この銘柄はテンバガー期待できるか?
オニールのCAN-SLIMを用いて分析していきます。
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企業について、サクッと把握
会社サマリー
マラバイ・ライフサイエンシズ・ホールディングスは、ライフサイエンス企業です。
- mRNA ワクチン CleanCap 需要が急増
- 分子診断検査コンポーネント需要増加
- コロナワクチン追い風
ティッカー | MRVI [NASD] |
会社名 | Maravai LifeSciences Holdings, Inc. |
業種 | 医薬品 |
時価総額 | Bドル |
設立 | 2020年 |
IPO(上場) | 2020年 11月 |
CEO | View Carl Hull氏 |
本部 | カリフォルニア州 |
従業員数 | 490人 |
単位:T=1兆、B=10億、M=100万
時価総額10Bドル未満の銘柄「小型株」
時価総額10Bドル〜30Bドル未満「中型株」
時価総額30Bドル以上「大型株」
保有投資家
Dealogicによると、2015年から2020年の間に米国の公募市場でバイオテクノロジー企業が新規株式公開とその後の公募で調達した金額は1,950億ドルを超えました。
直近の投資家の保有比率は次のようになっています。
チャート分析
2021年9月28日現在、ベースからのブレイクアウトから1度調整が入っている状況です。
価格帯別出来高
2021年9月28日時点では、70%が含み益となっています。ボリュームの平均値は47ドルです。
業績サマリー
決算
EPS、売上高ともに、オールOKです。
過去決算でも1度のみの決算ミスで、直近では10回連続で決算クリアしています。
2021年 Q2 決算 | 決算良否 | 予想 | 実績 |
---|---|---|---|
EPS(ドル) | ○パス | 0.32 | 0.44 |
売上高(ドル) | ○パス | 195.5M | 217.8M |
FY2022年 通期予想 | コンセンサス (市場予想) | ガイダンス (会社予想) |
---|---|---|
EPS(ドル) | 0.10 | |
売上高(ドル) | 1.39 – 1.41B |
業績指標一覧
指標 | |
---|---|
EPS成長率(YoY) | +389% |
売上成長率(YoY) | +364% |
ROA(総資産利益率) | 7.92% |
ROE(自己資本利益率) | 65.4% |
ROI(投資利益率) | 20.1% |
Gross Margin(粗利率) | 79.9% |
Operating Margin(営業利益率) | 58.6% |
Profit Margin(純利益率) | 23% |
M = Mllion(100万)
B = Bllion(10億)
深掘り
マーケット
今後のマーケットの成長性は、次のように見積もられています。
- 2019年の年間支出で約84億ドルに相当し、15%の複合年間成長率(CAGR)で成長する予想
- 業界コンサルタントと経営陣の見積もりによると、2023年にはその結合された市場のうち、同社の潜在的成長性は約36億ドルに相当
- 業界コンサルタントによると、細胞および遺伝子治療薬の売上高は、2019年の10億ドルから2024年までに250億ドルに増加すると予想
顧客
2020年9月30日現在、5,000を超える顧客を抱えており、その中には、業界コンサルタントによる研究開発費でランク付けされた世界のバイオ医薬品企業上位20社、その他の多くの新興バイオ医薬品およびライフサイエンス研究企業、主要な学術研究機関が含まれます。
同社の顧客は、
- ファイザー(PFE)
- バイオエヌテック(BNTX)
- サノフィ(SNY)
- キュアバック(CVAC)
などの業界をリードするバイオ医薬品企業の有望なリストで構成されています。
サービス・商品、ビジネスモデル
主に次の3部門から構成されています。
- 核酸製造
- 生物製剤の安全性試験
- タンパク質検出
同社の買収戦略は、買収した事業に多額の投資を行うことです。ターゲット市場で強力な科学的基盤を持つ確立された新興企業を買収し、成長を果たしてきました。
売上構成比
顧客における研究、治療、ワクチンプログラムのニーズを支援するための核酸製品の製造および販売に焦点を当てた核酸製造部門から2020/12/31では、収益の70%、2021Q2時点では88%を生み出しています。
薬物療法、診断、新規ワクチンの開発を可能にし、ヒト疾患の研究を支援する製品を提供しています。
核酸生産
売り上げ全体の88%を占める核酸生産が高成長の原動力になっています。
核酸とは、DNAやRNAの総称のことです。最近だと、新型コロナワクチンに使われたmRNAもその守備範囲に入ってくるということで、そのmRNAこそ同社のビジネスの中核を担っています。
同社は「CleanCap」というmRNAの安定性やさらにはその後のタンパク質の合成を手助けする特許技術を保有しており、mRNAワクチンとの相性が非常に良いです。
RNAがとても不安定な物質で、バイオンテックやモデルナのワクチンを低温で保管しなければならない理由もこのRNAの不安定さにあります。
生物学的製剤安全性試験
売り上げ全体の10%弱を占める生物学的製剤安全性試験では、Cygnus Technologiesというブランドで提供されており、生物学的製剤に存在する不純物や汚染物質の検出を可能にする製品やサービスを提供しています。
生物学的製剤とは「化学的に合成した薬ではなく、生体が作る抗体(タンパク質)を応用し、薬物として使用したタイプの薬」のことです。
このブランドは20年以上の実績があります。マラバイ・ライフサイエンシズは2014年に設立された企業ですが、買収・合併をおこなっているため、このようなブランドも所有しています。
