未来予想図(2030-2040-2050年)
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【LMND】レモネード(AI保険)のCEO、Shai Wininger 氏は【FVRR】【NNOX】 も手掛ける敏腕企業家!

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レモネード社サマリー
  • カップウィズハンドルを形成中
  • レモネードはAI保険事業(P2P※の損害保険会社)
  • CEO:Shai Wininger 氏は他に【NNOX】【FVRR】も手掛ける敏腕企業家!

※ P2P(Peer to Peer)とは、複数のコンピューター間で通信を行う際のアーキテクチャのひとつで、対等の者同士が通信をすることを特徴とする通信方式、通信モデル、あるいは通信技術の一分野を指す。

業績サマリー
直近決算結果()パス/ミス×
EPS
売上高

以下のグロース株5つのポイントに沿って、確認していきます。

成長株を見分ける5つのポイント

業績ついて

1)決算は良好か?

2)今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?

3)株価チャートが持続的な上昇トレンドか?


会社のビジネスついて

4)時価総額が比較的小さいか?

5)将来の「成長ストーリー」は良好か?
(変化に着目し、想像力を働かせよ)

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業績

1) 決算が予想を上回っているか?

Q3決算の結果は、顧客数が94万人(YoY+64%)、PPCが201ドル(YoY+19%)、IFPは188.9M(YoY+99%)と着実に成長しています。Gross Earned Premium(既経過保険料:保険期間が終了し収入となった保険料)も前年の$21.9Mから+104%の$42.9Mに成長しています。

EPS、売上高

引用:Seeking Alpha

直近の2020年Q3決算では、EPSが予想EPSを「0.08ドル」、売上高が予想売上高を「67.31Mドル」上回っています

2020年 Q 決算予想実績
EPS(一株利益)– 0.25ドル -0.17ドル
売上高370.39M ドル437.7M ドル
売上成長率+71.32%
Q コンセンサス会社予想
EPS予想-0.16ドル
売上高予想515.26Mドル
売上成長率+17.7%
Source : Seeking Alpha

M=Mllion(100万ドル)

B=Bllion(10億ドル)

利益率(Margin)

Gross Margin(粗利率)%
Operating Margin(営業利益率)-%
Profit Margin(純利益率)-%
Source : Finviz.com

キャッシュフロー(CF)

投資の世界で営業キャッシュフロー・マージンが15パーセントから35パーセントぐらいある会社は、バランスシートもきれい。

★売上高から原材料費などの支出を引いたことによって得られる現金収支のことを営業キャッシュフロー。それを売上高で割り算した数字が、営業キャッシュフロー・マージン。

損害率はカルフォルニアにおける山火事をはじめ、数多くのハリケーン・暴風雨の被害があったものの、72%となりました。正味損害率は65%と改善傾向にあります。

支出は19 Q3から11%増加し、$41.6Mとなりました。セールス・マーケティング費用が$22.2Mと飛び抜けており、$30.9Mの赤字です。ただ、Lemonadeとしても顧客数を獲得しない限りは機能しないビジネスなので、ある程度の認知度を獲得するまではこの傾向が続くのではないかなと推測します。財務諸表は読めないため、これ以上は飛ばします。

2) 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?

理想的なカップウィズハンドルを形成しており、2020年12月8日には+13%の上昇を見せ、再高値の96.51ドルを試しに行きました。

現在の株価

91 ドル

Data souce : Trading View

現在カップウィズハンドルの形成を完了し、高騰局面に入っています。

下のチャートは、価格帯別出来高(上段左灰色グラフ)になります。

70ドル、80ドル付近に抵抗帯があり、反発する可能性があります。

引用:楽天証券

アナリストの評価はホールドが多く、目標株価は$45〜$105で、平均が$67.5です。

3) 今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?

PSR(株価売上倍率)

71.51

Data souce : 楽天証券

会社のビジネス

企業概要

ティッカー【LMND】
会社名Lemonade, Inc.
カテゴリー保険 – 物損 & 損害賠償
設立2015年6月
上場2020年 7月
CEODaniel Schreiber氏
CTO/COOShai Wininger氏
時価総額4.90Bドル(億円)
本部ニューヨーク
従業員数459人

M=Mllion(100万ドル)

B=Bllion(10億ドル)

Lemonadeは、Daniel SchreiberとShai Winingerの二人によって創業されました。

Daniel Schreiber

DanielはLemonadeを創業する前は、2011年〜2015年にワイヤレス充電製品を開発するPowermat Technologies Ltd.で代表を務めたほか、2003年〜2011年はSanDiskとM-Systemsのマーケティング部門で勤務経験があります。

