暴落時のようなボラティリティの高いマーケットでは、リスクが高いため、初心者は定期積立以外での株式投資に手を出さない方が無難です。
そんな時に歴史的に資産価値が安定している「金」に投資しておくのも安全資産を築く上で重要な項目です。
下のグラフは、楽天証券から引用した暴落相場時の「ジャンル別騰落率」ですが、金の強さがわかると思います。
金(ゴールド)の投資メリット
金の特徴
投資家目線で金は下記のような特徴があります。
- 株価が下がっていると、金価格は上昇
- 株価が上がっていると、金価格は下落
- インフレリスクが高まると金価格は上昇
最も安全な資産は金
投資対象として最も大きい金の魅力は、安定していることです。
金は何千年も前から歴史があり、安全な通貨として最も古くから世界中の政府機関や投資家などから認識されています。
金価格、米実質金利と米ドル指数の推移
金の位置付け
金は他の貴金属と違って、主な用途は装飾品です。
貴金属には下記の種類があります。
金の価格を決定する要因
金の価格を決定する要因は3つあります。
- 通貨としての価値変化
- 実需需要
- 投機需要
1.金の価値はどのように決まるか?
米ドルは主要なグローバル準備通貨であり、最も一般的に使用される世界通貨として知られています。そのような、米ドルと金には深い歴史があり相関関係にあります。
- 金も通貨であるため、米ドルは金と競合する通貨です
- 米国の中央銀行(FRB)は米ドルを作成しています=マネーサプライ
- 資本主義経済は、マネーサプライを使用して債務を作成することに依存しています
- したがって、米国マネーサプライ、米国債務は長期的に金の価格を決定します。
2.実需需要
金の実需には宝飾80%、工業製品等10%の需要があります。
※銀の工業用は60%くらい
3.投機需要
投機需要とは主にトレードのことで、時期によって変動します。
なぜ今、金が買い時なのか?
金が買い時な理由は、アメリカ中央銀行(FRB)などが、コロナショックでの金融緩和のためにたくさんお金をばらまくと、貨幣が増えて価値が下がるので相対的に有限である金の価値が高くなるためです。
この金融緩和は、将来的には大きなインフレを起こす可能性があり、貨幣の価値が大きく下がる可能性があります。
いつか金の価格が大きく上がるタイミングがあるかもしれませんが基本的には、安全資産としての長期投資を目的とするのがおすすめです。
金の価格が5倍以上になる可能性
マネタリーベース(アメリカドルの量)と金価格は相関関係にあることは先ほど説明したとおりですが、コロナショックに伴い相次ぐ金融緩和でドルが増えると金の価格も一緒に上がることが期待できます。
☑️ 米国のマネーサプライの推移
下のグラフは、マネタリーベース(アメリカドルの量)の成長率を示していますが、歴史的に大きな値になっていることがわかります。
☑️ 金(黄色)とドル通貨の比率推移
下のグラフは、金の価格($)/マネタリーベース($)の1970年からの推移を示しています。
- 2019年の数値は0.44と、標準値の平均2.5と比較しても歴史的にとても低い水準にあります。これは2020年でもほとんど変化ありません。
- マネタリーベースが大きく増えているのに金価格はあまり上がっていません。
- 仮に0.44→2.5になるとしたら、約5倍の金価格の上昇が見込めます。
金の投資法
金の特徴を利用したポートフォリオ戦略
金の第一の特徴は株式と逆相関なので、その特徴を利用して米国株式と組み合わせで成り立つポートフォリオ戦略です。私は、この方法を利用して投資効率を上げています。
やり方はシンプルで、下図のように株式価格が下落したら、相対的に値上がる金を値上がり分だけ売り、安い米国株を買いまして利幅を稼ぐ手法です。
3種類の投資先
最初に言っておきたいのは、金の先物取引はトレーダーのための商品であり、安全資産ではありませんので注意してください。
金はポートフォリオの中で、10〜20%程度の保有がおすすめです。(金に全資産を投入してしまっては、株式などで得られる配当「インカムゲイン」および「キャピタルゲイン」は得られません。)
金の投資法として、おすすめ順に解説していきます。
1位)ETF、投資信託で購入する
現物以外の投資法として、ETF、投資信託で購入する方法があります。その中でも、最も規模の大きい下記の3種類のETFがオススメです。
SPDR ゴールド シェア(GLD)
- 純資産総額:7.5兆円
- 連動指数:Engelhard Gold Index
- 投資地域:グローバル
- ファンド概要:金地金価格(ロンドン金値決め)に連動する運用成果を目指す。(信託費用差し引き後)
- 設立:2004/11/18
- 設定来リターン騰落率:283.05%
- 年初来リターン騰落率:18.06%
- 基準価額(米ドル):169.56 (2020/07/15)
- 分配利回り:0.00 %
- 経費率:0.40 %
iシェアーズ ゴールド トラスト(IAU)
- 純資産総額:2.9兆円
- 連動指数:Gold London PM Fixing
- 投資地域:グローバル
- ファンド概要:iシェアーズ ゴールド・トラスト(iShares Gold Trust)は発行した株式と引き換えに、譲渡された金を保有することを目的とする。
- 設立:2005/1/21
- 設定来リターン騰落率:285.48%
- 年初来リターン騰落率:13.05%
- 基準価額(米ドル):17.22 (2020/07/15)
- 分配利回り:0.00 %
- 経費率:0.25 %
SPDRゴールド ミニシェアーズ トラスト(GLDM)
- 純資産総額:約3,000億円
- 連動指数:Engelhard Gold Index
- 投資地域:グローバル
- ファンド概要:金地金価格(ロンドン金値決め)に連動する運用成果を目指す。(信託費用差し引き後)
- 設立:2018/06/25
- 設定来リターン騰落率:41.51%
- 年初来リターン騰落率:18.20%
- 基準価額(米ドル):17.98 (2020/07/15)
- 分配利回り:0.00 %
- 経費率:0.18 %
金ETFの株価推移は、どれでも瓜二つです。
私は、経費率が最も優れるGLDMを選んでいます。
GLDMの純資産総額は見劣りしますが、正直上場廃止になるリスクは殆ど無いと言っても過言では無いのできにする必要はないでしょう。
金ETFへの投資方法は、ドル建てでの毎月積立購入をおすすめします。
2位)現物保有
金地金(金の延べ棒)による金の購入。【大きなサイズの金の現物を持ちたい人向け】
金地金は、金現物の輝きを手元で実感できますが、購入金額が数十万~数百万円と高額です。また、安全な保管場所を確保する必要があり、保管料がかかるなど注意が必要です。
- 海外
- 自宅の金庫
- 銀行などに預ける
金貨による金の購入【金の現物を手ごろな金額で購入したい人向け】
金地金と比べて少額で購入が可能。持ち運びも簡単です。金地金に比べて割高。コインに傷がつくと売却価格が安くなる。紛失のリスクも高く、保管方法に注意が必要です。
※歴史的には金の価格が暴騰すると、金現物を持ってはいけないという法律ができたことがあります。
3位)純金積立
金の買付口座を作って間接的に現物取引する方法です。
毎月一定額で金を積み立てて購入するドルコスト平均法を使った投資手法です。月1000~3000円程度と少額なので、気軽に始められます。少額からコツコツ金投資を続けたい人向けの方法です。
※書面はPDFでも内容確認及び印刷を行うことが出来ます。