- IonQとは量子コンピュータ・ハードウェア専業メーカー
- 量子コンピュータ会社として世界初の上場(2021年10月1日IPO)
- 3大クラウド(アマゾン、Google、マイクロソフト)と提携
- 常温で動作可能なモジュラー型の小型な量子コンピュータ
他の米国株上場している量子コンピューター銘柄と業界の将来性はこちらでまとめています。
企業概要
IonQ(IONQ)は量子コンピューターのシステムを開発している企業です。量子コンピューターは金融、保険、化学シミュレーションなどで利用が検討され始めています。
$IONQが進めるのは、『CPU→GPU→QPU』の進化。量子コンピューティングが重要なのは、量子処理ユニット(QPU)によって、より多くのスタックや高密度な計算能力が得られるからです。
量子は次世代コンピューティングの象徴であり、信頼性の高いハードウェアが製造され広まるにはまだ何年もかかると思われますが、IonQ(IONQ)の業績は市場がこの技術の可能性をどのように見ているかを示す指標となるはずです。
ティッカー | 【IONQ】NYSE |
会社名 | IonQ, Inc. |
セクター | 量子コンピューター クラウド |
設立 | 2015年 |
IPO(上場) | 2021年10月 |
CEO | ピーター・チャップマン氏 (Amazonの元幹部) |
時価総額 (ドル) | 320M |
本部 | メリーランド州 College Park |
従業員数 | 52名 (2021/10時点) |
IonQは、SPAC企業のdMY Technology Group, Inc. III,とNY証券取引所に2021年12月7日までにSPAC上場予定です。(2021年3月8日締結後9ヶ月以内)
2021年10月1に、量子コンピュータ会社として世界初の上場を果たしました!
設立から現在までの経緯
Christopher Monroe氏(当時、国立標準技術研究所NISTのスタッフリサーチャー)は、デビッド・ワインランド氏(ノーベル賞受賞者の物理学者)と共同で、イオントラップ(電場や磁場を組み合わせて荷電粒子を捕捉する装置)を用いたチームを率いて、量子コンピューティングの研究を始めました。
この、Monroe教授(メリーランド大学)のイオントラップの研究と、Jungsang Kim教授(デューク大学)のスケーラブルな量子情報処理と量子通信ハードウェアの研究を組み合わせて、「Scaling the Ion Trap Quantum Processor」と題した論文を『Science』誌に寄稿しました。
この研究提携がきっかけで、2015年、Monroe教授とKim教授によりIonQ(IONQ)は共同創業されました。

量子コンピューターは革命的な技術であり、ビジネス、社会、そして地球をより良い方向に変えるものであり、IonQはこの革命の最前線にいます。
IonQは25年以上の学術研究を経て、2015年にChris MonroeとJungsang Kimによって設立されました。その後の3年間で、GV、Amazon Web Services、NEAからさらに2,000万ドルを調達し、世界で最も精度の高い量子コンピューターを2台構築しました。
2019年には、SamsungとMubadalaが主導するラウンドでさらに5,500万ドルを調達し、MicrosoftおよびAmazon Web Servicesとのパートナーシップを発表して、当社の量子コンピュータをクラウド経由で利用できるようにしました。
現在、私たちは、次世代のハードウェアを実現し、世界中のパートナーに提供するために、懸命に取り組んでいます。
IonQ HP [about company]
テーマ性(事業内容)
サービス・商品

IonQ(IONQ)の量子マシンは「数年後には世界最速のスーパーコンピュータに匹敵する」

IonQ(IONQ)は、ソフトウェアを一切手がけない、「量子コンピュータ・ハードウェア専業メーカー」です。
- すでに22量子ビットの量子コンピューターを製造
- 金融大手フィデリティがIonQのハードウェアを利用
- 金融大手ゴールドマンサックスも株価分析に利用
同社の11キュービットシステムは、「Amazon Braket」と「Microsoft Azure」上で利用可能となっています。
また、IonQは現在32キュービットのシステムも有しており、2023年にはネットワーク接続によって機能強化していける、モジュラー型の小型なサーバーラックマウント可能な量子コンピューターを構築する計画です。
また、2021年現在、世界の最先端の米国では「イオントラック方式」が流行っているようです。
- ばらつきが少ない
- 消費電力が小さい
- 冷やす必要がない(常温で動作)
- 小型化することができる

これまでの、量子コンピューターは、シャンデリアのようにつらされてたような形をしていて、中を絶対零度まで冷やすことで安定して動作する「超電導方式(画像左)」が主流でしたが、IonQの「イオントラック方式」は原子を使って動作します。


