なぜ円安になるのか?
「なぜ日本円は円安になるのか?」この疑問の結論としては、以下の2点が主要因となっていています。
- 日米金利差が開いているから
- 世界一通貨を発行しているから
日米通貨金利差
「なぜ円安になるのか」は、日銀が利上げを行わないことと、将来的にも利上げを予定していないことが影響しています。
これにより、アメリカの金利が長期間高い状態が続いており、高金利通貨が魅力的だと見なされています。
そのため、投資家たちは比較的利回りが低く魅力的でないとされる日本円を避け、高金利通貨である米ドルを選ぶ傾向があります。なぜなら、お金がいっぱいもらえるからです。
結果として、米ドルの需要が高まり、米ドルの価値が上がり、同時に円の価値が低下して円安となっているわけです。
金利差とは、例えばA国の通貨の金利が5%、B国の通貨が0.5%だとしたら、A国の通貨を保有している方が、もらえる金額が増えます。そうすると、B国の通貨を売ってA国の通貨を買うことになるため、売られた方は価値が下がります。
つまり、アメリカの10年債利回りが上昇すると、円安が促進されます。逆に10年債利回りが下落すると、円高が促進されます。
その結果、ドル円と米国債10年債利回りにある一定の相関関係が生まれます。
ドル円とアメリカの10年債利回りを比較すると、ある期間では相関が見られ、円安の動向を予測する手がかりとなります。
ただし、剥離する機関もあり、例えば上図の最新の位置では円安の上昇率は10年債利回りの上昇率よりも高く、調整がしやすくなっています。そのため、現在は円高に戻りやすい状況であり、円安に過度な期待を抱くことは慎重が必要です。
通貨の発行枚数
また、上記のような日米金利差が開いているのも円安の一つの説明ですが、主要因としては2.の方が影響が大きいと言われています。
日本は世界一通貨を発行しているため、世界一の国債を抱えています。これが円安に影響を及ぼす理由は、国債の発行が通貨供給を増やし、その結果として円の価値が下がるためです。日本の国債が多いことは、国内外の投資家にとって円の価値が下がる可能性があることを意味し、それが円安につながる要因となります.
国債の発行が通貨供給を増やし、その結果として円の価値が下がるため、円安に影響を及ぼすのです。これは国内外の投資家にとって円の価値が下がる可能性があることを意味し、それが円安につながる要因となります。
円安になるそのほかの要因
YCCとはイールドカーブ・コントロールのことで、「長短金利操作」とも呼ばれ、FRBや日銀が導入した金融政策のひとつです。これにより、長短の金利の動きを適切な水準にコントロールを行っていて、FRB(米国)が導入すると投機目的やリスク回避の意味でドル売り、円買いが進み「円高になる」。2023年現在YCCの調整は見送られていて円高にはならないと考えられています=円安方向。
円高になる要因
円高になる基本要因
アメリカが利下げし、日本が利上げする場合、円高が確実視されます。
このため、基本的にはGPIFが保険金を払い始めたことから円高を懸念、円高に備えている可能性があります。
ただし、円安になる場合も考えられ、南海トラフ沖地震や国際的な格付けの引き下げなど、特殊な状況では円安になる可能性があります。
有事の局面
有事の際の株価が暴落する局面では、株や不動産、債権が売られて現金化する動き(リスクオフ)が起きます。その時、下記のような項目に買いが集中すると言われています。
- 日本円
- スイスフラン
- 金(ゴールド)
反対に2020/7月現在の株価のように経済や景気予想がよく株に買いが集中すると、ドル高円安になります。
輸入よりも輸出が多くなると、円を売ってドルを買う動きの方が多くなるので必然的に「円安」に振れます。しかしながら、2008年以降は一概に貿易収支の動きが為替に直結しなくなってきているので、この考え方には注意が必要です。
為替ストラテジストによると、「リスクオフ」への反応が小さくなり先行きに期待できるとのことから、2020年7〜9月期のドル円は「1ドル113円〜114円」との予想を維持していますが、こういった考え方もあるのかなといった程度に留めておくだけでいいでしょう。
