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企業概要
- イーハン・ホールディングスは、中国広州を本拠地にするドローンメーカー
- ドローン単体ではなくインフラを志向している
- 時価総額が小さく市場形成もまだ
- 中国の有人ドローンの会社で、物流や消防活動に利用される
- 北京オリンピックに向けて更に活躍の場が広がることに期待
- Ehangがグリーンランド香港と空中観光サービスを開始 ・中国広東省の人気ツアーで、空中観光プログラムと空中メディアショーが含まれる
- 今後もグリーンランド香港と共同でEH216(AAV)を使用した航空観光サービスを他都市で提供予定
ティッカー | 【EH】 |
会社名 | EHang Holdings Limited |
セクター | 工業、航空、防衛 |
設立 | 2014年 |
上場 | 2019年 12月 |
CEO | Huazhi Hu(ファージ・フー)氏 |
時価総額 | 1.18Bドル(億円) |
本部 | 中国広州 |
従業員数 | 240人 |
2019年12月12日のIPOでは、発行価格は一株につき12.5USDで320万株を新規発行し、上場後の時価総額は6億6200万ドル(日本円で730億円)に達しました。まだまだ赤字が継続しており、ユニコーンと呼ばれるに至らなかったEHang(億航:イーハン)ですが今後の事業展開が楽しみである企業でもあります。
B = Bllion(10億ドル)
直近決算結果() | パス○/ミス× |
---|---|
EPS | ○ |
売上高 | ○ |
- 売上成長率:YtoY %
- 粗利:%
- PSR :倍
以下のグロース株5つのポイントに沿って、確認していきます。
■ 会社について ■
1)時価総額が比較的小さいか?
2)将来の「成長ストーリー」は良好か?
■ 業績ついて ■
3)決算は良好か?
4)今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?
5)株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
■ 会社について ■
『需要』市場・マーケット
先日、ヨーロッパにおけるエアモビリティの運用に関する会議で、EHangのヨーロッパ部門のマーケティングリーダーAndreas Perotti(アンドレアス・ペロッティ)氏は、エアモビリティの実験内容、ユースケースを共有しました。
現在、都市の人口は増加を続けており、それに伴う交通渋滞は深刻となっています。二酸化炭素を排除しつつ、快適な移動をすることは人類が解決しなければいけない問題です。この問題を解消するため、パッセンジャードローンは誕生しました。
マーケット
Frost&Sullivanによると、都市型エアモビリティ「UAM」の世界的なロジスティクス市場は、2023年までに460億USDに達する可能性があるとのことです。その中で、中国は2023年に世界最大の地域市場になると予測されており、世界のロジスティクスUAM市場の45%を占めます。
『供給』サービス・商品
イーハン社は主に2種類の自動運転ドローン(UAV)の製造・販売を行ない、それをコントロールセンターで統制するインフラシステムを構築しています。
- パッセンジャードローン(自動で空を飛ぶ車)=AAV(= Autonomous Aerial Vehicle)
- 無人運搬ドローン


AAV

パッセンジャードローンの開発・商業化を手掛け、都市間の旅客輸送や運送を可能にすることを目標にしています。各種業界を対象に商用ソリューションを提供するほか、ドローンによるフォーメーションフライトを夜空に展開し広告やコンテンツを表示する航空メディアソリューションも扱っています。

EHang 216
主力製品は、パッセンジャードローン「EHang 216」です。
「EHang 216」は、広州合利創興有限公司と共同で2人乗りの都市観光用の自動で空飛ぶ車として、中国ではその性能を実証済みの製品です。
2019年11月30日には「EHang 216」を活用した珠江デルタ地域の観光飛行をスタートしています。
EHangの会長兼CEOのHu Huazhi(フー・ファージ)氏は、この試験飛行について次のように述べています。
現在、当社は独自の特許を持つ統合型AAV技術プラットフォームを開発している。ハードウェア、ソフトウェア、サプライチェーンの分野での経験と専門知識を活用。今後は、中・長距離飛行の需要に対応するため、積載量の異なるAAVモデルをより多くリリースしていく予定。
EHang創設者兼会長兼CEOのHuazhi Hu(ファージ・フー)氏
また、150ℓの水で消火活動が行える、高層消防用ドローン「EHang 216F」も展開しています(下画像)

