他の米国株上場している量子コンピューター銘柄と業界の将来性はこちらでまとめています。
企業概要
IonQ(IONQ)は量子コンピューターのシステムを開発している企業です。量子コンピューターは金融、保険、化学シミュレーションなどで利用が検討され始めています。
$IONQが進めるのは、『CPU→GPU→QPU』の進化。量子コンピューティングが重要なのは、量子処理ユニット(QPU)によって、より多くのスタックや高密度な計算能力が得られるからです。
量子は次世代コンピューティングの象徴であり、信頼性の高いハードウェアが製造され広まるにはまだ何年もかかると思われますが、IonQ(IONQ)の業績は市場がこの技術の可能性をどのように見ているかを示す指標となるはずです。
ティッカー | 【IONQ】NYSE |
会社名 | IonQ, Inc. |
セクター | 量子コンピューター クラウド |
設立 | 2015年 |
IPO(上場) | 2021年1月4日 |
CEO | ピーター・チャップマン氏 (Amazonの元幹部) |
本部 | メリーランド州 College Park |
従業員数 | 52→202名 (2021/10→2024時点) |
IonQは、SPAC企業のdMY Technology Group, Inc. III,とNY証券取引所に2021年12月7日までにSPAC上場予定です。(2021年3月8日締結後9ヶ月以内)
2021年1月に、量子コンピュータ会社として世界初の上場を果たしました!
設立から現在までの経緯
Christopher Monroe氏(当時、国立標準技術研究所NISTのスタッフリサーチャー)は、デビッド・ワインランド氏(ノーベル賞受賞者の物理学者)と共同で、イオントラップ(電場や磁場を組み合わせて荷電粒子を捕捉する装置)を用いたチームを率いて、量子コンピューティングの研究を始めました。
この、Monroe教授(メリーランド大学)のイオントラップの研究と、Jungsang Kim教授(デューク大学)のスケーラブルな量子情報処理と量子通信ハードウェアの研究を組み合わせて、「Scaling the Ion Trap Quantum Processor」と題した論文を『Science』誌に寄稿しました。
この研究提携がきっかけで、2015年、Monroe教授とKim教授によりIonQ(IONQ)は共同創業されました。
量子コンピューターは革命的な技術であり、ビジネス、社会、そして地球をより良い方向に変えるものであり、IonQはこの革命の最前線にいます。
IonQは25年以上の学術研究を経て、2015年にChris MonroeとJungsang Kimによって設立されました。その後の3年間で、GV、Amazon Web Services、NEAからさらに2,000万ドルを調達し、世界で最も精度の高い量子コンピューターを2台構築しました。
2019年には、SamsungとMubadalaが主導するラウンドでさらに5,500万ドルを調達し、MicrosoftおよびAmazon Web Servicesとのパートナーシップを発表して、当社の量子コンピュータをクラウド経由で利用できるようにしました。
現在、私たちは、次世代のハードウェアを実現し、世界中のパートナーに提供するために、懸命に取り組んでいます。
IonQ HP [about company]
テーマ性(事業内容)
サービス・商品
IonQ(IONQ)の量子マシンは「数年後には世界最速のスーパーコンピュータに匹敵する」
IonQ(IONQ)は、ソフトウェアを一切手がけない、「量子コンピュータ・ハードウェア専業メーカー」です。
同社の11キュービットシステムは、「Amazon Braket」と「Microsoft Azure」上で利用可能となっています。
また、IonQは現在32キュービットのシステムも有しており、2023年にはネットワーク接続によって機能強化していける、モジュラー型の小型なサーバーラックマウント可能な量子コンピューターを構築する計画です。
また、2021年現在、世界の最先端の米国では「イオントラック方式」が流行っているようです。
これまでの、量子コンピューターは、シャンデリアのようにつらされてたような形をしていて、中を絶対零度まで冷やすことで安定して動作する「超電導方式(画像左)」が主流でしたが、IonQの「イオントラック方式」は原子を使って動作します。
トラップイオン量子コンピューティングとは?
