未来予想図(2030-2040-2050年)
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【NCNO】エヌシーノ(nCino )は銀行業界特化のサブスク(Vertical SaaS)

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企業概要

会社サマリー
  • nCinoは銀行業界特化のVertical SaaS
  • 金融機関向けにクラウドベースのソフトウェアを提供
  • 金融サービス業で一番ホットと言われており、中小銀行、信用金庫などにSaaSでソリューションを提供
  • 一度獲得した顧客はずっと nCino のサービスを使うビジネスモデル
  • 10か国に1,100社以上の顧客
  • 売上高は前年度で1.4億ドルほどに到達(成長率50%以上、*NRR147%)
  • 2019年に日本法人も設立

*NRR(Net Retention Rate)=売上継続率

ティッカーNCNO [NASD]
会社名nCino, Inc.
セクター金融機関向けSaaS
Technology | Software – Application | USA
設立2011年
IPO(上場)2020年 7月
CEOジェームズ(チップ)・メイハンIII世氏
ピエール・ナウデ氏
時価総額5.4Bドル
本部アメリカ合衆国 ノース・カロライナ州
ウィルミントン
従業員数991人(2020年12月)
→1115人(2021年5月)

B = Bllion(10億ドル)

バリュエーション

IPO後初値 71.0ドルから、▲20%の価格帯で推移しています。

下のチャートは、価格帯別出来高(上段左灰色グラフ)になります。

74〜82ドル付近に購入ボリューム層があることが分かります。

引用:楽天証券
業績サマリー

M = Mllion(100万)
B = Bllion(10億)

業績
業績
売上成長率(YtoY)+47.8%
PER(LTM)
PER(NTM)
PSR(LTM)23.4倍
PSR(NTM)18.8倍
ROA(総資産利益率)-8.60%
ROE(自己資本利益率)-11.20%
ROI(投資利益率)-9.80%
Gross Margin(粗利率)56.90%
Operating Margin(営業利益率)-20.90%
Profit Margin(純利益率)-19.80%
2020/12決算時点

投資用語のかんたん解説集

指標の意味と見方については、次の記事で解説しています。

決算

Seeking Alphaによると、EPS、売上高ともに、オールOKです。

引用:Seeking Alpha
2020年 Q4 決算直近決算良否予想サプライズ値実績
EPS(一株利益)○パス– 0.09ドル→ 0.03 →-0.06 ドル
売上高パス53.33M ドル→ 3.26M →56.59M ドル
売上成長率(YoY)+47.8%
2021年 Q1 ガイダンスアナリスト予想会社予想
EPS予想– 0.05ドル
売上高予想59.36Mドル
売上成長率(YoY)+%
Source : Seeking Alpha

Trading Viewによると、EPS、売上高ともに、オールOKです。

Source : Trading view
次回の決算日

2021/6/2

Source : Trading view

深掘り公式資料より、ビジネス、業績について

以下のポイントに沿って、公式資料から抜粋して深掘りしていきます。

深掘り 内容

ビジネスについて

  • マーケット
  • ユーザー、顧客
  • ソリューション(テクノロジー、プロダクト
  • ビジネスモデル
  • コンペティター(競合)

業績について

  • 業績
  • 売上成長、損益
  • バランスシート(B/S)
  • キャッシュフロー(CF)
  • 今後の業績見通し

*引用ボックス内は、目論見書(S-1)等SEC.GOV公式資料から引用しています。

マーケット(ユーザー)

金融機関の動向

2018年のEY社の調査によると、現在85%の銀行が事業の近代化のためにデジタルトランスフォーメーションを実施しており、60%の銀行が今後12カ月間にテクノロジー予算を少なくとも10%増加させる予定です。

さらに、世界の銀行の60%から80%が、今後3年間でクラウドテクノロジーへの投資を増やす予定であると回答しています。

また、金融機関のコンプライアンスコストは2017年以降、前年比で13%増加しています。

今は、どの業界もDXの転換点だと思いますので、金融機関のコンプライアンスコストなどを抑えるためにもすべてが包括されているnCinoのソリューションは需要が高まるかと思います。

市場規模

nCino社は、同社の銀行業務システムの総市場規模を100億ドル以上(1兆円)と見積もっています。

世界に28,000社あるといわれる金融機関は、テクノロジーに積極的な企業として知られておらず、厳しい規制の下で運営されているため、新しいテクノロジーの導入は困難ですが、その予算は膨大です。

