セールスフォース($CRM)の Slack($WORK) 買収について、火曜日にのslackの決算にて発表されるかもしれないとのこと。 現金と株式の半分程度の取り引きで、Slackの価格は現在の価格よりも割高になるという。Slackに有利な取り引きになりそうとのことです。
セールスフォース社について
企業概要
ティッカー | 【CRM】 |
会社名 | salesforce.com, inc. |
カテゴリー | SaaS型CRM |
設立 | 1999年 |
創始者 | マーク・ベニオフ氏(前オラクル幹部) |
上場 | 2004年 6月 |
CEO | マーク・ベニオフ氏 (2001年11月–) |
時価総額 | 200.25Bドル(20兆円) |
本部 | アメリカ・カリフォルニア州・サンフランシスコ |
従業員数 | 49000人 |
スティーブ・ジョブズやラリー・ペイジ、イーロン・マスクに並ぶシリコンバレー・トップリーダーとして知られるのがセールスフォースCEOマーク・ベニオフ。その彼が書いた本が「トレイル・ブレイザー:開拓者」です。
あらゆるリーダーに向けたこの著書では、次のような事に言及しています。
- マーク・ベニオフのルーツ(天才あるある)
- サンフランシスコ
- アパレル経営の父
- スター弁護士の祖父(BARTカルフォルニア高速鉄道の立役者)
- コア・バリュー(ビジネスの核心)
- 信頼
- カスタマーサクセス
- イノベーション
- LGBTQ問題
- インディアナ州法
- 「あなたはどうする?」
- 女性待遇問題
- 給与の平等
- 人種・移民問題
- ツイッター炎上
- 製品の使われ方
- 1%-1%-1%モデル
- 資本-製品-従業員 ボランティア
- NPO
- 企業文化は戦略に勝る
- 第5次産業革命
- 4次=AI、5G、ロボット工学
- 善行と成功の両立
『需要』市場・マーケット
CRM市場
米ガートナーの調査では、CRM(顧客関係管理システム)があらゆるアプリケーションで最大の市場規模となり、100を超えるサブマーケットで構成される巨大市場となっています。
「CRM(Customer Relationship Management)とは=顧客との関係を管理するマネジメント手法」
CRMが活用される部署
- セールス
- マーケティング
- カスタマーサービス
Slackは、ソフトウェアエンジニアから火が付き、メールにうんざりした人びとの支持を得て、ユーザーベースを順調に拡大しました。2019年1月にはDAUが1,000万人を突破したと発表しました。同社は同年4月にNYSEにダイレクトリスティング(直接上場)を遂げました。
『供給』サービス・商品
ユーザー
中堅・中小企業から「FORTUNE 500」に選出される大手企業まで、15万社を超えるお客様がセールス、サービス、コマース、マーケティングなどの分野で業界をリードするSalesforceを活用して、ビジネスを拡大しており、「FORTUNE 100」企業のうち、99社がSalesforceを採用しているとのことです。
ビジネスモデル
Salesforceは合併買収に非常に積極的な会社として知られています。以前、同社取締役を務めていたコリン・パウエル元国務長官から同社の買収リストが漏洩した際、ほぼ同規模の競合他社Adobeが入っていたことが業界を驚かせました。
買収企業一覧
買収先 | 年月 | 備考 |
---|---|---|
Sendia | 2006年4月 | 現在の Salesforce Classic。 |
Kieden | 2006年8月 | 現在の Salesforce for Google AdWords。 |
Kenlet | 2007年1月 | CrispyNews を開発。同技術をもとセールスフォース・ドットコムの IdeaExchange が開発された。アイデアの機能としてユーザー企業向けのアプリケーションも提供されている。他の企業に先駆けて利用しているデルのIdeaStorm、スターバックスのMy Starbucks Ideasが有名。最近ではオバマ大統領の「Citizen’s Briefing Book」および、電子経済産業省のアイディアボックスにて採用された(経済産業省アイディアボックス参照)。 |
Koral | 2007年3月 | 現在のコンテンツ機能。 |
Instranet | 2008年8月 | 同社のナレッジベース・テクノロジーをもとに現在はナレッジ機能として提供。 |
GroupSwim | 2009年12月 | 現在の Salesforce Chatter。 |
Informavores | 2009年12月 | 現在の Visual Workflow。 |
Jigsaw | 2010年4月 | ビジネス・コンタクト・データ・サービスである Data.com。Salesforce 上で Jigsaw が収集してきた連絡先等の情報を検索/購入することが可能となっている。 |
Sitemasher | 2010年6月 | 現在の Site.com。 |
Navajo Security | 2010年8月 | |
