Fiverr社について、サクッと把握
Fiverrは、フリーランスが提供するサービスを売買するオンラインマーケットプレイスで、イスラエルの多国籍企業です。
Fiverrのプラットフォームは、フリーランス(売り手)と雇用主(買い手)をつなぎ、ビジネスカードのデザインやHTML、JavaScript、CSS、jQueryのサポートなど、多岐にわたるサービスを提供しています。
Fiverrでは、売り手は自分の提供するサービスを好きな価格に設定できます。Fiverrのサービスは、日本の「ココナラ」と似たサービスですが、Fiverrは世界160か国の人々が利用する巨大なマーケットプレイスです。
Fiverrの主な競合サービスには、Upwork(UPWK)があります。
Fiverr社のサービスやユーザーについて
サービス内容
Fiverrは、フリーランスが提供するサービスを売買するオンラインマーケットプレイスで、世界最大級のクラウドソーシングサイトです。以下は、Fiverrで提供されているサービスの一部です。
- イラスト、ロゴデザイン、ビジネスカード、3Dモデリング、音楽制作、声優などのクリエイティブ系のサービス
- HTML、JavaScript、CSS、jQueryのサポートやレッスン
- 動画編集、翻訳、ライティング添削、試験スピーキングなどの英語系のサービス
- プログラミング、ウェブ開発、アプリ開発、データ分析、SEO、SNSマーケティングなどのIT系のサービス
Fiverrでは、売り手が自分の提供するサービスを好きな価格に設定できます。また、Fiverrにはレベル制度があり、レベルが高いほど、上限額が上がるため、結果を出すほど高く売れるということです。
また、Fiverr Proは、専門性の高い案件を取り扱っており、クオリティの高いものを提出できる人にはオススメです。
人気のあるカテゴリー
Fiverrで提供されているサービスの中で、人気のあるカテゴリーは以下の通りです。
- デザイン(ロゴ、ビジネスカード、ウェブサイト、バナーなど)
- デジタルマーケティング(SEO、SNSマーケティング、コンテンツマーケティングなど)
- ライティング・翻訳(記事作成、ブログ投稿、セールスコピー、翻訳など)
- ビデオ・アニメーション(プロモーションビデオ、アニメーション、動画編集など)
これらのカテゴリーは、Fiverrで最も人気があるカテゴリーの一部であり、多くの売り手が提供しています。ただし、Fiverrには多岐にわたるサービスが提供されており、他にも多くの人気カテゴリーがあります。
マーケット・ユーザー(顧客)
フリーランスの市場は、とても巨大で長期的に成長することが予想されています。
Fiverrの考える米国市場でのTAM(獲得可能な最大市場規模)は、100B(1,150億)ドルを想定しています。
Fiverrの顧客には、世界160か国のフリーランサーとそのプロダクトを購入するユーザーがいます。
Buyerの年間支出額では、2020年に入ってからもQごとに7ドルずつ成長しており、このペースで成長すれば2020年Q4では198ドル(YoYの成長率16%)になります。
2020年Q2と2019年Q1を比較すると157ドルから184ドルの18%成長であり、まだまだ客単価の成長は止まっていないという事は言えます。
テイクレート(売上÷GMV)のレートは徐々に増加傾向にあります。
コホート図
下のグラフから、年度ごとのユーザーの加入・離脱状況がわかります。
2010年〜2013年ごろに獲得した薄いコホートも今でも一定数が売上として残っていることが分かります。
完全に発注者をリテンションし続けることはできないまでも、一定の層に対しては極めて強いリテンションが働いていることが分かります。
新しいユーザーほど離脱率が高くなっていることが気になります。
地域比
ファイバー(FVRR)のビジネスは世界160か国で、次の地域で展開されています。
Fiverr社の強み、弱み
Fiverr社のプラットフォームは、フリーランサーとビジネスを結び付け、
- グラフィックデザイン
- デジタルマーケティング
- プログラミング
- ビデオ
- アニメーション
を含む7つ以上の分野で、200を超えるカテゴリのデジタルサービスを提供しています。
Fiverrの事業展開のスピード感
- 創業2年で”Gig”というワードの商標を取得
- スマホ初期の段階(2013年)で早くもアプリをローンチしている
- 創業9年で160か国にサービス展開
Flywheel effects
上記の様に発注者側とフリーランサー側双方のビジネスにとって良い効果が継続的に生まれ、その結果としてマーケットプレイスが発展していくことを目指していくのが基本的なビジネスの考え方となります。
サービス・商品の仕組み
Fiverrの主力事業は、フリーランスの仕事のマーケットプレイス(マッチング)です。