Shai Wininger氏

Shaiは2009年に、イスラエルのフリーランスサービスのオンラインマーケットプレイスであるFiverr Ltd.を創業し、CTOとして同社のマネジメントに携わってきています。Fiverrも昨年6月にIPOをしています。DanielはShaiのことをLemonadeにとって最も重要な”資産”と言います。

第四次産業革命とも呼ばれる急激な変化の中で、100年以上も前からほとんど進化のない保険業界に目をつけ、テクノロジーと”利害が対立しない”ビジネスモデルにより、ゼロから新しい保険スキームを構築することを目指しています。

現在では、利便性の高いアプリを通して、約100万人の顧客へより安い保険料で損害保険やペット保険を提供しています。

最近爆上げLMND、今年強い上げ基調のFVRR、そして今日試作機デモ初公開し今月だけで70%も上げてるNNOX、これらに共通事項があるのを知っていますか?

んー、なんだろう??

それはこの3つ全てに🇮🇱出身起業家Shai Wininger氏が、立ち上げに絡んでいるんです!

異なる分野で複数起業しているのは、本当にすごいですね😆

Glassdoorにおける従業員による評価は、97%が友人へ会社を勧める、99%がCEOを承認する回答しています。他の企業を見てもらえると分かるのですが、とても高い評価を得ています。

『需要』市場・マーケット

2020年の生命保険の市場規模は約8,000億ドルであり、年10%で成長している巨大な市場です。

保険の歴史

100年以上イノベーションのない保険業界

保険の起源は様々な交易が行われていた古代オリエント時代まで遡ります。交易における自然災害や略奪のリスクに備えるため、紀元前300年頃に貿易商人により冒険貸借が生み出され、これが保険の原型になったのではないかと言われています。

保険業界は2000年以上もの歴史を経て、2019年時点で、「世界の市場規模は6.3兆ドル」にも達します。世界最大の市場規模である「米国では1.32兆ドル」であり、日本の国家予算をゆうに上回ります。

また、Fortune 100のうち、12の企業が保険会社ですが、これらの企業は創業から平均125年が経過している老舗企業ばかりです。こうした長い歴史を持つ市場であるにも関わらず、ほとんどイノベーションが起こっていない業界でもあります。

保険業界は”愛されていない”業界?

また、保険業界は”愛されていない”業界です。高い保険料に、支払基準も不透明で時間もかかる保険金請求と、保険会社に良いイメージがほとんどありません。また、日本においては積立保険のほとんどが加入するメリットの無いものとなっているのは、周知の事実です。

Source : Lemonade

Lemonadeは保険業界が愛されない理由として、顧客と保険会社の間にある”利害が対立する”保険特有の構造であると考えます。この”利害が対立する”関係性こそ、保険会社と顧客との信頼を損ない、保険会社が愛されていない理由であるとLemonadeは考えています。

Our Mission: Harness technology and social impact to be the world’s most loved insurance company.

私たちの使命:テクノロジーと社会的影響を利用して、世界で最も愛されている保険会社になること。

Lemonade

ユーザー

Lemonadeの顧客のうち、70%が35歳以下(Gen Y・Gen Z)であり、90%が初めて保険を契約する人たちです。これらの世代はモバイルファースト、複雑なコミュニケーションを好まない特徴があります。

その様なユーザーに対して、Lemonadeは次の3つの取り組みを行っています。

  • アプリで加入手続きや保険金請求が完結する仕組み
  • AI MayaとAI Jimによる迅速な対応による優れた経験を提供
  • Givebackという仕組みによる顧客と保険会社の関係性の見直し、効率的な保険プロセスによるコスト削減で実現する優れた保険料

Lemonadeの顧客数は堅調に推移しており、Q3の時点ではYoY+67%で941,313人に達しています。QoQの成長率は10%半ばで安定しているものの、YoY成長率の鈍化が少し気になります。

顧客数の地域割合は公表されていないのですが、S-1の総収入保険料(Gross Written Premium)の内訳を見ると、CaliforniaとTexasが50%を占めているようです。

顧客あたりの保険料(PPC)