Activa Live Chat | 2010年9月 | Live エージェント機能。 |
Heroku | 2011年1月 | スクリプト言語 Ruby によるウェブアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」のクラウドプラットフォーム。買収後もブランドは維持され、サービスも継続して利用できる。 |
Etacts | 2010年12月 | 電子メールコンタクトマネジメントのスタートアップ企業。 |
Dimdim | 2011年1月 | オープンソースのウェブ会議ソフトウェアベンダー。セールスフォース・ドットコムが提供するコラボレーションプラットフォーム「Chatter」の機能強化に活用される計画としている。 |
Manymoon | 2011年2月 | Do.com。 |
Radian6 | 2011年3月 | ソーシャルメディアモニタリングツール。現在の ExactTarget Marketing Cloud。 |
Assistly | 2011年9月 | 現在の Desk.com。 |
Model Metrics | 2011年11月 | モバイル/ソーシャルクラウドのコンサルティングサービス企業。 |
Rypple | 2011年12月 | ソーシャル人材業績管理サービス。現在のWork.com |
Stypi | 2012年5月 | |
Buddy Media | 2012年5月 | 現在の ExactTarget Marketing Cloud。6.89億USドルでの買収。 |
ChoicePass | 2012年6月 | |
Thinkfuse | 2012年6月 | |
BlueTail | 2012年7月 | |
GoInstant | 2012年7月 | 現在のSalesforce SOS。7000万USドルでの買収。 |
Prior Knowledge | 2012年12月 | |
EntropySoft | 2013年2月 | |
clipboard.com | 2013年5月 | 1200万USドルでの買収 |
ExactTarget | 2013年6月 | 現在の ExactTarget Marketing Cloud。25億USドルでの買収。 |
EdgeSpring | 2013年6月 | |
RelateIQ | 2014年7月 | 現在はSalesforceIQとして知られる。3.9億USドルでの買収。 |
Toopher | 2015年4月 | |
Tempo | 2015年5月 | 現在のSalesforceIQの一部。 |
ÄKTA | 2015年9月 | |
MinHash | 2015年12月 | |
SteelBrick | 2015年12月 | 現在のSalesforce CPQ。3.6億USドルでの買収。 |
PredictionIO | 2016年2月 | |
Implisit | 2016年5月 | |
Demandware | 2016年7月 | |
Coolan | 2016年7月 | |
Quip | 2016年8月 | 7.5億USドルでの買収 |
BeyondCore | 2016年8月 | |
Gravitytank | 2016年9月 | |
Krux | 2016年10月 | |
Twin Prime | 2016年12月 | |
Sequence | 2017年2月 | |
Attic Labs | 2018年1月 | |
CloudCraze | 2018年3月 | |
MuleSoft | 2018年3月 | 65億USドルでの買収。 |
Datorama | 2018年7月 | |
Rebel Mail | 2018年10月 | |
Griddable.io | 2019年1月 | |
MapAnything | 2019年4月 | |
Bonobo AI | 2019年5月 | |
Tableau | 2019年8月 | 153億USドルでの買収。 |
ClickSoftware | 2019年8月 | 13.5億USドルでの買収。 |
Slack | 2020年12 月 |
プライシング(値付け)
ライバル・競合他社
Slackは2013年にオンラインゲーム「Glitch」を開発するTiny Speck社の社内ツールとして誕生した。さまざまな職種の間でコラボレーションするために社内のエンジニアが開発した。そのチャットツールは1990年代に生まれたインターネット・リレー・チャット(IRC)とよばれるサーバーを介してクライアントとクライアントが会話をする枠組みから生まれました。
このTiny Speck社はFlickrの共同創業者であるStewart Butterfieldが創業した会社で、Butterfieldは同年、チームと共にSlackを創業しました。
Slackの悩みの種はMicrosoftが投入した競合製品Teamsだ。Office 365、Skype for BusinessからAzure Cloudまで、企業のビジネスラインとIT部門の両方に深いつながりを持っているMicrosoftは、それらを十二分に活用することで3年半でSlackに追いつきました。