- フリーランス(Seller)が、自分の受けれる仕事(Gig)を登録し、発注者(Buyer)がGigを探して発注するという仕組み
- 本気でフリーランスとして仕事をしようとしている人しか登録ができない様な構造になっている
Fiverrのマーケットプレイス設計思想
Fiverrは、次の4つの思想でマーケットプレイスを設計しています。
- Service-as-a-Product
- オンデマンド
- End-to-endプラットフォーム
- グローバルコミュニティ
1)Service-as-a-Product
良く見るクラウドソーシングの場合は、発注者側が任せたい仕事の内容を考えて掲載、それに対してフリーランサーが応募するというモデルになっています。
一方でFiverrの場合はそれが逆になっているのが特徴です。つまり受注者側が基本的にはパッケージを設定する様なモデルになっています。
下の画像は、アニメーションやゲーム向けの3Dモデル作成パッケージの例です。
仕事(Gig)のカテゴリは、次のように整理されています。
- Graphics & Design
- Digital Marketing
- Writing & Transration
- Video & Animation
- Music & Audio
- Programing & Tech
- Lifestyle
- Industries
この仕組みが、他のサービスの様に発注者が仕事を個別に考えるのではなく、マーケットプレイス上にある仕事(Gig)から任せたい仕事に一番合うものを選んでいくというビジネス体験を提供しています。
2)オンデマンド
仕事を頼みたいときにすぐ頼めるという発注のオンデマンド性です。
オンデマンド性とは、国内のクラウドソーシングにあるような、発注の都度やり取りをしなくてはならないなどの工数を最小限に削減するようなことを言います。
この項目では3つの特徴が挙げられます。
- 大幅なリードタイム削減ができる
- フリーランサーの数が多く、フリーランサーに頼むような仕事は一通り揃っている
- 去の発注者によるレーティングやFiverrのプロ認定により、発注先にするフリーランサーの選定がより簡単に素早くできる
つまり、「必要な時に必要なだけ」仕事を発注できます。
3)End-to-endプラットフォーム
実際に会社がフリーランスに仕事を頼もうとすると結構複雑な手続になります。
フリーランスを探す→面接→コンペ(相見積もり)→スコープ・金額・納期をすり合わせ→契約書作成→契約を締結→仕事発注→検収→納品→請求書発行→支払い…といった流れです。
これは発注者側も大変ですし、自分で雑務も含め全てのタスクをこなさなければいけないフリーランサーにとってはこれらを全て行うのは大変な工数です。
Fiverrはそのような面倒な業務を包括的にプラットフォーム上で行うことができるように設計がされています。
また、フリーランサー側では、E-Learningで自分のスキルを高めたり、営業用のロゴを作ったりなどといった仕事を受注する前段階からの作業もFiverr上で行ったりすることができます。
Fiverrは2件のM&Aを行っており、And.coというフリーランス向けの業務管理ツール、ClearVoiveというコンテンツマーケティングプラットフォームをサービスラインに加え、マーケットプレイス以外でのマネタイズも強化しています。
4)グローバルコミュニティ
Fiverrは既に160か国に展開がなされており、その広がりの大きさは評価できるポイントだと思います。
アメリカのみならず、南アフリカや中東、欧州諸国など本当に様々な国から仕事を受注でき、フリーランサー側にとってはグローバルでレバレッジを効かせて仕事ができるのは非常にメリットを感じられるポイントです。
日本の場合はアプリはダウンロードできるものの、日本語対応はしておらず、まだ日本円での報酬のやり取りもまだできない状態のようです。
日本は経済規模は大きいものの、フリーランス文化が稀薄という点で本格参入が劣後しているということかと思います。
新たに追加されたサービス
Fiverr business
ファイバー・ビジネスは、3四半期前に開始されたばかりのサービスで、ユニリーバなどの大企業も利用しています。
ファイバー・ビジネスは、マーケットプレイス・ビジネスの5%を占めるまでに成長しました。
Promoted Gigs
2020年度に発表されたPromoted Gigsは、四半期の広告収入が100万ドルを超えています。
Seller Plus
20212QにSeller Plusという新サービスをリリースしました。
Seller Plusは、フリーランサーのためのサブスクリプションベースのロイヤリティプログラムです。