事業形態
量子コンピュータ業界は、「ハードウェア設計・製造からソフトウェアも手がける垂直統合型」とIonQのような「水平分業型」の企業に分かれます。
IonQのような水平分業型の企業は、量子コンピューター業界では珍しいタイプになります。
垂直統合型には、次のような企業があります。
- D-wave(カナダ)
- リゲッティ(アメリカ)
- IBM(アメリカ)
- Google(アメリカ)
ソフトウェアをつくるということは、マーケットリサーチやソフトウェア開発にも力を入れなければなりません。
このソフトウェア事業はパートナーに任せて、ハードウェアを専業することにより、ハードウェアに集中することにより他のメーカーより格段に性能の高い量子コンピュータを提供できます。
ビジネスモデル
IonQ(IONQ)は、2020年代中頃に事業が急速にエスカレートし、収益が2024年の6,000万ドルから2026年には5億2,200万ドル(CAGR150%!!)に跳ね上がると予測しています。
この収益予想は量子アプリケーションの開発に試験的にお金を出した企業が、本格的に量子アプリケーションを使い始めたときに、2024年から顧客の利用形態が拡大し、加速度的に増収増益が起きるとの予測に基づいたものです。

また、IonQ(IONQ)は様々なユースケースに拡大すると予測しています。

現在、クラウドが世界的に広まりつつありますが、クラウド事業の世界ランキングは1位Amazon、2位マイクロソフト、4位がGoogleとなっています。
IonQはすでに3大クラウド(アマゾン、Google、マイクロソフト)と提携し、計算量を卸売りすることにより儲けるビジネスを展開しています。
面白いのが、Googleは自社で超電導量子ビットを開発しているにもかかわらず、IonQを採用したことです。

IonQの量子コンピューターによる計算サービスはAmazon、Google、Microsoftのクラウドサービスから時間課金で利用できます。

2023年にラックマウント型を発売予定
量子コンピューティングのスタートアップIonQ(IONQ)は12月9日、今後数年間のロードマップを発表しました。
- 2023年にはデータセンター向けにモジュラー型のラックマウント量子コンピューターを販売できるようになる
- 2025年までに同社のシステムは、さまざまなユースケースで量子の幅広い優位性を実現できるほど強力なものになる
Dell TechnologiesとIonQの協業
Dell TechnologiesとIonQは協力して、ハイブリッドクラシック量子ソリューションをより適切に実現するハイブリッドクラシック量子プラットフォームをテストしました。
量子計算は、シミュレーション、最適化、機械学習アルゴリズムのユースケースを加速する可能性を秘めています。コンプライアンス、ポリシー、プライバシーの問題から、プライベートなオンプレミス環境でデータを消費し、古典的なワークロードを実行したいというお客様が増えています。
コシミュレーションに仮想量子処理ユニット(vQPU)を活用したエンドツーエンドの古典-量子ハイブリッドソリューションです。
ハイブリッド量子-古典アルゴリズムは、量子コンピューターと古典コンピューターを組み合わせたものです。
機械学習、最適化、量子化学など、量子コンピュータの最初の有用なアプリケーションを実現するものと期待されています。
これにより、ユースケースの発見、将来のニーズに対応するための現在のチームメンバーのスキルアップ、顧客のためのより完成度の高いソリューションの開発など、コスト効率の高い方法が可能になります。
Dell TechnologiesとIonQは、Dell EMC PowerEdge R740xdサーバとIonQのシミュレーションエンジンおよび量子処理ユニット(QPU)を組み合わせた古典と量子のハイブリッドプラットフォームのテストを行いました。
●薬理学的開発のためのより大きく複雑な分子のモデリングなどの量子ワークロードをIonQ QPU上でリモートで実行することができる。
●IonQの予約APIにより、各量子回路実行の待ち時間が大幅に短縮される
Dell Technologies社の強みである古典的なインフラとIonQ社のコヒーレンスタイム、ゲートフィデリティ、スケールを組み合わせることで、QPUはより複雑な問題を解決することができ、より優れたエラー修正によりQPUを使って問題を解決する時間を短縮することができます。
また、IonQ社はQPUを室温で動作させることができるため、特別な冷却設備のない既存のデータセンターに設置することができます。このようなIonQの具体的なメリットにより、お客様はどのようなアプローチが最適なのかを評価し、量子の旅を始めることができます。
今回のテストでは、以下のような成果が得られました。
●Dellの古典・量子ハイブリッドプラットフォームは、IonQの量子シミュレーションおよび量子処理ユニットとシームレスに統合されています。Dellのインフラ上で動作するvQPUで量子ワークロードを開発し、その後、最小限の労力でIonQのリモートQPU上で実行するようにシームレスに移行することができます。
●IonQの予約APIにより、Dellの古典・量子ハイブリッドプラットフォームで実行される各量子回路は、ジョブキューで待つ必要がなく、IonQのリモートQPUに直接注入することができます。この機能により、実際のQPUハードウェアを利用してパフォーマンスが大幅に向上します。
●この機能をオンプレミス・インフラストラクチャ・ソリューションで活用することにより、コスト効率とデータ・プライバシーを向上させることができます。その結果、企業はより効率的に量子プログラマーを育成し、ビジネスに不可欠なユースケースを迅速に実現することができます。
IonQ社とのテストでは、古典と量子のエンドツーエンドのハイブリッドソリューションの威力を実証しました。量子ハードウェア、アルゴリズム、ハードウェアが進化し続けるにつれ、古典的なインフラの必要性が加速し、それに応じて拡大していくことがわかっています。
これは、古典的なインフラストラクチャとQPUの組み合わせの始まりに過ぎず、無限の可能性を生み出します」と述べています。
そもそも量子コンピューターって?
量子コンピューターについて、量子コンピューターに使う基礎技術の研究開発をされている、沖縄科学技術大学院大学(IOST)の久保結丸さんの話(Podcast)がありましたので、ざっくりまとめました。(IONQについては言及されていませんでした。)
ソース元のPodcastはこちら
量子コンピューターとは
- これまでのコンピューターとは仕組み自体が違う
- 冷凍庫が必要、0.001K (kelvin)絶対零度
- 開発は1990年代から
- 最近(2015年くらい)から研究が盛んになる
- 量子メカニズムに基づいて動作する
- マイクロスコピックシステム上でのみ発生する
(IONS、マトンズ、エレクトロンズ、フォトンズ) - 量子もつれを活用
- 完璧なエラー訂正ができる
- 量子自体は雑音に弱い性質
- 量子コンピューターは使用用途が限られ、計算は現在のコンピューターの方が早い
- 量子コンピューターはコミュニケーション(対NP問題)にとてつもない威力を発揮する
- 「サイバーセキュリティ」ー量子コンピューター同士を繋げば、絶対に解読できない
- そのほかにも、「より高機能な物質の発見(次世代のレーザーのようなもの)」「金融分野」車のナビゲーション、AIマシンラーニング(Googleのモチベーション)などに活用が期待できる
量子コンピューターの現在
- 未だ発展途上
- どうやって作るかをアメリカと中国を中心に競争している
- 量子キュービットの量と質が求められる
- 量子キュービットは現在100程度(100万から10億個必要
量子コンピューターの今後
- 量子コンピューターが普及すると何もかもが変わる可能性
- だがそれは遠い将来だと思われる(10〜100年先!?
量子自体は誰も完璧に理解できている人はいない
リチャード・ファインマン 著名物理学者