顧客あたりの保険料は18 Q1より上昇しており、20 Q3ではYoY+19%で$201となっています。

このPPCを上げるための戦略として、ライフサイクルに合わせた損害保険の補償ニーズの拡充と、新しい保険とのクロスセルが挙げられます。

引用元:Lemonade: A Refreshing Take On Insurance

次のような取り組みにより、顧客あたりの保険料の成長は順調のように見えます。

既存顧客がアパート賃貸からコンド、持ち家へと成長していくにつれて、顧客の補償ニーズが拡充することで保険料が上がります。

  • コンドオーナーのうち、アパート賃貸から”卒業した”顧客の割合は年々上昇傾向にあり、2020年7月IPO時点では9.8%を占める。
  • Q3では持ち家へ卒業した顧客が前年比+300%と増加し、卒業生の顧客一人当たりの保険料は平均900ドル上昇
  • 顧客あたりの獲得コストは150ドルであり、残りの750ドルは獲得コストをかけずに獲得したことになります。

また、顧客のライフサイクルに合わせた新しい保険商品も開発しています。

  • Q3に取り扱いを開始したペット保険も好調。
  • クロスセル効果は大きく、ペット保険を追加した顧客の保険料中央値は前年比4倍に成長。
  • 顧客継続率や顧客あたりの獲得コストに対するLifetime Valueも改善しており、2020年中には保険全体の5%を占めると見込んでいます。

一方で、25歳から34歳までの住宅所有率は、2005年の50%近くから2015年には35%まで低下しており、持ち家よりも賃貸を好む傾向がどのように影響するか気になるところです。

車両保険に関しては、顧客にとって重要であり長期的に検討していくものの、現時点では具体的なタイムラインを提供していません。

Lemonadeとしては保険請求が頻繁に発生するような保険商品、つまりユーザーエクスペリエンスの向上余地が大きい商品こそ、Lemonadeの強みを活かせると考えているようです。

『供給』サービス・商品

ビジネスモデル(問題解決)

Lemonadeが取り組む課題の一つである、1,000ドルを奪い合う”利害が対立する”関係性を変えるために、Lemonadeは手数料を25%に固定とすることにしました。

顧客から受け取った保険料は次の様に分配されています。

  • 25%はLemonadeの手数料
  • 残りの75%を再保険と顧客からの保険請求の支払い

もし75%の保険料内で余剰保険料が生じた場合

  • 保険会社のものとも顧客のものともせず、顧客が選んだ非営利団体へ寄付します。(Givebackという仕組み)

Lemonadeは、保険会社と顧客との間に生じる利害関係を一律にすることで、”利害が対立する”関係性を改善すると考えています。再保険とGivebackという2つの仕組みにより、リスクを分散しながら、手数料を固定とすることが実現し、粗利の安定化にも貢献しています。

再保険とGivebackのしくみ

LemonadeはQ3から新しい比例再保険特約(Proportional Reinsurance Agreement)を再保険会社と締結しました。これにより再保険の金額が大きく増えており、Q3のRevenueは昨年同四半期や前四半期との比較に使えません。S-1によると、この新しい比例再保険は、Lemonadeの保険事業の75%のリスクをカバーするためのものです。具体的には、Lemonadeが受けた全保険料のうち、75%を再保険会社へ譲渡します。それと引き換えに、再保険会社は1ドルのうち75%を出再手数料(Ceding Commission)として、Lemonadeへ支払うとともに、75%の保険金請求に対応するための資金を提供します。Lemonadeは全保険料のうち、残りの25%は非比例再保険特約(Non-Proportional Reinsurance Contracts)で管理しています。

再保険会社とすると、受け取った再保険料のうち、25%をLemonadeへ出再手数料として支払い、残りの75%で再保険を補償します。例えば、正味損害率が70%の場合、100%−25%-70%=5%が再保険会社の経費となります。再保険会社にとっては正味損害率が低ければ低いほど良いわけです。

Lemonadeからすると、再保険によりリスクを分散するとともに、Givebackにより余剰保険料を非営利団体へ寄付することで、より安定的に25%の固定手数料を獲得できるようになります。これにより、外部要因により変動する損害率に関わらず、グロスマージンを25%で固定することができ、売上予想がしやすくなります。顧客数と顧客単価が増えれば売上が上がるというシンプルな構造です。この売上の立てやすさが高いバリュエーションにつながっているのかもしれません。

Gen YやGen Zへのマーケティング効果としても有効

Givebackの仕組みはLemonadeが主な顧客としているGen YやGen Zへのマーケティング効果としても有効であると思われます。

Gen YやGen Zは他の世代と比較するとリベラルな傾向にあり、「69%のGen Zは社会的に貢献している企業から好んで購入する傾向」にあります。

JETRO「次世代を担うミレニアルズ世代、ジェネレーションZー米国における世代(Generation)について」

S-1によると、NPS(Net Promoter Score)は70以上を獲得しており、保険業界の平均である20以下よりも優れた数字になっています。また、App Storeの評価は★4.9、保険比較サイトのClearsuranceでは★4.86で一位を獲得しています。

