「ググってる?」は日本語でも動詞になっていますが、英語でも「Google it!」と同様です。
これは、すでに世界的に広く浸透していることを表しています。クローム、Gメール、Youtube、グーグルマップ、もう生活に欠かせないサービスになっていますね。
そんな、普段慣れ親しんだGoogleについて、投資目線ではどんな企業なのか見てみましょう。

次の4つの視点に着目しています。

- 「時価総額」:今後の上昇余地
- 「チャート」:価格推移、PSR
- 「テーマ性」:事業の将来性
- 「業績」:決算の良否、成長率
- 「時価総額」1749.6B(1.8兆円)、S&P500
- 「テーマ性」インターネット、クラウド
- 「業績」決算ピカピカ銘柄
- 「テクニカル」上昇トレンドライン内で推移
総合評価
★ 宝くじ、ギャンブル性強い
★★ 将来性に期待したい
★★★ 初心者にもおすすめできる
Googleについて、サクッと把握
会社サマリー
アルファベットは、世界最大級のインターネット企業グーグルの持株会社です。
企業理念は徹底的にユーザーファースト。ブレークスルーする組織風土が完全に出来上がっている世界の覇者です。
時価総額 | Bドル |
ティッカー | GOOG/ GOOGL [NASD] |
会社名 | Alphabet Inc. |
業種 | インターネット クラウド |
設立 | 2015年 |
IPO(上場) | 2004年 8月 |
CEO | サンダー・ピチャイ氏 (2019年12月3日–) |
本部 | カルフォルニア州 |
従業員数 | 139,995人 |
単位:T=1兆、B=10億、M=100万
アルファベットには3つの株式が存在します。
- クラスA(GOOGL) ‥ 議決権があり
- クラスB ‥ 創業者であるラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、元CEOのエリック・シュミットのみが保有(議決権がクラスAの10倍)
- クラスC(GOOG) ‥ 議決権がなし
我々が投資できるのはクラスA(GOOGL)とクラスC(GOOG)ですが、どちらに投資しても変わりありません。
業績サマリー
かつては、広告のみの売上構成でしたが、YoutubeプレミアムやGoogleピクセル、グーグルクラウドなど非広告収入を増やしています。
M&Aを積極的に行い、新規事業もどんどんつくり、どんどん競合を潰していくスタイルの経営でまさに王者といったところです。
指標 | |
---|---|
売上成長率(YtoY) | +32.7% |
ROA(総資産利益率) | 16.80% |
ROE(自己資本利益率) | 23.50% |
ROI(投資利益率) | 14.10% |
Gross Margin(粗利率) | 54.30% |
Operating Margin(営業利益率) | 25.30% |
Profit Margin(純利益率) | 26.10% |
M = Mllion(100万)
B = Bllion(10億)
決算
EPS、売上高ともに、オールOKです。
時折ミスをしていますが、これほど歴史があり信頼を構築している
企業では多少のミスは気にとめる必要はありません。

2021年 Q2 決算 | 決算良否 | 予想 | 実績 |
---|---|---|---|
EPS(ドル) | ○パス | 19.35 | 27.26 |
売上高(ドル) | ○パス | 46.08B | 50.95B |
Google以外の収入 (ドル) | 0.185B | 0.192B | |
営業利益率 | 26% | 31% | |
設備投資(ドル) | 5.5B | 6.47B |

2021年 Q3 予想 | コンセンサス (アナリスト予想) | ガイダンス (会社予想) |
---|---|---|
EPS予想(ドル) | 22.97 | |
売上高予想(ドル) | 62.91B |
2021/10/29
Source : Trading view
Google深掘り
Googleの歴史
Googleは、1998年にラリー・ペイジ(Larry Page)とセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)によって設立されました。
スタンフォード大学の博士課程の学生だった彼らは、カリフォルニア州メンローパークの友人のガレージを借りて検索エンジン事業を開始し、創業資金として約100万ドルの資金調達に成功したところから始まりました。
年代 | |
---|---|
1998年 | ラリー・ペイジと セルゲイ・ブリンによって設立 |
2004年8月19日 | 株式公開(IPO) |
2006年 | 16億5000万ドルでYoutube買収 |
2014年 | GOOG→3つのクラスに株を分割 |
2015年 | 再編の一環として、Googleおよび グループ企業の持株会社として Alphabetが設立される |
オープンソース文化
1990年代末から2000年代にかけてオープンソースという用語が誕生、普及しました。
オープンソースは、世界規模でIT技術者に多大な影響を与えています。自分のアイデアや経験を共有しあうことにより機能の大幅な向上を目指すという考え方が、テクノロジーの発展に寄与してきました。
Googleは数ある企業の中でも、積極的にオープンソースを取り入れています。