ガートナー社の推計によると、2018年の銀行市場におけるソフトウェアのグローバルエンタープライズIT支出は6300億ドルで、そのうち180億ドルは垂直統合型ソフトウェアに対するものでした。

IDC社では、銀行業務におけるSaaSの収益は、2018年の130億ドルから2023年には290億ドルになると予測しており、CAGR(年平均成長率)は17%となっています。

ユーザー

米国で最初にnCinoを立ち上げた時は、まず中小規模の銀行をターゲットとし、その後徐々に大規模な銀行にも導入がされ始めています。

今では世界全体で900人以上の従業員を抱え、1,100社以上の顧客を10か国以上に持ち、日本にも進出しています。米国・日本以外には、ロンドン・シドニー・トロント・ソルトレークシティなどにオフィスを持っています。

以下はSaaSの業績開示でよく見るコホート図で、各FYに獲得したACV*が、今のS-1開示のタイミングまでに何倍に増えたのかを示した図です。

*ACV = Annual Contract Value(年間契約額)

nCino コホート図

上のコホート図から次のことがわかります。

  • どのFYに獲得した契約(ACV)も、順調に売上額を拡大できている
  • 2013~2014年のACVは2倍を超える増加額になっている
  • それに対し、2015~2017年の間の倍率が軒並み1.5倍程に留まっている

nCinoは、平均3年ほどの契約期間となっている為、2015~2017年に契約した顧客はまだ契約更新のタイミングが1回ずつしか来ておらず、この3年分のACVの増加額は2015~2017年全て同じ位の水準になるということを意味します。

同様に、2018~2019年はまだ契約更新が1回も来ていない顧客が多いと思われる為、同じ程度の1.2倍程度の倍率に収まっています。

ソリューション(テクノロジー、プロダクト)

エヌシーノは、金融機関向けにクラウドベースのソフトウェアを提供しています。

ソフトウェアソリューションは、非効率的で複雑なプロセスおよびワークフローをデジタル化、自動化、合理化し、データ分析および人工知能を利用しています。

これにより、金融機関は、より効果的に新しい顧客にサービスを導入し、ローンを組成し、ローンのライフサイクル全体を管理し、預金および他の口座を開設し、規制遵守を管理することが可能になります。

コンフィギュレーションおよび実装、トレーニング、アドバイザリーサービスなどのプロフェッショナルサービスも提供しています。

銀行向けに顧客のオンボーディングや、借入の実施、口座開設、リスク管理、営業管理などなど、銀行業務に関わるあらゆる業務を実施できるSaaSを提供しています。

以下の図の様に、文書管理、CRM、顧客/パートナーとのコミュニケーション、ビジネスプロセスマネジメント(日本で言う稟議システム)、BIなどの基礎機能が備わり、口座開設や融資などもこのSaaS上で業務を完結できるソリューションです。

このソリューションを導入する事により、

  • 口座開設のコンバージョン向上
  • 融資契約のリードタイムの短縮
  • コストの削減

    といった効果があるとの事です。

nCino IQ(nIQ)

FinSuiteとVisible Equityの買収により作成され、AI/MLを駆使した分析、自動化、光学式文字認識技術(OCR)を提供しています。

こちらはAI/機械学習ベースのデータ分析や、業務の自動化、OCRによる財務諸表や税務申告書のデータ化などにより銀行業務をより効率化することで、リアルタイムで動作し、顧客がエンドユーザーに対してよりパーソナライズされた体験を提供することを可能にするそうです。

ただの業務システム以外にもAI/機械学習などを活用した、自動化やデータドリブンな銀行業務という所にも開発投資を進めているのが一つの特徴です。

nIQのプロダクトイメージ
  1. 文書データをOCRでデジタルデータ化(手動でのデータ入力を減らす)
  2. デジタルデータを、包括的な業界データと機械学習モデルと組み合わせることで、信用リスクや収益性に関する洞察を計算
  3. 計算したデータをnCinoのエンドツーエンド・プラットフォームを通じて、適切な銀行員に適切なタイミングで提供
導入効果
  • 営業費用の17%削減
  • 収益の19%増大
  • スタッフの効率性の22%向上
  • 融資のサイクルタイム減少
  • クロスセル、アップセルによる売上機会の増加