2020年8月14日には、オーストリアのリンツにて、グローバル・アーバン・エアモビリティ(UAM)の試験運用をはじめると発表しています(下画像)

無人運搬ドローン

EHang216L(下動画)は、都市部と農村部の両方において短距離から中距離の航空ロジスティクスを実現する最大200kgのペイロードを誇るドローンです。既に中国広州での飛行実験にも成功しており、実運用が期待されています。
8つのアームと16のプロペラで構成される分散型電気推進構成を採用しており、安全な自動飛行が可能であり、迅速かつ効率的な輸送を実現するとのことです。
例えば、道路状況の悪い山岳地帯では農産物の輸送を実行し、地域経済を後押ししたり、災害時などでは救援や緊急物資輸送を可能にします。
「EHang216Fに続く、新たなEHang216シリーズのドローンを発表できたことを嬉しく思います。EHang216Lは、短距離から中距離の航空ロジスティクス向けドローンです。ペイロードと飛行範囲の増加に伴い、従来の地上輸送よりも効率的な輸送を実現します。様々な航空ロジスティクスのユースケースにおいて、顧客のニーズを満たすでしょう。」
EHang創設者兼会長兼CEOのHuazhi Hu(ファージ・フー)氏
売上構成・ビジネスモデル
EHang 216 AAVは、乗用型、消防型、物流型の3種類があり、今後の主要な収益の柱となることが期待されています。
事業拡大に向けて、2020年7月に、増加するAAVの市場需要に対応するため、広東省雲府市に新たな生産ラインを設置することを発表しています。
これは広州の既存設備を補完するもので、雲府工場は、現地政府の支援を受け、2021年前半に生産を開始する予定で、EHang 216Fを中心に年間600機の生産能力を見込んでいます。
雲府工場には、研究開発施設とエアモビリティのための訓練センターが併設され、中国でのAAV需要の増加に対応するために、イーハン社の能力を強化することが期待されるこの新しいプロジェクトに興奮しているとのことです。
投資リスク
地域別セグメント情報では、2018年度のアメリカ地域に対する売上がゼロ

イーハン社の目論見書内で公表された地域別の売上状況を確認すると、2017年にはアメリカ向けの売上が21%占めていたが2018年にはゼロに急減少している点が確認できます。
米中貿易戦争の勃発により中国製ドローンの対米輸出規制が話題にのぼりますが、今回公表されたEHangの目論見書を見る限り、既に2018年度の財務諸表においてEHangとアメリカ企業との間の貿易取引は既に停止していた点を確認できます。
しかしながら、貿易取引が一時停止される一方で、その当事者であるEHangがアメリカのナスダックへと株式公開を実現している点もまた興味深いところです。
競合・ライバル
世界の企業に先んじて商用化を実現できている点、世界で初めてUAM業界でIPOできた点は評価できますが、UAM業界では、ボーイング、エアバスのほか、テンセント出資のLiliumダイムラーが出資するVolocopte、グーグルが出資するKitty Hawk、Uberなども参入してきているので、今後競争が激化してくることが予想されます。
成長ストーリー
政策や規制の面では、中国国務院は、消防用無人航空機の産業改良と実用化を加速させることも提案していて、そのプロセスを推し進めようとしているようです。
中国では、2018年に中国民間航空局から耐空証明パイロットと試験運用プログラムの承認を受けていて、最近、CAACは13都市を民間無人航空実験区として選定したことを発表しています。
中国国務院はまた、UAMの開発を国家戦略に含めるよう促していて、政府の支援と関連インフラのアップグレードにより、2021年にEHang 216の耐空証明書を取得し、商業運航サービスの提供を開始する予定だそうです。
UAMの商業化は予想よりも早く実現することは間違いないとのことですが、中国政府がテクノロジーの分野で世界の覇権を狙う中、この企業が政府からのお墨付を取り、国家戦略の一部として今後飛躍していくことも予想できます。