自然に存在する原子を使用して量子ビット (量子ビット) を構築する IonQ のアプローチ
事業形態
量子コンピュータ業界は、「ハードウェア設計・製造からソフトウェアも手がける垂直統合型」とIonQのような「水平分業型」の企業に分かれます。
IonQのような水平分業型の企業は、量子コンピューター業界では珍しいタイプになります。
垂直統合型には、次のような企業があります。
- D-wave(カナダ)
- リゲッティ(アメリカ)
- IBM(アメリカ)
- Google(アメリカ)
ソフトウェアをつくるということは、マーケットリサーチやソフトウェア開発にも力を入れなければなりません。
このソフトウェア事業はパートナーに任せて、ハードウェアを専業することにより、ハードウェアに集中することにより他のメーカーより格段に性能の高い量子コンピュータを提供できます。
ビジネスモデル
IonQ(IONQ)は、2020年代中頃に事業が急速にエスカレートし、収益が2024年の6,000万ドルから2026年には5億2,200万ドル(CAGR150%)に跳ね上がると予測しています。
この収益予想は量子アプリケーションの開発に試験的にお金を出した企業が、本格的に量子アプリケーションを使い始めたときに、2024年から顧客の利用形態が拡大し、加速度的に増収増益が起きるとの予測に基づいたものです。
また、IonQ(IONQ)のソリューションは様々なユースケースに拡大すると予測しています。
現在、クラウドが世界的に広まりつつありますが、クラウド事業の世界ランキングは1位Amazon、2位マイクロソフト、4位がGoogleとなっています。
IonQはすでに3大クラウド(アマゾン、Google、マイクロソフト)と提携し、計算量を卸売りすることにより儲けるビジネスを展開しています。
面白いのが、Googleは自社で超電導量子ビットを開発しているにもかかわらず、IonQを採用したことです。
IonQの量子コンピューターによる計算サービスはAmazon、Google、Microsoftのクラウドサービスから時間課金で利用できます。
2023年にラックマウント型を発売予定
量子コンピューティングのスタートアップIonQ(IONQ)は12月9日、今後数年間のロードマップを発表しました。
- 2023年にはデータセンター向けにモジュラー型のラックマウント量子コンピューターを販売できるようになる
- 2025年までに同社のシステムは、さまざまなユースケースで量子の幅広い優位性を実現できるほど強力なものになる
Dell TechnologiesとIonQの協業
Dell TechnologiesとIonQは協力して、ハイブリッドクラシック量子ソリューションをより適切に実現するハイブリッドクラシック量子プラットフォームをテストしました。
量子計算は、シミュレーション、最適化、機械学習アルゴリズムのユースケースを加速する可能性を秘めています。コンプライアンス、ポリシー、プライバシーの問題から、プライベートなオンプレミス環境でデータを消費し、古典的なワークロードを実行したいというお客様が増えています。
コシミュレーションに仮想量子処理ユニット(vQPU)を活用したエンドツーエンドの古典-量子ハイブリッドソリューションです。
ハイブリッド量子-古典アルゴリズムは、量子コンピューターと古典コンピューターを組み合わせたものです。
機械学習、最適化、量子化学など、量子コンピュータの最初の有用なアプリケーションを実現するものと期待されています。
これにより、ユースケースの発見、将来のニーズに対応するための現在のチームメンバーのスキルアップ、顧客のためのより完成度の高いソリューションの開発など、コスト効率の高い方法が可能になります。
Dell TechnologiesとIonQは、Dell EMC PowerEdge R740xdサーバとIonQのシミュレーションエンジンおよび量子処理ユニット(QPU)を組み合わせた古典と量子のハイブリッドプラットフォームのテストを行いました。
●薬理学的開発のためのより大きく複雑な分子のモデリングなどの量子ワークロードをIonQ QPU上でリモートで実行することができる。
●IonQの予約APIにより、各量子回路実行の待ち時間が大幅に短縮される
Dell Technologies社の強みである古典的なインフラとIonQ社のコヒーレンスタイム、ゲートフィデリティ、スケールを組み合わせることで、QPUはより複雑な問題を解決することができ、より優れたエラー修正によりQPUを使って問題を解決する時間を短縮することができます。
また、IonQ社はQPUを室温で動作させることができるため、特別な冷却設備のない既存のデータセンターに設置することができます。このようなIonQの具体的なメリットにより、お客様はどのようなアプローチが最適なのかを評価し、量子の旅を始めることができます。
今回のテストでは、以下のような成果が得られました。
●Dellの古典・量子ハイブリッドプラットフォームは、IonQの量子シミュレーションおよび量子処理ユニットとシームレスに統合されています。Dellのインフラ上で動作するvQPUで量子ワークロードを開発し、その後、最小限の労力でIonQのリモートQPU上で実行するようにシームレスに移行することができます。
●IonQの予約APIにより、Dellの古典・量子ハイブリッドプラットフォームで実行される各量子回路は、ジョブキューで待つ必要がなく、IonQのリモートQPUに直接注入することができます。この機能により、実際のQPUハードウェアを利用してパフォーマンスが大幅に向上します。
●この機能をオンプレミス・インフラストラクチャ・ソリューションで活用することにより、コスト効率とデータ・プライバシーを向上させることができます。その結果、企業はより効率的に量子プログラマーを育成し、ビジネスに不可欠なユースケースを迅速に実現することができます。
IonQ社とのテストでは、古典と量子のエンドツーエンドのハイブリッドソリューションの威力を実証しました。量子ハードウェア、アルゴリズム、ハードウェアが進化し続けるにつれ、古典的なインフラの必要性が加速し、それに応じて拡大していくことがわかっています。
これは、古典的なインフラストラクチャとQPUの組み合わせの始まりに過ぎず、無限の可能性を生み出します」と述べています。
新しい IonQ システムの背後にある技術ロードマップについて
IonQ の技共同創設者兼最高技術責任者である Jungsang Kim とその他の IonQ 技術リーダーが、IonQ Forte Enterprise と Tempo を強化するテクノロジーを詳しく説明しているプレゼン動画です。
最終更新日: 2024 年 1 月 11 日
そもそも量子コンピューターって?