フリーランサーは、月額29ドルを支払うことにより、専任のサクセス・マネージャーが付き、速く報酬を受け取り、高度なアナリティクスを見ることができます。
ビジネスパートナー
セールスフォース(CRM)、ウィックス(WIX)と新たなパートナーシップを締結しています。(2021Q2)
ビジネスモデル
ビジネスモデルは、BuyerとSellerの間で仕事の受発注がなされる時の、支払い手数料になります。
Buyer側から5%、Seller側から20%、の合計25%の手数料をとっています。
ライバル・競合他社
Fiverr(FVRR)の直接競合はアップワーク(UPWK)になります。
Fiverr vs Upwork
FiverrとUpworkは、両方ともオンラインフリーランスジョブボードであり、フリーランスがプロフィールを作成し、潜在的なクライアントが彼らを見つけ、彼らの仕事をレビューできるようにしています。以下は、FiverrとUpworkの比較です。
FiverrとUpworkの主な違いは、Fiverrが小規模で一度限りのプロジェクトに適しているのに対し、Upworkは大規模で複雑なプロジェクトに適していることです。
Fiverrはシンプルなインターフェースと手頃な価格で知られており、フリーランサーや小規模ビジネスにとって良いオプションです。Fiverrはフリーランサーが自由にサービスを販売し、クライアントがアプローチするのを待つことを奨励しています。
一方、Upworkはより包括的な機能セットと熟練したフリーランサーの大きなプールを提供しています。Upworkは、Fiverrよりもセキュリティや認証基準に責任を持っており、フリーランサーはプロジェクトに入る前にフィルタリングされ、仕事を見つけるために積極的に入札する必要があります。
なお、FiverrとUpworkのどちらが優れているかは、プロジェクトの規模や複雑さ、予算、時間枠、セキュリティ、フリーランサーのスキルセットなど、多くの要因に依存します。どちらのプラットフォームを使用するかは、ユーザーのニーズと希望に完全に依存します。
そのほかの、Fiverrの競合サービスにはToptal、99designs、Codeable、Outsourcely、Freelancer、PeoplePerHour、SolidGigs、Bark.com、Skyword360、Flexjobs、Guru、Hubstaff Talentなどがあります。
Fiverrの業績
FVRRの株価
株価はIPO初値26ドルから一時+1200%となり、2021年7月は+900%の230ドル台を推移していましたが、2021年8月の2Q決算発表を受けて以降米国マーケットの下落とともに下がりました。
- 「時価総額」:今後の上昇余地
- 「チャート」:テクニカル分析
- 「テーマ性」:事業の将来性
- 「業績」:決算の良否、成長率
業績
売上高
売上高は前年同期比+60%で、前回の決算で提示したガイダンスの上限を消化しました。
アクティブ・バイヤーは、400万人に拡大し、前年同期比43%増加しました。
利益率
売上高の増加と費用の効率化により、利益率は向上しています。
Active buyers
バイヤー1人当たりの支出額は226ドルに達し、前年同期比23%増加しました。
テイクレート(手数料収益)
プラットフォームの収益性を表すテイクレートは27.8%、前年同期比80ベーシスポイントの増加となりました。
Non-GAAP売上総利益率
2021年第2四半期のNon-GAAP売上総利益率は84.4%でした。
マーケティング投資収益率
マーケティングの効率性を表すパフォーマンス・マーケティング投資収益率は、1倍でした。
マーケティング費用を3ヶ月で回収しており、効率的なマーケティングができています。
チャート分析
テクニカル分析
現在、下値抵抗線(170ドル)で踏みとどまっています。
今後の展開としては、次の展開が予想できます。
①1度250ドルあたりまで上げてから、上値抵抗線を突き抜ける
②150〜250ドルチャネルの中でヨコヨコする
③3Q決算に向けて下落
価格帯別出来高からも分かる通り、230〜250ドルの分厚い売り圧力を消化して最高値をつけられるかが①と②の分かれ目でしょう。
価格帯別出来高
2021年8月10日時点では、86%が含み損となっています。ボリュームの平均値は203ドルです。
PSR推移
指標 | バリュエーション |
---|---|
PSR(LTM) | 24.7倍 |
PSR(NTM) | 19.0倍 |
この記事の情報ソース
↓売り出し目論見書
↓公式のIR資料
↓その他ツールサイト
免責事項:
本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいて損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
以上です!
ご検討をお祈りします!