まだまだ収益性の目処が立っているとは言い難い状況であるものの、自立型空中車両の商業化は急速に展開しており、今後の事業展開が非常に楽しみな企業だと言えます。
■ 業績について ■
目論見書で公表されたEHangの財務状況は、現時点では投資が先行しており2018年度の純損失は8046万元(12億円程度)、2017年度の純損失も8658万元(13億円程度)と赤字が継続している点が確認できます。

2020年四半期の売上は、まだ11億円ほどですが、対前年同期比で104%増と堅調に成長しています。
1) 決算が予想を上回っているか?
EPS、売上高
過去3回の決算では、EPS、売上高ともに、オールOKです。
直近の2020年Q3決算では、EPSが予想EPSを「0.01ドル」(黒字化)、売上高が予想売上高を「2.75Mドル」上回っています。
2020年 Q 決算 | 予想 | 実績 | |
---|---|---|---|
EPS(一株利益) | 0.01ドル | → | 0.02ドル |
売上高 | 8.1M ドル | → | 10.85M ドル |
売上成長率YoY | NA |
Q コンセンサス | 会社予想 |
---|---|
EPS予想 | -0.01ドル |
売上高予想 | 9.27Mドル |
売上成長率YoY | NA |
M = Mllion(100万ドル)
B = Bllion(10億ドル)
利益率(Margin)
Gross Margin(粗利率) | 59.30% |
Operating Margin(営業利益率) | -22.20% |
Profit Margin(純利益率) | -29.90% |
キャッシュフロー(CF)
投資の世界で営業キャッシュフロー・マージンが15パーセントから35パーセントぐらいある会社は、バランスシートもきれい。
★売上高から原材料費などの支出を引いたことによって得られる現金収支のことを営業キャッシュフロー。それを売上高で割り算した数字が、営業キャッシュフロー・マージン。
2) 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
理想的な右肩上がりのチャートを示しいます。
下のチャートは、価格帯別出来高(上段左灰色グラフ)になります。
18〜23ドル付近、13ドル未満に購入ボリューム層があることが分かります。

3) 今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?
倍
= Bドル(時価総額) / Bドル×4(年間売上高予想)
Data souce : Trading View
- PSR(TTM)= 過去12ヶ月売上ベース
- 一般的にはこれが使われている。Yahoo Financeなど
- PSR(FWD)=アナリストの来年予測ベース
- 未来のPSRを指し示す
- PSR(×4)=直近の売上 × 4 「=ARR(Annual Recurring Revenue))」
- おそらく日本のローカルルール
- 主にSaaS銘柄に使用
- 決算後すぐに計算でき、早く動ける
ARRはMRR(四半期売上×4 or 月間計上収益を×12)から算出することができます。
※重要ルール
- 同じデータソースを使う(Yahoo Finance、Finviz、その他でちょっと違う)
- PSR種類を必ず揃える (TTMが標準)
- 同じ性質の会社と比べる (EコマースとSaaSは違う)
- 利益(EPSが+)が出ていないグロース企業のみに適用できる (目安は100B以下、米グロースは利益の多くを先行投資する傾向のため)
- 利益(EPSがー)の場合はPERを使う。日本企業の場合が多い。
この記事の情報ソース
↓公式の決算資料
EHに投資できる証券会社
(EH)株の取引ができる証券会社は、下記のようになっています。
証券会社 | 取引可否 | ◯ メリット | × デメリット |
---|---|---|---|
SBI証券 | OK | SBIネット銀行との連携で ◎ドル円転換がラクで最速、かつ最安 ◯逆指値注文ができる | 米株用のスマホ・アプリない サイトがごちゃごちゃしていて見づらい 銘柄分析▲ 資産推移が見れない 時間外取引できない トレールストップ注文ができない |
マネックス証券 | OK | 米株、中国株、IPO株の取引可能な取り扱い銘柄が最多で最速対応 ◎時間外取引ができる ◎逆指値/トレールストップ注文ができる ◯ある程度の銘柄分析できる(銘柄スカウター) 米株用のスマホ・アプリあり | 資金移動、ドル転換に時間がかかる(中1営業日) |
楽天証券 | OK | 楽天ポイントとの連携ができる ◎銘柄分析できる 米株用のスマホ・アプリあり | 米株、中国株、IPO株の取引可能な取り扱い外国銘柄が少ない 時間外取引できない |

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