テクノロジー

Lemonadeは、4つの段階においてテクノロジーを活用しています。

  1. Delight Customers
  2. Grow Fast
  3. Predictive Data
  4. Machine Learns
1)Delight Customers

AI MayaとAI Jimのチャットボット

  • Lemonadeのアプリ上で、「AI Maya」とチャットを通して、短時間で保険に加入することができます。難しい保険用語を使う必要はありません。
  • 顧客からの保険金請求の対応はAI Jimが対応し、現在では、3分の1のケースにおいて保険金支払が数分以内に行われています。
  • AI MayaとAI Jimの活躍により、他社と比較し、Lemonadeは少ない人員で数多くの顧客に対応することができます。
  • Lemonadeは従業員1人あたり2,500人の顧客に対応することができます。これは大手保険会社の5倍以上の数です。

また、こうしたコスト削減により、2019年時点では他社と比較し、平均で68%も安い保険料を実現しています。

2)Grow Fast

若い年代の顧客は、年齢を重ねるにつれて、ライフサイクルに合わせた必要な補償ニーズも異なってきます。アパートの賃貸からコンド、そして持ち家と成長していくに合わせて、Lemonadeは顧客が必要とする保険を提供します。

2020年3月末時点で、コンドミニアムのオーナー12,445人のうち、9.8%はアパートの賃貸から”卒業した”顧客であり、この割合は年々増えています。顧客の成長に合わせ、保険料も徐々に増加する傾向にあり、36ヶ月後には56%増加しています。

3)Predictive Data

保険加入時の質問数は13と、他の保険会社よりも遥かに少ない数で加入手続きを簡便にしています。

一方で、問い合わせから保険金請求まですべてのプロセスで、1,600のデータポイントを収集し、顧客がどの程度保険請求を行うのか、保険金の支払いはいくらになるのかの予測に活用します。

4)Machine Learns

各プロセスで得られたデータを一つのシステムに統合し、顧客のインタラクション、保険請求のプロセス、マーケティングに活用します。こうした機械学習により、2018年の時点ではAIが対応した顧客からの問い合わせは6%のみでしたが、2020年までに33%まで増加しています。

投資リスク

顧客維持率

  • 1年目の顧客維持率は75%、2年目の顧客維持率は76%(2020年3月31日現在)
  • 解約率は1年目で13%、2年目で5%であるため、実質的な顧客維持率は1年目が62%、2年目が71%

同業他社の顧客維持率は83〜88%程度ですので、非常に低い水準であり、1年後には獲得した顧客の3分の1を失っていることになります。

Lemonadeは保険商品を提供していない地域への引っ越しなどを理由として挙げていますが、低い顧客維持率は顧客数の成長鈍化にも影響してくるものと思われます。

Q3の決算発表では具体的な数字を提示しなかったものの、顧客維持率は安定しており、少しずつ上昇しているとのことですが、鈍化傾向にある顧客成長率と低い顧客維持率は懸念事項として残ります。

ライバル・競合他社

保険業界は”Winner takes all”という市場ではないため、Lemonadeの競合を考える際、保険業界の特徴を考える必要があります。

米国での損害保険の市場規模は6,377億ドルになりますが、保険会社は5,965社にも及び、42%にあたる2,496社が損害保険を提供しています。最大手のState Farm Mutual Automobile Insuranceでさえ、シェアは9.3%のみです。

Lemonadeのシェアに関するデータは見つからないのですが、受取保険料から計算すると、1%にも満たないことが分かります。古いデータでああるものの、ニューヨークにおいては2017年4月時点で4.2%ほどとのことです。

また、数え切れないほどのインシュアテックのスタートアップ企業があります。

LMNDまとめ

今後の見通しとしては、やはり数千社の保険会社がひしめく市場において、どれだけ顧客数を伸ばすことができるのか、顧客維持率を改善できるのか、顧客あたりの保険料を上げていくるのかという点が注目ポイントです。

顧客あたりの保険料は顧客の卒業を経て上がっていくものであるため、すぐ数字に大きく現れるものでもありませんので、決算ごとに確認しながら、長期目線で保有するのが良いかも知れません。

この記事の情報ソース

↓公式の決算資料

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