イーサリアム(ETH)は主にNFTで広く使われており、その大局観を把握しておくことは投資家だけに限らず、NFTアーティストやコレクターにおいても重要です。
このページでは、仮想通貨界のクイーン的存在のイーサリアム(ETH)について解説していきます。
イーサリアム(ETH)とは?
イーサリアム(Ethereum)は、ビットコインに次いで2番目に大きい暗号資産であり、分散型のコンピューティングプラットフォームです。
イーサリアムはスマートコントラクトとブロックチェーンを軸としたプラットフォームであり、プログラムによって契約を自動化するスマートコントラクトが特徴です。
また、イーサリアム(ETH)は、分散型アプリケーション(dApps)やスマートコントラクトを作成できるオープンソースのブロックチェーンベースのプラットフォームでもあります。
そのため、イーサリアムは拡張性が高く、開発者がそのブロックチェーン上に分散型アプリケーションを構築・展開することを可能にします。
このプラットフォーム上で様々なプロジェクトが立ち上がり、DeFiやNFTなどの新種のテクノロジーが開発され、その結果、イーサリアム上に多数の仮想通貨やアプリケーションが生まれました(これらはレイヤー2やレイヤー3と呼ばれます)
イーサリアムとベルリン
イーサリアムは、スタートアップが熱いドイツのベルリンに深い関連があります。
2014年、イーサリアムの設立者としてVitalik Buterin(ビタリック・ブテリン)が有名ですが、共同設立者であるJoseph Lubin氏は、ベルリンを「ブロックチェーンの世界で最も重要な都市」とコメントしています。
さらに、イーサリアムは2021年4月14日に「ベルリン」に大規模なアップデートがされたことが発表されています。また、ベルリンにはブロックチェーン関連のイベントやコワーキングスペースが存在し、ブロックチェーンの研究・開発ハブとして機能しています。
イーサリアム(ETH)の使用例
イーサリアム(ETH)はその特性から、主にクリエイティブ文脈で利用されることが多いです。
イーサリアム(ETH)は、2020年ごろから主に個人アーティストやコミュニティ系プロジェクトのファンディングに使用されはじめ、2021年ごろから世界中で取引量が急増しました。
2022年、国内ではNFTプロジェクトとして数千点のNFTを生成する手法が確立され、ジェネラティブNFTと呼ばれ流行しました。
また、イーサリアム(ETH)には複数の種類があります。
主流は、ERC-20/ERC-1155/ERC-721/ERC-3525/ERC-4097が知られています。
詳しくは、こちらで解説しています。
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イーサリアム(ETH)のチャート分析
ETHの時価総額はBTCに次ぐ第2位になっています。
イーサリアム(ETH)のリアルタイムチャート(日足)です。
今後イーサリアム(ETH)が、大局的にでどこまで下がる可能性があるのか、長期的な現物の買い場がどこか分析していきます。
テクニカル分析(2023年10月時点)
結論から言いますと、2023年10月現在では、以下の点で上昇優位と考えられます。
- 長期ラインにサポートされている(図1)
- 長期的には上昇トレンド(図1)
- 2回目の暴落の方が、下落幅が小さい(図1)
- 短期的に上昇優位のレンジ相場を形成している(図2)
図1
長期のサポートライン上で推移中。
(逆に言うと、このポートラインを割ったら警戒が必要。2020年3月は騙しのあとに急上昇(黄色)したため、警戒しすぎも注意
図2
2022年6月に底打ちしてから、上昇の勢いに対して、下落するときはダラダラのレンジを推移中
結論から言いますと、今後数カ月にかけて下落する可能性が高いと言えますが、大幅な反発には警戒です。
その理由は次の点です。
- ETHの歴史上、一番売り込まれていること
- 中長期投資家の利確ラインを割っていること
下のチャートからも2年間機能してきたトレンドラインを割れ、直近1年間のトレンドラインも割っています。
2018年の下落相場の時も同様で、トレンドラインを割れこんでから数カ月間下落し続け、天井から最大で94%下落しました。その後一度反発し、再び2番底が来てから上昇を再開しました。
それに対し、直近の相場では天井から約80%程度の下落になっておりもう一段の下落が警戒されます。
また、世界経済のリセッション懸念によるリスク資産からの退避や利上げ継続などのマクロのファンダメンタルも念頭に置いておく必要があります。
