
自由にできるお金が2,000万円ほどあるけれど、どう運用すればいいのか。
年金は夫婦で年間250万円程度。
年利5%で運用して年間100万円ほど足しにできないだろうか?

結論から申し上げますと、
定年間際になって、いきなり資産運用を始めるのはオススメしません。
- 定年後にまとまった貯金がある程度ある人
- 投資経験ない方とインデックス 積立をしていた方
- 資産を失わないために、気をつけること
- 2種類の資産運用方法
定年間際、定年後のいきなりの資産運用は「失敗の王道パターン」です
リスク許容度を理解せずに投資をすると必ず失敗します。
リスク許容度とは、資本元金がどれくらいマイナスになってもいいか?という指標のことです。
下記の項目で判断していきます。
- 年齢(若ければ若いほどリスク許容度が高い)
- 家族構成(子供がいない方がリスク許容度が高い)
- 職業・収入水準(安定職で収入が高いほどリスク許容度が高い)
- 保有資産額(資産が多いほどリスク許容度が高い)
- 投資経験(経験が長いほどリスク許容度が高い)
- 本人の性格
例えば、下記の様な例が挙げられます。
リスク許容度が高い | リスク許容度が低い |
---|---|
30代 | 50代 |
会社員 | 自営業 |
高収入 | 普通の収入 |
貯金500万円 | 貯金100万円 |
独身 | 妻子あり |
一般的に50代、60代のリスク許容度はかなり低いと言えます
- 株や不動産に積極投資するフェーズではありません
失敗の王道パターン具体例
(1)退職金で不動産投資
空室や修繕やらで赤字続き、不動産管理も交渉や移動など体力的な負担もあり、泣く泣く損切りしてしまう場合が多いです。
不動産投資は、悪徳業者が多く、知識や経験が物を言う投資手法なので、ゴミ物件をつかまされて損をするということになりかねません。
(2)退職金で株式購入
株式投資の経験がないまま、タイミング悪く〇〇ショックで含み損を抱えてしまうと、時間的猶予や気持ちが耐えきれずに損切りしてしまうパターンです。
この様に、コツコツためてきたお金が老後になって、資産激減してしまうと目も当てられません。

「知識不足なのにまとまったお金があり、資産運用に意欲的」だと、欲に目が眩みやすくなります。
プロである銀行や不動産業者が見逃すわけがありません。
団塊のシニア世代はまさにカモなので、本当に気をつけてください。
それでも資産運用したい方は
まっとうな投資法でのシュミレーションをおすすめします。
例えば、
2000万円のうち、
- 生活防衛資金 500万円
- 株式投資(株3割、債権7割) 1500万円
この場合、〇〇ショックという暴落があったら最大損失は年間400万円くらい失うリスクがあります。
これに引き換え、期待できる年間リターンは、せいぜい3%前後(年間45万円くらい)
これでOK!と思われるのであれば投資してもいいと思います。

その場合は正しい情報を得て、余計な情報に惑わされず優良ファンドを中心に、インデックスやETFへの投資をオススメします。
くれぐれも、世の中に溢れる「ぼったくりファンド」にご注意を!
【定年後からの資産運用法 1 】年金の繰り下げ受給
十分な貯金がある場合、年金を繰り下げ受給してみる方法があります。
- 65〜69歳の5年間 → 貯金で乗り切る
- 70歳から → 年金を受給
この方法は、50代からのスタートでも100歳まで安心して生きることができる考え方です。その理由を、解説していきます。
オススメは資産運用でなく「貯金」から「繰り下げ受給」
繰り下げ受給をすると、年金の受給額が『最大142%』になります。
シュミレーションで説明します。
- 現在65才
- 貯金2000万円
- 年金は夫婦で年間250万円
- 年間支出350万円
ケース1「65才から年金を受給するパターン」
毎年100万円の赤字(支出350万円ー年金250万円)
この場合、85才で貯金が尽きます。
男性平均寿命81才 女性は87才
人生100年時代では、不安が残ります。
ケース2「70才から年金を受給する繰り下げ受給」

