アメリカで人気の上場手法、「SPAC」
SPACとはSpecial Purpose Acquisition Companyの略で、直訳すると特別買収目的会社となります。
つまりSPACとは、買収を目的とした会社のことで、上場したい未上場会社を買収することで、被買収企業は通常上場には1年以上の準備期間が必要なところ、資金調達をしながら素早く上場できるメリットがあることから、2020年ごろから人気となっています。
SPACは事業の実態がない買収するだけの目的のため「空箱」とも呼ばれています!
国内オンライン証券でも買えるSPAC銘柄
SPAC銘柄の多くは、国内オンライン証券で購入できませんが、買える銘柄もあります。
銘柄 | シンボル | 株価(1/12) |
---|---|---|
ドラフトキングス A | DKNG | 53.39ドル |
クラリベート | CCC | 30.94ドル |
ルミナー テクノロジーズ A | LAZR | 31.47ドル |
スキルズ A | SKLZ | 24.50ドル |
バーティブ・ホールディングス | VRT | 18.37ドル |
SPAC銘柄のしくみ
個人投資家とヘッジファンドは前から$10-11.50のSPACを預金代わりに使っています。条件は各SPACのシートを見る必要はありますが、このSECのページのSPAC説明文のtrust accountの部分を参照すればどのような仕組みか分かると思います(*英文)。
SPACへの投資は、個別銘柄と同様に購入することができますが、他にもSPACへ関節的に投資する方法として、SPAC詰合せパックETF「SPCX」を購入する方法があります。
また、個人投資家とヘッジファンドは前からSPAC銘柄は10ドル以下にはならないという特徴と買収が進まない場合でも通常2年程度で金利をつけて投資資金を返還するため、金融緩和で余っているマネーの行き先となっています。
10-11.50ドルのSPACを宝くじ付き預金代わりに使っていますが、機会損失や買収会社によっては10ドル以下になる可能性もあることから、オススメはできません。
SPACの投資リスク
ニコラの例
SPACは慎重な判断を重ねて買収先を決めているのですが、買収先が100%安全という訳ではありません。
最近では2014年設立ながら、SPACを用いて短期間で上場を決めた米電動自動車メーカー、二コラが問題になりました。
二コラは今年の6月にSPACを用いてNASDAQに上場し、時価総額は一時3兆円を超えました。
しかし、2020年の9月に、「実際は動力がないEVトラックをあたかも走っているように見せかけた」虚偽の宣伝を行ったという詐欺容疑がかけられ、同月には創業者兼会長であったトレバー・ミルトン氏が辞任するという衝撃の展開を迎えます。
このように経営不振なのに監査の目をかいくぐりSPACによって上場して、株価が暴落する場合もあります!
こういう上場を揶揄して「裏口上場」とも言われています。
株価が急落した場合に損失を被ってしまうのは投資家です。
SPACへの投資を検討する際には、どんな会社を買収するのか、被買収企業の財務状態はどうなっているのか、などしっかりと調べてから投資をしましょう。
スタンフォード大学の論文
去年のスタンフォード大学の論文でもあったように、非常にリスクが高いことが言われています。SPAC投資家はせめてこのリンクの一番初めの文だけは読んだ方がいいです。
特にこのリスクは必ず確認してください。魅力的な企業とくっつけば株価は倍になりますが、合併後の動き、実際には$6.67しか現金がないことなどが書いてあります。
Although SPACs raise $10 per share from investors in their IPOs, by the time the median SPAC merges with a target, it holds just $6.67 in cash for each outstanding share.
We find, first, that for a large majority of SPACs, post-merger share prices fall, and second, that these price drops are highly correlated with the extent of dilution, or cash shortfall
SPACの今後
SPACはコロナ禍の時期から人気となりましたが、素早い上場による資金調達から、今後もアメリカでは盛り上がりを見せていくと思われます。
また、最近では日本でも米国株が人気なので、SPACへ投資する個人投資家も増えていくと考えられます。
日本では現在、SPACを用いた上場は行われていませんが、アメリカでの高まりを見て、近い将来日本でもSPACが可能になるかもしれません。