相対性理論を確立したアインシュタインは、「神様がサイコロをサイコロを振るはずがない」と最後まで量子の確立性、量子もつれを信じたがらなかったそうです。
ライバル・競合他社
IonQとは違う種類の量子コンピューターを提供する企業のD-wave(カナダ)は、Amazonのみと提携しています。
今の所、IonQの量子コンピューターを客観的に評価する「量子ボリューム」については、まだ正式な発表はありません。
発表されている量子ボリュームで一番大きいのが、Honeywell(ハネウェル)社の「512」になります。(2021年3月時点)
HoneywellもIonQと同じくイオントラック方式を採用していますが、IonQはこれまでとは桁の違う「推定400万」という数値をアナウンスしていますので、今後実機が出てきたときにそれがどれくらい正確なのかというのを測る必要があります。

- Honeywell(ハネウェル)社
- IonQ社
決算
2022年Q1
直近決算では、EPSはNG、売上高はクリアです。
2022年 Q2 決算 | 決算良否 | 予想 | 実績 | 成長率 (Y/Y) |
---|---|---|---|---|
EPS(ドル) | NG | -0.09 | -0.10 | |
売上高(ドル) | NG | 1.141M | 1.183M | +% |
投資リスク
CEOチャップマン氏によると、これまでの研究では、機械学習モデルの学習時間を短縮するために量子コンピュータを使用することが注目されてきたが、これらのアルゴリズムを実行できる量子システムは、科学実験から大規模な生産へと移行するには至っていないとのことで、この技術が通常の株式市場での投資よりもはるかに高いリスクを伴うことを認めています。
IonQは株式公開によって調達した資金を、2023年末までに64量子ビットのチップを製造するための資金に充てる計画です。
保有投資家
IonQ(IONQ)の上場は、特別目的買収会社(SPAC)との合併によるものですが、同社には以下の会社が出資し、非公開企業としての最初の6年間で8,200万(82M)ドルを調達した後、上場後は6億3,500万(0.635B)ドルを調達しています。
- シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルであるNew Enterprise Associates
- Googleの親会社であるAlphabetのVC部門である米GV
- Amazon.com
- ビル・ゲイツの気候変動対策基金Breakthrough Energy
- The SoftBank Vision Fund 2からの出資(2021年6月3日)
投資家の保有比率は次のようになっています。
シェア | ||
---|---|---|
Traditional investment manager | 伝統的な投資運用会社 | 1.16% |
other | そのほか | 98.84% |




この記事の情報ソース
↓IPO資料
↓IR資料
米株分析ツールサイト
IONQに投資できる国内オンライン証券会社
米国株の取引ができる国内証券会社のそれぞれの特徴は、下記の記事で解説しています。