自由にできるお金が2,000万円ほどあるけれど、どう運用すればいいのか。
年金は夫婦で年間250万円程度。
年利5%で運用して年間100万円ほど足しにできないだろうか?
結論から申し上げますと、
定年間際になって、いきなり資産運用を始めるのはオススメしません。
定年間際、定年後のいきなりの資産運用は「失敗の王道パターン」です
リスク許容度を理解せずに投資をすると必ず失敗します。
一般的に50代、60代のリスク許容度はかなり低いと言えます
- 株や不動産に積極投資するフェーズではありません
失敗の王道パターン具体例
(1)退職金で不動産投資
空室や修繕やらで赤字続き、不動産管理も交渉や移動など体力的な負担もあり、泣く泣く損切りしてしまう場合が多いです。
不動産投資は、悪徳業者が多く、知識や経験が物を言う投資手法なので、ゴミ物件をつかまされて損をするということになりかねません。
(2)退職金で株式購入
株式投資の経験がないまま、タイミング悪く〇〇ショックで含み損を抱えてしまうと、時間的猶予や気持ちが耐えきれずに損切りしてしまうパターンです。
この様に、コツコツためてきたお金が老後になって、資産激減してしまうと目も当てられません。
「知識不足なのにまとまったお金があり、資産運用に意欲的」だと、欲に目が眩みやすくなります。
プロである銀行や不動産業者が見逃すわけがありません。
団塊のシニア世代はまさにカモなので、本当に気をつけてください。
それでも資産運用したい方は
まっとうな投資法でのシュミレーションをおすすめします。
例えば、
2000万円のうち、
- 生活防衛資金 500万円
- 株式投資(株3割、債権7割) 1500万円
この場合、〇〇ショックという暴落があったら最大損失は年間400万円くらい失うリスクがあります。
これに引き換え、期待できる年間リターンは、せいぜい3%前後(年間45万円くらい)
これでOK!と思われるのであれば投資してもいいと思います。
その場合は正しい情報を得て、余計な情報に惑わされず優良ファンドを中心に、インデックスやETFへの投資をオススメします。
くれぐれも、世の中に溢れる「ぼったくりファンド」にご注意を!
【定年後からの資産運用法 1 】年金の繰り下げ受給
十分な貯金がある場合、年金を繰り下げ受給してみる方法があります。
この方法は、50代からのスタートでも100歳まで安心して生きることができる考え方です。その理由を、解説していきます。
オススメは資産運用でなく「貯金」から「繰り下げ受給」
繰り下げ受給をすると、年金の受給額が『最大142%』になります。
シュミレーションで説明します。
ケース1「65才から年金を受給するパターン」
毎年100万円の赤字(支出350万円ー年金250万円)
この場合、85才で貯金が尽きます。
男性平均寿命81才 女性は87才
人生100年時代では、不安が残ります。
ケース2「70才から年金を受給する繰り下げ受給」
65〜69才の5年間年金を受給せずに貯金で乗り切る
5年間で残額は250万円(350万円×5年=1750万円支出)
70才から毎年350万円の年金を「繰り下げ受給」(250万円×142%=355万円)
この場合、毎年の収支がプラスになります!
- 85才で貯金325万円(250万円+5万円×15年)
これだったら、毎年の収支がプラスなので100才まで安心していきられるわね♪
「繰り下げ受給」とは?
実は、繰り下げ受給は人生100年時代に備える最強の資産運用なんです!
【定年後からの資産運用法 2 】2種類の4%ルール
インデックス投資などにによる株式資産を持っている場合、貯めた資産を最高効率で活用し、「半永久的にお金を受け取る出口戦略」を知らないとお金だけでなく、心のゆとりという面でも大きく損してしまいます。
自分が引退してインデックス資産を取り崩していくタイミングで、運悪く「暴落」が起きたら、せっかく長い時間をかけて貯めた資金がすぐに枯渇してしまうのが怖いな。
仮に、3,000万円の資産を作れたとして、300万円ずつ取り崩したら、10年ぽっちで無くなってしまいそうですよね。
こような資産をいかに取り崩して長持ちさせていくかという研究結果を元に解説します。
インデックス投資の出口には、下記のような2つの取り崩し戦略があります。
1つ目の4%ルール:定額取り崩し
引退時の資産×4%を定額で取り崩し続けるというのはこういうことです、
- 65才で引退するとき、3,000万円の資産があったとする
- 1年目の取り崩し額は、3,000万円×4%=120万円
- 2年目の取り崩し額も、3,000万円×4%=120万円
- 3年目以降もずっと同じ
つまり、引退時資産×4%に相当する金額を定額で取り崩しているということです。
4%×25年=100%なので、25年で資産が0になってしまうんじゃないか?
ところが、運用しながら取り崩せば資産がもっと長生きすることが分かっているんです!
しかしながら、注意点もあります。
2つ目の4%ルール:定率取り崩し
2つ目の4%ルールは、
- 引退時の資産額×4%を定額で取り崩すのではなく
- 毎年の資産残高×4%を定率で取り崩すというもの
です。こちらはトリニティ・スタディではなくインデックス 投資の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」(日経新聞出版社:バートン・マルキール著)で紹介されている方法です。
長期的に見ると、
- 株式リターンは平均7%
- 債権のリターンは平均4%
- 株式50%:債権50%のポートフォリオを組むと期待リターンは最大5.5%になります。
ここで、つい毎年5.5%分のお金を引き出したくなるところですが、インフレ率を考慮することが必要です。
インフレとは物の価値が上がり相対的にお金の価値が下がることを言いますが、インフレが進めば進むほどお金の価値は減っていくということになります。
つまり、インフレの分だけ実質的にお金が減少しています。
インフレ率を1.5%と想定すると、ポートフォリオの実質リターンは4%になります。(期待リターン5.5% – インフレ率1.5% = 4%)
これが毎年資産を4%ずつ取り崩してもOKと言われる、ざっくりとした計算の背景です
資産が4%ずつ増えるのであれば、資産を4%ずつ使っても減らないということだね
まさに「打ちでの小槌」みたいだ(笑)
つまり、この小槌を降った時にでてくる金額というのは、「持っているインデックス ファンドの総額に比例」します。
- 1000万円の小槌 → 40万円
- 3000万円の小槌 → 120万円
- 5000万円の小槌 → 200万円
次のような工夫をすると資産は半永久的に長持ちします
暴落相場というのは、過去を振り返ってみても平均で11ヶ月程度しか続きません。こういう時に資産を取り崩すというのは、「安売り」に他ならないので、取り崩し額を調整することをオススメします。
相場の景気が戻れば、資産額は一気に回復します。
インデックス 投資というのは、毎年一定率で増加していくのではなくあるとしは+15%、ある年はー10%などと資産の変動率があります。
短期視点で見て、心を消耗するのではなく、20年30年と長期で見ることで運用が安定することを覚えておいてください。
こういうちょっとした調整をするだけで、自分の資産は自分の寿命よりもはるかに長生きするでしょう。