ライバル・競合他社
IonQとは違う種類の量子コンピューターを提供する企業のD-wave(カナダ)は、Amazonのみと提携しています。
今の所、IonQの量子コンピューターを客観的に評価する「量子ボリューム」については、まだ正式な発表はありません。
発表されている量子ボリュームで一番大きいのが、Honeywell(ハネウェル)社の「512」になります。(2021年3月時点)
HoneywellもIonQと同じくイオントラック方式を採用していますが、IonQはこれまでとは桁の違う「推定400万」という数値をアナウンスしていますので、今後実機が出てきたときにそれがどれくらい正確なのかというのを測る必要があります。
量子コンピューターへの投資リスク
量子コンピューターは長期テーマ
量子コンピューターは長期テーマです。NRIによると花開くには2040年に50兆円規模のマーケットが育つまで待つ必要があります。
普及サイクルリスク
GoogleによるD-Waveマシンの検証論文の発表以降、ユーザー企業も量子コンピューターの研究へ参画しており、その結果実用化には高いハードルがあることが分かってきているようです。そういった経緯で、AIが経験した普及サイクルをなぞって、「またふゆのじだいがくるのでは?」と指摘する声もあるようです。
また、このエビデンスとして考えられる専門家による説明は、CEOチャップマン氏によると、これまでの研究では、機械学習モデルの学習時間を短縮するために量子コンピュータを使用することが注目されてきたが、これらのアルゴリズムを実行できる量子システムは、科学実験から大規模な生産へと移行するには至っていないとのことで、この技術が通常の株式市場での投資よりもはるかに高いリスクを伴うことを認めています。
IonQは株式公開によって調達した資金を、2023年末までに64量子ビットのチップを製造するための資金に充てる計画です。
【業績】成長性、財務
会社が儲ける力(収益性、損益計算書)
EPS(一株あたり利益)
当期EPSと売上、年間のEPSが伸び始めているかが注目ポイントです。
EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。
参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。
4半期
年間
EPS予測
売上高成長率
収益とは、企業が商品やサービスの販売と引き換えに顧客から受け取る金額と定義できる。収益は、損益計算書の最上位項目であり、そこからすべての費用と経費を差し引いて純利益を算出します。
4半期
年間
収益予測
収益予測(EBIT)
EBITはEarnings Before Interest and Taxesの略で、企業の中核事業活動から利益を生み出す能力を評価するための重要な指標です。
企業の利益を示す指標であり、営業に関連するすべての収益と費用を含むが、利子と法人税費用は含まないものです。
収益から、税金と利息を除いた費用を差し引いたものとして計算されます。
EBITは営業利益とも呼ばれ、企業の中核事業の業績分析に用いられ、投資家が企業の収益性と将来性を判断するのに役立ち、財務分析では企業の営業成績を評価するために使用されます。
会社の経営の上手さ
ROE(自己資本利益率)
ROEは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標で、アメリカの投資家達が最も重要視している財務指標となっています。
米国企業のROEは平均的に日本企業(平均9%)の倍近い(平均17%)といわれ、アップルが約110%、テスらは6%程度と様々です。
逆にROEがマイナスの場合は赤字か債務過多状態の状態で、その会社は株主資本を1年とうしてどれだけ減らしたかってことがわかります。
四半期
年間
ROA(総資産利益率)
ROAは、自己資本に加え、借金や現金も含めた総資産をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標です。
アメリカの企業におけるROAの平均値は6%程度ですが、日本企業の平均値は3%程度です。そのため、日本企業ではROAの目標値を5%程度で設定しているところが多いです。
上記数値が年々上昇傾向にあればROAの上昇につながり、株価の上昇につながります。
四半期
年間
会社の安全性(B/S バランスシート、貸借対照表)
自己資本比率
自己資本と他人資本を合計した総資本に占める自己資本の割合です。自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいとされています。
自己資本比率=(自己資本/負債+自己資本)×100%
50%以上あればかなり良好な状態といえ、少なくとも30%程度は確保しておくとよいと言われています。
自己資本比率は、業種によって大きく異なります。以下に、中小企業庁「平成30年中小企業実態基本調査」による業種別の黒字企業の平均になります。