オープンソースOSとして、Googleは2005年にAndroid Inc.を買収しLinux、Androidを開発し、2009年にChrome OSを開発しています。2019年には何社かのオープンソース企業との新たなパートナーシップや既存のパートナーシップの拡大を発表しています。
オープンソースである真のメリットは、その動作の仕組みを正確に理解できる点です。つまり第三者がオープンソースの動作を「セカンドオピニオン」としてレビューすることができ、技術の発展につながります。
マーケット
インド
Googleは2004年からインドで事業を開始していますが、インドはGoogleにとって鍵を握る海外マーケットとして、2020年以降の5〜7年でインドに100億ドル(約1兆700億円)を投資すると発表しています。
インドへの投資は下記の4つに焦点を当てています。
- 全インド国民がヒンディー語やタミル語、パンジャーブ語、その他の言語など自分の言語でアクセスし、情報を得られるようにする
- インド特有のニーズに応える新たなプロダクトやサービスを構築する
- デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業のサポート
- 医療や教育、農業など公益性のある分野へのテクノロジーとAIの活用
インドの人口は13億人となり、おそらく米国や中国の大企業にとって手が付いていない最後の大きな成長マーケットだ。
現在ではインドの5億人以上がネットを、4億5000万台のスマホが使用されている。「インターネットを10億人ものインド人にとってリーズナブルな価格、そして使い勝手のいいものにするためには、すべきことがたくさんある。音声入力の改善、インドで使用されている全言語向けのコンピューティング、新世代の起業家の育成などだ」
グーグルCEO インド生まれのサンダー・ピチャイ氏
詳細は明らかにされていませんが、グーグルの決済とNext Billion Users構想を担当する副社長Caesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は次のように語っています。
より多くの人が学習し、成長・成功することができるよう、高クオリティ・低コストのスマホを提供することにフォーカスする
Google 副社長シーザー・セングプタ氏
中国締め出し
インドでの足がかり構築は、中国でのビジネスから大方締め出されている米国のテック大企業にとって重要性を増しています。2020年7月初めにグーグルは、インドが中国企業を締め出す動きを見せている中、中国で新たなクラウドサービスを提供する計画をキャンセルしたと発表しています。
インド政府は2020年6月に、中国企業が開発した59のアプリやサービスを禁止しています。
禁止されたものにはByteDance(バイトダンス)のTikTok、Alibaba Group(アリババグループ)のUC Browser、Tencent(テンセント)のWeChatなどが含まれます。
サービス・商品
Googleの親会社であるAlphabetにサービスには、以下のものがあります。
- 広告収入(Google、Youtube)
- アプリの売上
- アプリ内課金
- Google Playストアの売上
- 自社ハードウェアであるPixelなど
- GoogleドライブやGoogleクラウド
- Google AI
Google AI
Google AIは、人工知能を専門とするGoogleの一部門です。2017年に設立されました。
2021年5月に発表された、AIによる会話技術「LaMDA(ラムダ)」は、英語による自然な会話のやり取りを可能にするものです。
まだ開発中の技術ですが、今後Android携帯OSのみならず、自動車や家電などさまざま分野で活躍する技術のひとつです。
ビジネスモデル
Alphabetの主な収益は、プラットフォーム内での広告収入です。同社は、現在ではオンライン広告の雄であり、2020年の総売上は年+18.00%成長の182.5B(1825億)ドルにものぼります。
売上構成比
収益の大半の92%は、Googleプラットフォーム内での広告収入です。

地域比
Googleのビジネスは次のような地域構成になっています。
- アメリカ ‥47%
- EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)‥30%
- APAC(アジア圏)‥18%
- そのほか‥5%

アルファベットのグループ会社
AlphabetはGoogle以外に、多くのグループ企業があります。
- キャリコ(Calico)‥アンチエイジングを研究しているバイオテクノロジー会社 Calicoはカリフォルニア・ライフ・カンパニーの略 GV(旧Google Ventures)‥ Alphabetのベンチャーキャピタル部門
- CapitalG ‥ 世界中の成長期の中小企業に投資するエクイティファンド
- Verily ‥ ライフサイエンスの研究を専門とするAlphabetの研究組織
- ウェイモ(Waymo)‥ 自律型(自動運転)自動車開発会社
- Nest Labs ‥ ホームオートメーション会社
- X ‥コンピュータサイエンスの研究開発を専門とする部門
- Sidewalk Labs ‥ スマートシティの創造(都市生活の改善)を目指すアーバンイノベーションカンパニー
- Google Fiber ‥ 高速ブロードバンドサービスとIPTVを提供する会社
収益性
EPS成長
EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。
参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。

EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。当期の1株当たり利益を前期以前のものと比較することで、会社の収益性や成長度をおおむね把握できます。
2006年から2021年までのアルファベットの年次および四半期ごとの1株当たり利益の履歴です。1株当たり利益は、すべての転換証券および負債、オプションおよびワラントを含む、希薄化された株式ベースあたりの普通株主に帰属する企業の純利益または損失と定義することができます。
- 2021 年 3 月 31 日までの四半期におけるアルファベットの EPS は 26.29 ドルで、前年同期比 166.36%の増加となりました。
- 2021年3月31日までの12ヶ月間のアルファベットEPSは75.03ドルで、前年比51.48%の増加となりました。
- アルファベット2020年の年間EPSは58.61ドルで、2019年に比べて19.22%の増加となりました。
- アルファベット2019年の年間EPSは49.16ドルで、2018年から12.49%増加しました。
- アルファベット2018年の年間EPSは43.7ドルで、2017年から142.78%の増加となりました。

売上高成長
アルファベットの2006年から2021年までの年次/四半期ごとの収益の推移と成長率です。収益とは、企業が商品やサービスの販売の対価として顧客から受け取る金額と定義できます。収益は、損益計算書の最上位項目であり、そこからすべての費用と経費を差し引いて純利益を算出します。
- 2021年3月31日までの四半期におけるアルファベットの収益は、前年同期比34.39%増の553.14Bドルとなりました。
- 2021年3月31日までの12ヶ月間のアルファベットの収益は、前年比18%増の196.682Bドルとなりました。
- 2020年のアルファベットの年間収益は$182.527Bで、2019年から12.77%増加しました。
- 2019年のアルファベットの年間収益は161.857Bドルで、2018年から18.3%増加しました。
- 2018年のアルファベットの年間収益は$136.819Bで、2017年から23.42%増加しました。

会社が儲ける力
利益率成長
Alphabet (GOOGL)の過去10年間の現在および過去の売上総利益率、営業利益率、純利益率です。
利益率は、企業が収益から経費を差し引いた後に収入として保持する割合と定義できます。
2021年3月31日現在のアルファベットの純利益率は26.11%です。

会社の経営の上手さ
ROE(自己資本利益率)
ROEは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標で、アメリカの投資家達が最も重要視している財務指標となっています。

米国企業のROEは平均的に日本企業(平均9%)の倍近い(平均17%)といわれ、アップルが約110%、テスらは6%程度と様々です。
逆にROEがマイナスの場合は赤字か債務過多状態の状態で、その会社は株主資本を1年とうしてどれだけ減らしたかってことがわかります。
借金(負債)は「株主資本」には入らないため、多くの借金をして利益を上げた結果、高いROEになるケースもあります。
アルファベット(GOOGL)の過去10年間の株主資本利益率(ROE)の現在および過去の値です。株主資本利益率は、株主資本に対する純利益の還元額と定義することができます。株主資本利益率は、株主が投資した資金で企業がどれだけの利益を生み出したかを明らかにすることで、企業の収益性を測定します。

ROA(総資産利益率)
ROAは、自己資本に加え、借金や現金も含めた総資産をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標です。

アメリカの企業におけるROAの平均値は6%程度ですが、日本企業の平均値は3%程度です。そのため、日本企業ではROAの目標値を5%程度で設定しているところが多いです。
上記数値が年々上昇傾向にあればROAの上昇につながり、株価の上昇につながります。
アルファベット(GOOGL)の過去10年間のROA(総資産利益率)の現在および過去の値です。総資産利益率は、企業が総資産に対してどれだけ利益を上げているかを示す指標と定義できます。企業の営業利益を総資産で割って算出します。

会社の安全性
キャッシュフロー(CF)
キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。
キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。
- 営業CF → 本業の営業活動で稼いだ現金の増減
- 投資CF → 将来の利益につながる活動に使った現金の増減
- 財務CF → 増資や配当、金融機関に対する借入・返済などによる現金の増減
C/Fでは主に安全性を確認できますが、3つのC/Fのうち最も重要なのは、営業C/Fです。健全な企業では営業C/Fの金額よりも当期純利益が低いのが一般的です。
投資C/Fは設備投資や株式投資をした場合にマイナスで現れます。そのため、マイナスになっているほうが積極的に投資をしている企業と言えます。
フリーC/Fは営業C/Fと投資C/Fを足したものをです。これがプラスの場合は投資に現金を使っていても、それ以上の現金を営業C/Fで稼ぎ出していることを意味します。

バリュエーション
PSR推移
指標 | |
---|---|
PER(LTM) | 34.6倍 |
PER(NTM) | 30.3倍 |
PSR(LTM) | 8.3倍 |
PSR(NTM) | 6.6倍 |

価格帯別出来高

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