65〜69才の5年間年金を受給せずに貯金で乗り切る
5年間で残額は250万円(350万円×5年=1750万円支出)
70才から毎年350万円の年金を「繰り下げ受給」(250万円×142%=355万円)
この場合、毎年の収支がプラスになります!
- 85才で貯金325万円(250万円+5万円×15年)

これだったら、毎年の収支がプラスなので100才まで安心していきられるわね♪
「繰り下げ受給」とは?
実は、繰り下げ受給は人生100年時代に備える最強の資産運用なんです!
65才から年金受給時期を1ヶ月ずらすごとに、年金受給額が0.7%増えます。
1年遅らせると、受給額がなんと8.4%も増えるんです!
最大で5年遅らせると、受給額は42%増えます。

自分の年金資産を年利8.4%確定で運用できる、超ローリスクハイリターンの資産運用なんです!
保証のない株式投資でも年利3〜5%が、安心して運用できるラインなので、それが確定でもらえるということは、素晴らしい投資効果なんです。

もし、受給する前に亡くなってしまったらどうなるの?

本人が受け取ることができませんが、申請すれば本来受給できたはずの年金を遺族の方が受け取れますので無駄にはなりません。
損するのは、71才や72才など受給開始後すぐに亡くなってしまうケースのみです。
【定年後からの資産運用法 2 】2種類の4%ルール
インデックス投資などにによる株式資産を持っている場合、貯めた資産を最高効率で活用し、「半永久的にお金を受け取る出口戦略」を知らないとお金だけでなく、心のゆとりという面でも大きく損してしまいます。

自分が引退してインデックス資産を取り崩していくタイミングで、運悪く「暴落」が起きたら、せっかく長い時間をかけて貯めた資金がすぐに枯渇してしまうのが怖いな。

仮に、3,000万円の資産を作れたとして、300万円ずつ取り崩したら、10年ぽっちで無くなってしまいそうですよね。
こような資産をいかに取り崩して長持ちさせていくかという研究結果を元に解説します。
インデックス投資の出口には、下記のような2つの取り崩し戦略があります。
1つ目の4%ルール:定額取り崩し
引退時の資産×4%を定額で取り崩し続けるというのはこういうことです、
- 65才で引退するとき、3,000万円の資産があったとする
- 1年目の取り崩し額は、3,000万円×4%=120万円
- 2年目の取り崩し額も、3,000万円×4%=120万円
- 3年目以降もずっと同じ
つまり、引退時資産×4%に相当する金額を定額で取り崩しているということです。

4%×25年=100%なので、25年で資産が0になってしまうんじゃないか?

ところが、運用しながら取り崩せば資産がもっと長生きすることが分かっているんです!
アメリカでは、「どんなポートフォリオ」で「何%ずつ取り崩せば」出来る限り資産を減らさずに長持ちさせられるか、を研究した人たちがいます。
1998年にアメリカのトリニティ大学の教授3人がこんな研究結果を導き出しました。
- 1926年〜1995年の70年間を対象期間として
- 株式50%:債権:50%のポートフォリオにして
- 取り崩し率を年4%に設定すると、
30年後に資産が残っている確率は96%!
トリニティ・スタディ
つまり、25年で資産が尽きて0になるどころか、30年経っても96%以上の確率で残高が残っているんです。
株式:社債が75:25の割合の際になんと100%の確率で成功するというデータになっています。

各シナリオの中央値ベースでみても、なんと当初資産の8倍に成長しているんですね(笑)
イメージしやすい様に、数字で説明すると
- 3,000万円もって引退
- 4%に相当する120万円を30年間使い続けたら
- 30年後に、残高が2億4000万円に増えるという結果
しかも、これが「一番よかったシナリオ」ではなく「中央値のシナリオ」なんです。

まるで、手品みたいだなぁ
対象期間の70年間には、もちろん「暴落・弱気相場」も含まれています。
コロナショックの様な暴落相場を踏まえて、4%ずつ定額で取り崩しても、資産は皆さんが思っているより長生きする可能性が高いんということです。
1998年に行われたトリニティ・スタディですが、2011年に筆者自身によって検証用データが更新されています。
結果は、1998年と2011年とで、そう大きくかわっていません。