米株価下落局面
米株価が下落すると、円高になる傾向がありますが、その理由を下記に説明します。
日本と米国の政策金利(短期)の差はリーマン・ショック時の金利差(日本-0.1%:米国2.5%)から減少しています。(日本-0.1%:米国0.25%)2020/7月
リーマン・ブラザーズが破綻した2008年9月までは金利差が約5.0%もありました。
その時は、金利の高い米債権を買う動きが強かったので米ドルを買う=円安の傾向がありましたが、現在はその機会がなく円高になりやすい状態と言えます。
同様のことが長期金利(米国10年国債利回り)の低下からも言えます。
日本円は、世界1位の対外純資産国として広く知られています。対外純資産国とは、国同士の借りているお金と貸しているお金の収支で、世界で最も負債の多い米国(ー1,077兆円)に対して日本は+341兆円となっているので「世界から見るととても信頼のできる国」となり、円の信用が高くなります。
コロナショックの感染者数の増加は、2020/7月現在世界的に留まっておらず、いまだに景気悪化懸念があることから「リスクオフ」へ動く可能性があります。
日本の企業は過去10年間、国内の金利が低く利益がでにくいため海外の会社をM&A買収して海外への投資を増加させてきました。
しかし、コロナショックによる経営基盤の建て直しが進められると、これまで10年間行ってきた海外投資が巻き戻される懸念があります。
もちろん、株や債権と違って企業の売買には時間がかかるため、今はその姿をほとんど表せていませんが、今後は海外への投資が引き上げられて国内への引き上げが進むと「ドル売り円買い」の動きになり「円高」に振れると考えられます。
結論:円高になるとしても1ドル100円までと考えています。
下記の理由から、円高になるとしても1ドル100円までと考えています。
- 新型コロナウイルスの更なる拡大予想
- 米国がYCCの選択肢を残している
- 海外M&A撤退予想
- S&P500などの米株指数が高値を超えてこない
- コロナショック暴落時にも、100円を割ることが無かった
- 2020/6月S&Pによる日本国債の格付けを「ポジティヴ」から「安定的」引き下げ
あくまで予想ですので、為替を気にしすぎるて円高を待って米国株投資への機会損失にならないように注意しましょう!
米国株を買うなら円高か円安か?
長期投資のリスクは、大きく分けると下記の2つがあります。
- 株価変動リスク
- 為替変動リスク
米国株に投資するときに、気をつけたいのが為替相場です。
なぜなら、いくら長期保有の経費率を気にしていても下記のように為替で大きく差がついてしまいます。
ドル円の相関関係は表のようになります。
為替 | ドル円 | 100万円→USD | 1万USD→円 |
---|---|---|---|
円安ドル高 | 110円 | 9,091USD | 110万円 |
↕︎ | 100円 | 10,000USD | 100万円 |
円高ドル安 | 90円 | 11,111USD | 90万円 |
つまり、ドル円相場が「たった1円」変わるだけで100万円換金であればの1万円前後の差が生まれてしまいます。「10円」だと10万円前後です。
逆に、ドルでの収入を円に変換する場合は、下記のタイミングがお得になってきます。
これを知ったら、円をドルに変換するときに、毎回お得なタイミングでドルを買付たくなると思います。
しかしながら、円高を待っているといつまでも投資できない、機会損失の恐れがあります。
以上のことから、米国株投資家には2つの選択肢があります。
- 稼ぐ力、資金力を向上し、為替変動を気にしない。
- コツコツとチリツモ感覚で円高になったタイミングで円建投資用資金からドルの買付を行っておく。
運用金額の大きいく投資期間の長い長期投資では、1%の差がのちに大きくのしかかってきます。そのため、ドルが安く買えるタイミングを見極めるための知識を持っておくことが大切です。