以下のグロース株5つのポイントに沿って、確認していきます。
■ 業績 ■
1) 決算が予想を上回っているか?
EPS、売上高
直近の2020年Q3決算では、EPSが予想EPSを「0.11ドル」、売上高が予想売上高を「2.96Mドル」上回っています。
しかし2020年Q3決算では、「▲ドル」決算を取りこぼしています。
2020年 Q 決算 | 予想 | 実績 | |
---|---|---|---|
EPS(一株利益) | -0.27 ドル | → | -0.16ドル |
売上高 | 15.25M ドル | → | 18.21M ドル |
売上成長率YoY | +N/A% |
Q コンセンサス | アナリスト予想 | 会社予想 | |
---|---|---|---|
EPS予想 | ドル | VS | ドル |
売上高予想 | ドル | VS | ドル |
売上成長率YoY | N/A |
M=Mllion(100万ドル)
B=Bllion(10億ドル)
利益率(Margin)
Gross Margin(粗利率) | 76.69% |
Operating Margin(営業利益率) | -% |
Profit Margin(純利益率) | -% |
キャッシュフロー(CF)
投資の世界で営業キャッシュフロー・マージンが15パーセントから35パーセントぐらいある会社は、バランスシートもきれい。
★売上高から原材料費などの支出を引いたことによって得られる現金収支のことを営業キャッシュフロー。それを売上高で割り算した数字が、営業キャッシュフロー・マージン。
2) 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
IPO後、ボラティリティーは高めながらも理想的な右肩上がりのチャートを示しています。
下のチャートは、価格帯別出来高(上段左灰色グラフ)になります。
62ドル、82ドル付近に購入ボリューム層があることが分かります。
3) 今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?
■ 会社のビジネス ■
企業概要
ティッカー | 【BLI】 |
会社名 | Berkeley lights, Inc. |
カテゴリー | デジタルバイオテクノロジー産業 |
設立 | 2011年 |
上場 | 2020年 7月 |
CEO | 氏 |
時価総額 | 5.22Bドル(億円) |
本部 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 エメリービル |
従業員数 | 210人 |
M=Mllion(100万ドル)
B=Bllion(10億ドル)
BLI社は生物学、主に細胞学研究を根本的に加速することを目的として独自の光選択技術の技術を用いた細胞研究開発用多目的プラットフォームの提供するバイオテクノロジー企業です。
『需要』市場・マーケット
BLI社の見解によると過去20年間で細胞生物学の分野では次世代シーケンシング(*)、単一細胞ゲノム分析、合成生物学などの大きな市場が生まれたが、細胞の機能を最大限に活用するための研究はまだ始まったばかりだということです。
BLI社は抗体治療、細胞治療、合成生物学市場における細胞ベースの製品の売上高は2019年に約1,480億ドルに達し、2024年までに11%のCAGRで2,550億ドルまで成長すると予想しています。
*次世代シーケンシング(NGS)とは
数千から数百万ものDNA分子を同時に配列決定可能な強力な基盤技術。次世代シーケンシングでは、複数個体を同時に配列決定できるなど高度かつ高速な処理が可能であることから、個の医療、遺伝性疾患、および臨床診断学といった分野に変革をもたらしている。
新型コロナのワクチン開発について
BLI社は現在新型コロナウイルスの治療薬の開発をしている米国、中国、オーストラリアの大学や医療センターと提携し、ヴァンダービルト大学医療センター(VUMC)とジェンスクリプトチャイナ(GenScript China)はコロナウイルスのソリューション開発に必要な抗体を見つけるため、BLI社のBeacon(R)プラットフォームを使い、患者の血液サンプルをスクリーニングしています。
また、オーストラリアのクイーンズランド大学は、組換え型サブユニット・ワクチンプログラムの開発を促進する手段として、Beaconプラットフォームを評価しています。
治療薬開発において従来のアプローチよりも迅速に製造準備を整えることができ、タイムラインの大幅な短縮につながると期待されている。