公式HP(ncino.co.jp/platform/benefits-value/)より

売上構成・ビジネスモデル

nCino社の収益の80%はサブスクリプション方式(サブスクリプション料は毎年前払い)です。

グローバルな金融機関、企業銀行、地域銀行、コミュニティーバンク、信用組合を対象としており、収益の大半は米国からのものとなっています。

サブスク課金体系
  • 販売サイクルは一般的に長く、小規模な金融機関では6~9ヶ月、大規模な金融機関では12~18ヶ月以上
  • nCinoは、製品のインストールとオンボード化に大きな労力を要するため、契約期間は3〜5年は必須である。
  • 収益と顧客への導入を拡大するためにランド&エクスパンションモデルを採用(無料プランや小規模のプランなどを用意している)
  • 製品のオンボーディング、ローンオリジネーション、および預金口座開設アプリケーションは、シート単位で課金(固定課金)
  • nIQは、顧客の資産規模または使用量ベースで価格設定(従量課金)

通常は3〜5年の前払い契約となっている為、売上が前年度で1.4億ドルなのに対して、残存履行義務(売上計上していない残契約額)が4.3億ドルほどに達しているのが特徴です。

契約までのリードタイムは通常のSaaSと比較するとかなり長く、小規模な金融機関で6〜9か月、大規模な金融機関の場合は12〜18か月ほどに達する様です。

他のSaaSだとモノによってはエンプラ規模でも6〜9か月で受注できてしまう様なものもありますが、銀行の業務システムとなると、勘定系ではないとは言え業態上システムのエラーなどは絶対に許されない為、検証含め相当な時間が掛かるという事かと思います。

プロフェッショナルサービス

サブスクリプションとは別に、システムの導入(implementation)や設定(configuration)の支援、トレーニング、アドバイザリーサービスを提供しています。

企業や大規模な地域金融機関の場合、通常はSI(システムインテグレーター)と協力してシステムの導入(implementation)サービスの大部分を提供しています。

nCinoは、SI(システム・インテグレーター)を利用して顧客の統合を支援しているそうです。(1,500人以上のSIコンサルタントがトレーニングプログラムを修了)

海外売上高

米国以外にも拠点をいくつも持っているnCinoですが、米国以外の売上はまだそこまで多くはありませんが、かなりのスピードで海外展開を加速しているようです。

  • FY20の4Q2(020/1月期の時点)では海外売上高は売上全体の7%程度で10億円ほど
  • FY21の1Q(2020年2月~4月)では海外売上高比率は9.5%ほど

コンペティター(競合)

nCinoは、S-1において競合他社の名前を挙げておらず、同社製品の主な競合は、銀行自身が内部で構築した製品であるとしています。

nCinoは、今後競合他社が増加すると予想していますが、1つのプラットフォーム上の総合的な製品群への注力と、銀行の専門知識や評判が競争上の優位性であると考えています。

出典:楽天証券

業績

売上成長(損益)

nCino P/L

Total Revenues(総売上高)が前年比+150%%ほど、Subscription revenuesが前年比+60%ほどのスピードで急激に伸びている事が分かります。

  • Subscription revenues → SaaSのリカーリング売上
  • Professional service revenues → SaaSの導入支援を行うサービス

Subscription revenuesの成長の内の15%程は2社の買収による影響との事です。

また、導入支援(Professional service revenues)は、ほぼ原価で提供している事が分かります。そのため、SaaSの粗利率は70%ほどなのに対して、全体の粗利率は50%まで低下しています。

バランスシート

資産

  • 典型的なSaaS企業の構成
  • 総資産は250Mドル
  • その大半を現預金・売掛金(54.1%)とのれん・無形資産(32.7%)で占められている
  • 有形の資産は、僅か13.4Mドルで全体の5%ほど

負債・純資産

  • 典型的なSaaS企業の構成
  • 前受収益(Deffered Revenue)が負債の多くを占め、多額の資金調達により純資産は膨らんでいるものの、赤字を掘り続けている為、利益剰余金は大きなマイナス
  • Remaining performance obligations(残存契約履行義務)は2020年1月末時点で431.5Mドルあるのに対し、前受収益は51Mドル程ですので、契約時点でマルっとお金を顧客から貰っている訳では無さそう
  • 平均契約期間が3年とすると、上記の51と431の比率から考えると凡そ3~4か月分のお金を前払いで貰っている計算になり、基本的には四半期毎位でお金を払ってもらっているという事

キャッシュフロー

出典:マネックス証券

今後の業績見通し

出典:楽天証券
Source:https://app.koyfin.com/

この記事の情報ソース

↓公式のSec.gov資料

↓公式のIR資料

↓その他ツールサイト

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