具体的には、Microsoftは、Office 365のビジネス顧客の多くがTeamsを追加料金なしで利用できるようにしました。
その結果、Microsoftは2019年7月、TeamsがSlackの日間アクティブユーザー数(DAU)を追い越したことを明らかにしました。以降は、Teamsがリードし続けていており、2020年4月時点で、TeamsのDAUは7500万人に上ると発表する一方、Slackは3月下旬の時点で、「同時接続するユーザー数」は1,250万人と説明しています。その差はかなり大きいです。
SalesforceとMicrosoftの闘争
大きな市場の存在に気がついた後発のビッグテック企業(Microsoft)に脅かされる新興企業という点で、SalesforceとSlackには共通点があり、それがこの買収に一定の説得力を与えているように見えます。
Salesforceもまた、長い間Microsoftと競争を繰り広げてきました。
- マーケティングではMarketing CloudとDynamics 365 for Marketing
- 営業支援ではSales CloudとDynamics 365 for Sales
- カスタマーサポート支援ではService CloudとDynamics 365 for Fiels Service
- ビジネスインテリジェンスでは昨年買収したTableauとPower Platform
SalesforceはTeamsに当たる製品を持っていないため、Slackを買収することは理にかないます。SalesforceがSlackを買収した場合は、Teamsがビデオ会議機能を提供することでリモートワークのハブとしての役割を強めることを構想しているかもしれません。
Microsoftが最初にCRM市場に飛び込んだのは、2001年のGreat Plains社の買収の後だったが、Microsoftには、Salesforceの機能に匹敵するクラウドベースのソフトウェアの提供が欠けており、従来のライセンス契約型のビジネスモデルに執着し、Salesforceの後塵を拝してきました。
しかし、2017年に製品群がDynamics 365にリブランドされ、機能が追加されていく中で、Dynamics 365はSalesforceが無視できない相手になりました。Microsoftが10月に発表した2021会計年度Q1の決算は、Dynamics 365の収益が38%増と報告しています。
セールスフォース社決算まとめ
以下のグロース株5つのポイントに沿って確認していきます。
1) 決算が予想を上回っているか?
EPS(一株あたり利益)
直近の2020年Q3決算では、EPSが予想EPSを「0.99ドル」上回っています。
2020年 3Q決算 | 実績 | 予想 |
---|---|---|
EPS(一株利益) | 1.74ドル | 0.75ドル |
Q4ガイダンス | コンセンサス | 予想 |
---|---|---|
EPS(一株利益) | 0.73〜0.74 ドル | 0.86 ドル |
しかし、Q4ガイダンスでは弱気のコンセンサスになっています。
売上高成長率
直近の2020年Q3決算では、売上高が予想売上高を「162.66Mドル」上回っています。
2020年 Q3決算 | 実績 | 予想 |
---|---|---|
売上高 | 5.42B ドル | 5.26B ドル |
売上成長率YtoY | 20.08% | – |
Q4ガイダンス | コンセンサス | 予想 |
---|---|---|
売上高 | 5.665〜5.675Bドル | 5.52Bドル |
M=Mllion(100万ドル)
利益率(Margin)
Gross Margin(粗利率) | 74.60% |
Operating Margin(営業利益率) | 0.30% |
Profit Margin(純利益率) | 12.20% |
2) 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
理想的な右肩上がりのチャートを示しており、現在の株価水準は175〜180ドルを推移しています。
下のチャートは、価格帯別出来高(上段左灰色グラフ)になります。
短期ではドル付近、長期ではドル付近に購入ボリューム層があることが分かります。
3)時価総額が比較的小さいか?
現在の時価総額は200.25Bドル(20兆円)(2020/12)
B=Bllion(10億ドル)
4) 今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?
221ドル
Data souce : Trading View
これらの算出方法については、下の記事で解説しています。
5) 将来の「成長ストーリー」は良好か?
お疲れ様でした!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
皆様も健康な投資ライフをお過ごしください。
今後も良い記事を書いていきたいので、引き続き応戦よろしくお願いします!
この記事の情報ソース
↓公式の決算資料