(引用元:PR Newswire)
『供給』サービス・商品
BLI社は主に、次の4つの分野においてプラットフォーム提供を行っており、特筆すべきはそのスピードにあります。
- 抗体の発見
- 細胞株の開発
- 細胞療法の開発
- 合成生物学
*細胞株:単一細胞から培養を開始し、増殖培養後も他細胞との交わりがない単一細胞由来の細胞集団。細胞集団の能力は、分泌物、増殖率、細胞サイズ、長期間培養による増殖能の安定度で分類される。
*光選択技術:半導体チップにレーザー光を当て、チップ表面の光が当たった部分だけ電荷が変化することを用い、1細胞のみを移動させる技術
*合成生物学:組織、細胞、遺伝子といった生物の構成要素を部品と見なし、それらを組み合わせて生命機能を人工的に設計したり、人工の生物システムを構築したりする学問分野。
従来であれば数週間かかる工程を数日にまで短縮することを可能にし、トータルの研究期間を数ヶ月から数週間にまで短縮できるとのことです。
細胞研究オートメーションシステムを開発
その革命的な躍進の鍵を握るのが、BLI社の細胞研究オートメーションシステムです。
- 「Beacon」
- 「Lightning」
- 「Culture Station」(これらのシステムをサポート)
(左からBeacon, Lightning, Cultrue Station)
従来であれば、細胞一つ一つの観察に毎回顕微鏡を覗く必要があったり一つの作業に数人のスタッフやかなりの時間が要求されてきましたが、BLI社のプラットフォームはその全てを自動化しています。
また、研究工程を可視化するなど、今までに必要とされてきた多くのプロセスを効率化することが出来ます。
ビジネスモデル
主な収益はプラットフォームの提供からですが、オートメーション機器の販売も行っています。
(日本ではNikonが業務提携を行っており、「Beacon」の代理販売を務めています)
2018~2019の1年間では直接購入からそれぞれ2120万ドル、3910万ドル(シェア68%、69%)の収益があります。
サブスクリプションからはそれぞれ0ドル、89,000ドル(両方の期間で0%)
戦略的パートナーシップからはそれぞれ690万ドル、960万ドル(シェア22%、17%)
財務
投資リスク
ライバル・競合他社
デジタルバイオテクノロジーにおいて素晴らしい技術を持つBerkeley Lightsであるが、以下の4企業も現在同じ業界でその力を伸ばしてきています。
Danaher【DHR】
Menarini Silicon Biosystems
Miltenyi Biotec
Sphere Fluidics
ライフサイエンス・医療診断機器、歯科医療機器・環境、応用工学など広い分野で工業製品・ソリューションを提供している企業グループ
- 時価総額:1313億
- 30年間で400件を超える買収の多さ、、またその優れた成長戦略
- 2010年に「細胞スクリーニングや細胞分析などの細胞研究機器を提供しているMolecular Devices」を買収して以降細胞研究分野での成長並びに業績に関しても素晴らしい伸び
- 新型コロナ発生後にもFDA(アメリカ食品医薬品局)より認可された初のウイルス検査キットを開発し、検査時間の大幅な短縮や正確さで注目される
1999年に創設され、2013年にMenariniに買収された同社は細胞研究機器の販売を手掛ける企業
- 上場:非上場
- DEPArrayという独自の画像ベースの細胞分類および分離技術により、研究者に単一細胞の分子分析を可能に
- 同社の管理ソフトウェアは一人でも簡単かつ正確に作業を行えるユーザーインターフェースを導入しており、人や時間の削減に貢献
Miltenyi Biotecは細胞研究の分野で基礎研究から臨床応用までエンド・トゥ・エンドで研究をサポートする最先端の製品とサービスを提供
- 上場:非上場
- Berkeley Lights と同じく抗体の発見やT細胞を用いた細胞医療に特化
- Berkeley Lightsとは違い磁気活性化細胞選別という細胞分離法を用いて研究を行う
Sphere FluidicsはBerkeley Lightsと同様に単一細胞分析を可能にするプラットフォームを提供するバイオテクノロジー企業
- 上場:非上場
- 抗体の発見、細胞株の開発や合成生物学研究などの分野で活躍する研究機器Cyto-Mineが主力製品
- 1日で数百万の個々の細胞を自動的に分析、分類、分配することを可能とし時間やコストの削減に貢献
この記事の情報ソース
↓公式の決算資料