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Unity社について
企業概要
Unityは、ゲーム開発プラットフォームのゲームエンジンを提供している会社です。
世界で150万人のクリエーターが利用しており、これらクリエーターが作成したコンテンツは19年に月間30億回ダウンロードされた実績をもちます。
コアのゲーム・エンジン・ソフトウェアはサブスクリプションによって拡大が続き、「Operate Solutions」では、ゲーム内の広告、マルチプレーヤーのホスティングなどをオファーすることで売上拡大が期待されます。
2023年までに売上を倍増させ、20%以上の営業利益率を達成すると期待されています。IPOで15億ドルを調達したことで、当面のキャッシュバーンをカバーし、さらに必要な買収を実行できる「火力」を備えることができています。
引用:SBI証券
サービス・商品 with 顧客(マーケット)
サービスとしては、次のようなマーケットに展開しています。
- ゲーム開発
- 建築や映画など
ゲーム開発マーケット
ゲームエンジンのマーケットは2019年時点で、$2.18B( 約2280億円 )。今後2027年までに13.63%で伸びていき、2027年には$5.96B( 約6250億円)になる見込みです(CISIONという調査会社のデータから)。
正直、規模の成長も他のマーケットに比べれば一段劣るかなという印象です。やはり$10B以上いって欲しいですし、年平均20%以上、伸びているとマーケットの恩恵を受けられるかなと思います。
マーケットサイズだけを見ると、ゲームエンジンそのもののビジネスは決してバラ色のマーケットではない様に思えます。
Unityはセルフサービス型モデルと大規模顧客への直販の組み合わせ
年売上(TTM)10万ドル以上の顧客は716社で収益の74%占めました。
なお、その716社のうち60社がゲーム以外の産業の顧客でした。
建築や映画マーケット
S-1資料(IPO上場前の説明資料)には、ゲーム以外の用途として建築や映画などが挙げられています。
正直、この辺りのユースケースは可能性としてはあるものの、現時点では売上に貢献するような規模にはなってないように思われます。
ですので、これらの用途向けには、スタートアップがそれら専用の3Dエンジンを作るケースも多く、現時点でUnityがゲーム以外の用途へ広げていける可能性は、折り込むべきじゃないのかなと考えます。
VR/ARも、Unityの用途として挙げられてます。確かにVR/ARが流行ってこればUnityに追い風になる可能性はありますが、VR/ARはまだまだマーケットが小さいのでこれも現時点では折り込みにくいのかなと思います。たとえ、VR/ARが拡大したとしてもハードウェア込みで5年後に10億ドルがやっとというマーケットです。その中でゲームエンジン全体が手にする果実はそれほど大きくはないでしょう。
ビジネスモデル
Unityのビジネスモデルは大きく2つに分かれます。
- Create Solutions部門 (売上比率30%)
- Operate Solutions部門 (売上比率60%)
- 残り10%はパートナーシップなどとになっています。
1)Create Solutions部門
売上の30%ほどを占める「Create Solutions部門」は、Unityのツールそのものを使う使用料みたいなものです。
Unityは基本無料なのですが、いくかの拡張機能を使うには月額のサブスクリプションを支払う必要があります。年間$100k(およそ1000万円)以上稼ぐ事業者は、いちばん高いプロライセンス料を使う必要があるとのことです。
2)Operate Solutions部門
売上の30%ほどを占める「Operate Solutions部門」は、ゲームエンジン以外に開発者をサポートするサービスです。
マルチプレイの仕組みだったり、ゲーム内における難易度設定などのAIなどを展開してますが、どうやら一番の稼ぎはUnity Adsというサービスで、ゲームデベロッパーが広告モデルで事業展開するためのサポートをします。
(*売上の内訳はありませんが、一番記述が多いのが広告なのでおそらくそうだと思われます)
よくゲームをすると、ゲーム内広告を見ることがあると思います。インプレッションや広告をクリック、広告のアプリのインストールするなど成果ポイントは違います。
基本的には広告の露出によって出稿主からデベロッパーに一定金額が支払われ、一定割合をUnityが手数料として受け取るという形が一般的です。この領域はアドネットワークと呼ばれ、専門業者もいくつか多くいますが、Unityの存在が徐々に強まっている印象があります。