タンパク質検出
売り上げ全体の5%弱を占める核酸製造部門では、細胞や組織の試料中のタンパク質を標識、検出するための研究用製品も提供しています。
私たちの体は水分と脂質を除くと、そのほとんどはタンパク質でできています。
そのタンパク質を検出する製品を販売するブランドである「Vector Laboratories」を保有しており、論文等で35万回以上引用された実績を持ちます。
地域比
マラバイ・ライフサイエンシズ(MRVI)のビジネス地域は次のようになっています。
MRVIの投資リスク
- 収益の高い割合を限られた数の顧客に依存している
- 同社よりも規模が大きく、同社の製品、サービス、テクノロジーを時代遅れにする可能性のある新しいアプローチを開発できる可能性のあるライフサイエンス、製薬、バイオテクノロジー企業との競争に負ける可能性がある
収益性
EPS成長
EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。
参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。
マラバイ・ライフサイエンシズの2019年から2021年までの1株当たりの年次および四半期利益の履歴です
- 2021年6月期第1四半期のEPSは0.44ドルで、前年同期比388.89%増となりました。
- 2021年6月30日までの1年間のEPSは0.81ドルで、前年同期比で800%の増加となりました。
- 2020年の年間EPSは2.36ドルで、2019年に比べて7966.67%減少しました。
- 2019年の年間EPSは$-0.03で、2018年から57.14%減少しました。
IPOして間もない企業であるにも関わらず、すでに黒字化を達成しているというのも、安心材料の1つです。
売上高成長
収益とは、企業が商品やサービスの販売と引き換えに顧客から受け取る金額と定義できる。収益は、損益計算書の最上位項目であり、そこからすべての費用と経費を差し引いて純利益を算出します。
マラバイ・ライフサイエンシズの2019年から2021年までの年次/四半期ごとの収益の推移と成長率です。
- 2021年6月30日に終了する四半期の収益は0.218Bドルで、前年同期比で327.17%の増加となりました。(核酸生産のセグメント単体ではY/Y +533%の成長)
- 2021年6月30日までの12ヶ月間の収益は0.511Bドルで、前年同期比902.81%の増加となりました。
- 2020年の年間収益は0.284Bドルで、2019年比98.48%増となりました。
- 2019年の年間収益は0.143Bドルで、2018年から15.59%増加しました。
会社が儲ける力
利益率成長
マラバイ・ライフサイエンシズ (MRVI)の過去10年間の売上総利益率、営業利益率、純利益率の現在と過去の推移です。
利益率は、企業が収入から経費を差し引いた後に収入として保持する割合として定義できます。
2021年6月30日現在の粗利益率は83%、営業利益率は69%、純利益率は19%です。
会社の経営の上手さ
ROE(自己資本利益率)
ROEは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標で、アメリカの投資家達が最も重要視している財務指標となっています。
米国企業のROEは平均的に日本企業(平均9%)の倍近い(平均17%)といわれ、アップルが約110%、テスらは6%程度と様々です。
逆にROEがマイナスの場合は赤字か債務過多状態の状態で、その会社は株主資本を1年とうしてどれだけ減らしたかってことがわかります。
マラバイ・ライフサイエンシズ (MRVI)の過去2年間の株主資本利益率(ROE)の現在および過去の値です。
79%から56%に下がっています。
キャッシュフロー(CF)
キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。
キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。
C/Fでは主に安全性を確認できますが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/Fです。健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的です。
投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れます。そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。
フリーC/Fは営業C/Fと投資C/Fを足したものです。これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。
マイナスには要注意!
営業キャッシュフローがマイナス(=キャッシュフロー・マージンがマイナス)となっている場合は、即座に対応が必要な状況と言えます。
本業の稼ぎがマイナスであるということは、このままビジネスを続けても、ひたすらキャッシュが減り続け、それを投資活動の取り崩しや財務活動で賄うこととなります。
スタートアップ企業であれば、営業キャッシュフローのマイナスをVCやエンジェル投資家からの出資といった財務活動で賄うは一般的ですが、それ以外の企業で営業キャッシュフローがマイナスという状況は、非常に危機的な状況と言えます。
マラバイ・ライフサイエンシズ (MRVI)の過去3年間のキャッシュフロー推移一覧です。
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