2018年にもWade Pfauという研究者によって「アップデート」されていて、その研究結果によると
- 株式50%:債権50%のポートフォリオにして
- 取り崩し率を4%に設定すると
30年どころか35年後に資産が残っている確率が96%
40年後に資産が残っている確率は86%
という内容が報告されていて、4%ルールの有効性は今も否定されていません。

By Wade Pfau(Forbes.com)より引用
しかしながら、注意点もあります。
☑️為替リスクがあります
- 円ベースでなく、ドルベースで4%ずつ取り崩す計算が必要
- 円に換算していくらになるのかは、その時の為替レート次第

私自身は、円資産しか持たないことはかえってハイリスクだと考えているので、
円ベースの公的年金(日本)とドルベースの年金=インデックス資産の取り崩し(米国)の組み合わせをオススメします。
☑️アクティブ・ファンドでなくインデックス ・ファンドに投資しましょう
- アクティブ・ファンドはインデックス・ファンドに比べ手数料が高いです
- ファンドに支払う手数料を、年1%増やすと成功率は「96% → 84%」に下がってしまいます
- 2%の手数料を払うと、成功率は「65%」にまで下がります

たった1%の手数料で成否を分けるくらいの違いがあるんだな

大半のアクティブ・ファンドはインデックス・ファンドに勝てません。
難しいことを考えずに、素直にインデックス ファンドに投資することをオススメします。
2つ目の4%ルール:定率取り崩し
2つ目の4%ルールは、
- 引退時の資産額×4%を定額で取り崩すのではなく
- 毎年の資産残高×4%を定率で取り崩すというもの
です。こちらはトリニティ・スタディではなくインデックス 投資の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」(日経新聞出版社:バートン・マルキール著)で紹介されている方法です。
長期的に見ると、
- 株式リターンは平均7%
- 債権のリターンは平均4%
- 株式50%:債権50%のポートフォリオを組むと期待リターンは最大5.5%になります。
ここで、つい毎年5.5%分のお金を引き出したくなるところですが、インフレ率を考慮することが必要です。
インフレとは物の価値が上がり相対的にお金の価値が下がることを言いますが、インフレが進めば進むほどお金の価値は減っていくということになります。

つまり、インフレの分だけ実質的にお金が減少しています。
インフレ率を1.5%と想定すると、ポートフォリオの実質リターンは4%になります。(期待リターン5.5% – インフレ率1.5% = 4%)

これが毎年資産を4%ずつ取り崩してもOKと言われる、ざっくりとした計算の背景です

資産が4%ずつ増えるのであれば、資産を4%ずつ使っても減らないということだね
まさに「打ちでの小槌」みたいだ(笑)

つまり、この小槌を降った時にでてくる金額というのは、「持っているインデックス ファンドの総額に比例」します。
- 1000万円の小槌 → 40万円
- 3000万円の小槌 → 120万円
- 5000万円の小槌 → 200万円
次のような工夫をすると資産は半永久的に長持ちします
- ポートフォリオの期待リターンよりも小さい%で取り崩す
- インフレ率を高めに考慮する
- 暴落相場では取り崩し額を控えめにする
暴落相場というのは、過去を振り返ってみても平均で11ヶ月程度しか続きません。こういう時に資産を取り崩すというのは、「安売り」に他ならないので、取り崩し額を調整することをオススメします。
相場の景気が戻れば、資産額は一気に回復します。
インデックス 投資というのは、毎年一定率で増加していくのではなくあるとしは+15%、ある年はー10%などと資産の変動率があります。

短期視点で見て、心を消耗するのではなく、20年30年と長期で見ることで運用が安定することを覚えておいてください。
こういうちょっとした調整をするだけで、自分の資産は自分の寿命よりもはるかに長生きするでしょう。
- 不慣れな資産運用に老後から手を出すよりも「貯金」から「繰り下げ受給」が有力な選択肢
- 4%ルールは正しく運用すれば、現在でも通用する最適なインデックス資産の取り崩し方法と言える
- こうすれば資産運用の成果に振り回されたり、貯金残高を気にすることなく、楽しく何才までも暮らせることがでます