サブスクとレベニューシェアを組み合わせ、クロスセルに特に最近力をいれているようです。
ライバル・競合他社
ゲームエンジンの開発を行っている会社として、2020年時点では事実上UnityとEpic GamesのUnreal Engineの二強という状況になってます。
それぞれ、Unityはモバイルのシェアが高く、Unreal EngineはPC向けのシェアが高いように思います。
その違いは、ゲームエンジンの特性にあり簡単に説明すると、Unityはよりインタラクティブ、Unreal Engineはより高解像度に注力している特徴があります。
「Apex Regends」や「League of Legend」といった最新のPCゲームまでUnityで作られてると聞くとUnityでも十分高品質なゲームが作れるのだと思います。
しかし、Fortniteを初め超トップゲームは依然、Unreal Engineが多いかなという印象です。またRiotGamesみたいに、新作はUnreal Engineで開発するというデベロッパーも出始めてきたため、トップゲームのシェア争いは熾烈な争いが続いてるようです。
Unity社の強み
Unityは世界のゲーム数のシェア50%を超えてるのですが、忘れてはいけないのは「世界のゲームの売り上げはトップ20%が80%を稼ぐようなビジネス」だという法則です。
ですので、このトップ20%がどのエンジンで作られてるかがかなり重要ですが、ここに対する具体的な文献は見つかりませんでした。
あくまでも、私見にですが、トップクラスのゲームはUnreal Engineか自社でエンジンを作ってるケースが徐々に多くなってきてるように思います。高品質のトリプルエータイトルを目指すデベロッパーはUnreal Engineを選ぶ傾向が強いと感じます。
グロース(成長)株か?バリュー(割安)銘柄か?
この株は未来の「GAFAM」のようなテンバガー株になりうるか!?
以下のグロース株5つのポイントに沿って確認してみましょう。
1) 決算が予想を上回っているか?
最初の決算は、2020年11月24日に予定されています。
業績ガイダンスは以下のようになっています。
Q3ガイダンス | 新ガイダンス |
---|---|
EPS(一株利益) | -0.02ドル |
売上高 | 1.92億ドル |
業績ガイダンスとは、上場企業が決算発表において明らかにする「今期の業績見通し」のこと
売上成長
直近の売上は$140.43M(YtoY:39.19%)となっています。2020Q1までYtoYが減速してきましたが、2020Q2に入って売上増が加速しています。
直近はOperate Solutionsが売上の60%を占めており、このセクター自体の売上はYtoY62%で成長しています。すなわち、Unityはゲームエンジンそのものよりも、ゲームエンジンの上に展開してる広告モデルなどで直近は成長していることがわかります。既存顧客も順調に増えており、NRR(売上継続率)も142%と高く、この辺りの数字は基本ポジティブに見えます。
利益構成を見る限りはかなり良い数字に見えます。粗利率77%はSaaSモデルはトップクラスです。
また、R&D, マーケティングも合わせて70%近くですが、グロースでもなかなか高い数字だなと思いますが、許容範囲内です。営業利益は赤字ですが、IPO株ではそこまで気にするものでもありません。
これらの利益構成は優秀です。心配する点はありません。
2) 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
IPO直後から右肩上がりの成長を遂げています。
3)時価総額が比較的小さいか?
時価総額は31.7Bドル(2020/10/1)
4) PSR(株価売上率)は割高か割安か?
PERはEPSがマイナスなので参考にならないため、
替わりにPSRを確認します。
売上成長や粗利率などが近いSaaS銘柄のOKTA(OKTA)は、約37倍(過去の決算をほぼ全てクリア)
Docusign(DOCU)は、約32倍。
IPOしたてなのに、PSRは期待値がすごく高く、割高感があります。
5) 将来の「成長ストーリー」は良好か?
・銘柄は超つくほどではないが優良の部類に入る
・3年超の超長期では安心感のある銘柄
・だが、気になる点がいくつかあるので基本的には決算を1回、2回待ち
まず第一に、銘柄自体はかなり良い銘柄だと思います。マーケットは若干小さく伸びてないものの、競合がほとんどいない点が魅力的です。Unityが今後大きくこけることは可能性は低いでしょう。
ただ、いくつか気になる点があるので少なくとも次の決算を待ってみようと思います。
- ゲーム内広告モデルはダウントレンド
- トップゲームのエンジンシェア争い
- ゲーム特需を受け切れてない可能性