イーサリアム(ETH)上で形成されるNFTは、NFT文化の始まりの通貨です。ゆえに、ポリゴンやソラナのNFTよりもイーサリアムのNFTであることに価値が生まれやすいため、NFTでは最も取引量の多く、普及しているので信頼性も保ちやすい主流のチェーンとなっています。
そのような、イーサリアム(ETH)のNFTには、実は30種類以上の標準規格があります。(2022年現在)
このページでは、そんなイーサリアム・チェーンの中でも、最もよく使われている5種類を紹介します。
イーサリアム(ETH)NFTの種類
FT、NFT、SFTにはそれぞれ次の特徴があります。
・FT(Fungible Token):どのトークンも同じもの(通称:仮想通貨)
・NFT(Non-Fungible Token):全て異なるトークン
・SFT(Semi-Fungible Token):特定の条件に従ってFTがNFTに変化できる
なお、NFTの中でも「〇〇パスポートNFT」として、全て同じ画像で売られているものは、「替えがきく=FTに近い」ので、今後税制改正される可能性があります。
ERC20とは
ERC20とは、イーサリアム(ETH)の仮想通貨のことです。通常NFTを購入する際は、コインチェック どの仮想通貨取引所でこれをまず購入することで、別の規格であるNFTに交換することができます。
また、イーサリアムのブロックチェーンを利用するイーサリアム・トークンの共通規格として2015年に定義されました。
ERC-1155とは
ERC-1155は、共用コントラクトと言われ、主にNFTマーケットプレイスのOpenseaでのNFT作品の出品やBCG(ブロックチェーンゲーム)に使われています。
NFT作品データそのものはイーサリアム(ETH)ブロックチェーン上になく、出品したNFTマーケットプレイス等のサーバーに保管されています。ETHブロックチェーン上にあるのは、その所在地を示す文字列です。
そのため、一つのNFTマーケットプレイスでしか表示できませんが、ミントした後から内容が編集可能など、気軽に扱えるNFTです。
また、上記の理由からETHブロックチェーン上に書き込む情報量を削減できることから、ガス代を安く抑えられることもメリットのひとつです。
ERC-1155の活用例
ERC-1155をよく目にするところでは、OPENSEA上で作られたNFTがあります。
ERC-721
ERC-721は、独自コントラクトと言われ、主にブロックチェーン上に構築されるNFTのため、一つのNFTを複数のNFTマーケットに同時に表示することが可能です。
そのため、ERC-1155(共コン)よりも価値が付きやすいとされています。一度ミントすると編集したり削除することができなくなるため、より確実なデジタルタトゥーとも言えます。
ERC-721の中には、譲渡不可なSBT(ソールバンドトークン)という種類も含まれます。
SBTとは、金銭的価値を出す必要がないように設計されており、別のウォレットに転送することができません。そのため、コミュニティのロイヤリティ(忠誠度)を形成するためのチケットNFTとして活用されます。
ERC-721の種類
ERC-721はデータを書き込む場所によって、大きく2種類あります。
- フルオンチェーンNFT
- 独自コントラクト(分散型データサーバーIPFS、Areweave等)
フルオンチェーンNFT
フルオンチェーンNFTとは絵柄も含め全てのデータをブロックチェーン上に書き込む手法です。
書き込めるデータが少ないことから、表現できる情報は限定的ですが、最も永遠に残せるNFTでもあります。
このようなことから、NFTフルオンチェーンとは、もっともピュアなNFTということができます。違う視点だと、もっともロマンなNFTとも言えます。
ERC-721の活用例
ERC-721はNFTアートやジェネラティブNFTプロジェクトなど、最も主流なNFT規格として活用されています。
下のように同じNFTを違うNFTマーケットプレイスで表示することができます。
ERC-3525
通常の仮想通貨(FT)とNFTの両方の特徴を持つ仮想通貨です。ハイブリッドトークンと呼ばれることもあります。
ERC-3525は2022年9月に採用されたばかりの新しいトークン規格で、ERC-1155より柔軟性の高い機能を備えています。
ERC-3525の活用例
既に一部のゲームは、SFTとしてゲームアイテムを発行しており、NFTマーケットプレイスで販売しています。
下の画像は、NFTマーケットプレイス「Magic Eden」で販売されているGenoPets(ブロックチェーンゲーム)用のSFTです(通貨はSOL)。
ERC-4907
ERC-4907はERC-721の拡張であり、NFTのレンタル(貸し借り)を可能にするトークン規格です。
ERC-4907は、NFTに一部の保有権限の付与と使用時間を設定する機能を追加したことで、それを可能にしています。
NFTの貸し出し者は、上記の機能があることからレンタル期間中に利用者に転売される心配がないため、安心してNFTレンタルサービスを提供できるようになりました。
ERC-4907の実装について
ERC-4907は、数行のコードを追加するだけで簡単に実装でき、拡張機能セットを追加することにより、完全にERC-721互換にすることができます。
さらに、この標準で導入された新しい機能は、ERC-721の既存の機能と多くの類似点を共有しています。これにより、開発者は新しい標準をすばやく簡単に採用できます。
通常のERC-721として作成された既存および将来のNFTは、ERC-4907にアップグレードするか、ERC-4907互換としてラップすることもできます。
ERC-4907の活用例
ERC-4907は、主に、今後広がりを見せると考えられるBCG(ブロックチェーンゲーム)市場での活用が見込まれています。
このモデルをNFTの標準として採用することにより、NFT市場の流動性が大幅に向上し、NFTエコシステムのさらなる革新と成長が加速する可能性があります。