資産成長率
純資産成長率は、会社の純資産がCAGR(年平均成長率)でどれだけ増加したかを示す指標で目安は3%以上と言われています。
純資産成長率(%) =( 当期純資産ーn期前純資産/n期前純資産 ) × 100
アップルの様に2013年から本格的に株主還元(自社株買い、配当)を行っている場合、総還元性向は100%前後あり、結果として純資産は横ばいになります。
この記事の情報ソース
↓売り出し目論見書
↓公式のIR資料
↓その他ツールサイト
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