業種 | 自己資本比率 |
---|---|
建設業 | 39.5% |
製造業 | 45.6% |
情報通信業 | 58.6% |
運輸業、郵便業 | 36.3% |
卸売業 | 38.3% |
小売業 | 36.7% |
不動産業、物品貸借業 | 32.7% |
宿泊業・飲食サービス業 | 14.4% |
サービス業(ほかに分類されないもの) | 44.9% |
*一般に投資機会が豊富でROI(投下資本利益率)が金利を上回る状況では、自己資本比率が低いほどROE(株主資本利益率)が高まります。これを財務レバレッジ効果と呼びます。
日本企業の自己資本比率は約20%(高度成長期=財務レバレッジ)→製造業平均48.6%(2004年)
また、米国主要500社の自己資本比率の平均は32%と言われています。 業種や会社の数、規模など違いはありますが、日本の自己資本比率の平均がアメリカを上回っています。
キャッシュフロー(CF)
キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。
キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。
C/Fでは主に安全性を確認できますが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/Fです。健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的です。
投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れます。そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。
フリーC/Fは営業C/Fと投資C/Fを足したものをです。これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。
営業CF(CFO)
四半期
年間
投資CF(CFI)
四半期
年間
財務CF(CFF)
四半期
年間
保有投資家
IonQ(IONQ)の上場は、特別目的買収会社(SPAC)との合併によるものですが、同社には以下の会社が出資し、非公開企業としての最初の6年間で8,200万(82M)ドルを調達した後、上場後は6億3,500万(0.635B)ドルを調達しています。
- シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルであるNew Enterprise Associates
- Googleの親会社であるAlphabetのVC部門である米GV
- Amazon.com
- ビル・ゲイツの気候変動対策基金Breakthrough Energy
- The SoftBank Vision Fund 2からの出資(2021年6月3日)
投資家の内容
機関の所有権
ヘッジファンドはイオンQ株を大量に所有していません。moomoo証券のデータによれば、The Vanguard Group, Inc. が発行済み株式の8.6%を保有し、最大の株主です。同時に、2位および3位の株主はそれぞれ発行済み株式の5.6%および3.6%を所有しています。Jungsang Kim氏は第3位の株主であり、取締役会のメンバーでもあります。
つまり、上位25人の株主が合わせて企業の株式の半分未満を所有しています。これは、企業の株式が広く分散しており、特定の支配的な株主が存在しないことを示唆しています。
IonQ のインサイダー所有権
企業内部関係者の定義は主観的で、管轄区域によって異なります。弊社のデータは個々の内部関係者を考慮し、少なくとも取締役会のメンバーを含んでいます。取締役会への経営者の回答と株主利益の代表性が重要です。トップレベルのマネージャーが取締役会に参加することもあります。
インサイダーオーナーシップは、リーダーが企業の実質的なオーナーとして考えていることを示すポジティブな要素ですが、高い所有権は権力集中を引き起こす可能性があります。最新のデータによれば、IonQ, Inc.の内部関係者が企業の一部の株式を所有しており、これは約2億6,800万米ドル相当になります(現在の価格で)。
個人投資家の所有権
個人投資家を含む一般大衆は、企業の株式の49%を所有しており、これは簡単に無視できません。この所有権の規模は、ポリシー決定を自らに有利に進めるには十分ではないかもしれませんが、それでも会社のポリシーに集団的な影響を与える可能性があります。
具体的な投資家の保有比率は、次のようになっています。
この記事の情報ソース
↓IPO資料
↓IR資料
米株分析ツールサイト
IONQに投資できる国内オンライン証券会社
米国株の取引ができる国内証券会社のそれぞれの特徴は、下記の記事で解説しています。