しかしながら、短期的には仮想通貨全体として、トレンドラインを力強く上抜けるアクションを起こしており、直上の抵抗帯(黄色)を抜けるかどうかが注目されます。
長期的な買い場としては、次の理由から7〜800ドル付近が狙い目の水準が意識されやすいと考えられます。
- 年足では2021年の上昇に対して、2022年の下落がインサイドしているため下落が限定化されやすいため
- 4年間意識されたレジスタンスがあり、これは2021年の急騰前水準でもある
対して、ビットコインはアウトサイドしていますので、売り込まれやすいチャートになっています。
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イーサリアム(ETH)のロードマップ
イーサリアム(ETH)は、オープンソースの分散型ブロックチェーン・プラットフォームで、分散型アプリケーション(dApps)を構築・実行するためのインフラを提供するものです。
イーサリアムの開発は、開発者や研究者のコミュニティによって推進されており、このプラットフォームには、将来のアップグレードや改良の計画を概説する継続的に進化するロードマップがあります。
ここでは、イーサリアムのロードマップにおける主要なマイルストーンを紹介します。
イーサリアム2.0(PoW→PoS化)
イーサリアムは、ETH1.0からETH2.0へのアップグレードが予定されていて、実現したら、ガス代が安くなったり、世界中にある6500億円分のマイニング機器がいらなくなるため環境に優しくなると言われています。
ETH1.0ではPoWを採用しています。
これは計算パズルを早く解いた人に処理する権利、報酬を与えるようなイメージです。つまりマイナーとして報酬を得るためには、高速で処理する必要があり、一般の方が手にできないような高性能マシンが必要になってきました。
それに伴い工場、マシンやサーバなどの設備投資だけでなく、動かすための消費電力も大きく、地球環境に対してエネルギーの負荷が高い状態になりました。さらに多くの人が使ことで、処理が遅くなったり、ガス代(手数料)が高額になっているのが現状です。
スケーラビリティとセキュリティの問題に対処することを目的としており、現在のマイニングに依存するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からステーキング依存型のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)コンセンサス・アルゴリズムの実装が含まれています。
コンセンサス・アルゴリズムは取引を処理、記録、承認するためのルールで、報酬にも関わってくる重要な変更になります。
これは、根本の仕組みが大きく変わる歴史的イベントとして注目を集め、走りながらガソリン車のエンジンを、EVのモーターに載せ替えるくらいの所業だと言われています。
- 2022/7月40%
- the merge (55%)
マージが行われ、ハードフォークが起こりました。
ハードフォークとは、イーサリアムから分裂して新しいコインが生まれることを指し、分離(フォーク)したものは、ETC(イーサリアムクラシック)となりました。
設備投資をしてきたマイナーはPoSに変わってしまうと、収益が出せなくなります。そのためPoWの仕組みのまま、ブロックチェーンを使い続けることになります。
PoSとは別に、PoWのままのイーサリアム(ETHW)が存在することになると、ハードフォークが起きます。
実際にそれが起きると、ETHを持っている人に同じ枚数だけ新しいコインが配られることになります。しかし、対応しない取引所もあるので、最新情報を確認するようにしてください。
- the surge
- the verge
- the purge
- the splurge
シャーディング
シャーディングとは、ブロックチェーンネットワークのスケーラビリティを向上させるための技術です。イーサリアムでは、長期的なロードマップの一環としてシャーディングを実装し、ネットワークの容量を拡大し、より多くのdAppsを実行できるようにする計画です。
実現したら10万tx/秒の速度が可能となり、2023年のどこかで実装されるという噂があります。
イーサリアムのコントラクトセキュリティ
イーサリアムのエコシステムは、スマートコントラクトとネットワーク全体のセキュリティを向上させるために継続的に取り組んでいます。
相互運用性
イーサリアムは、他のブロックチェーンと相互運用し統合する方法を模索し、よりつながりのある分散型エコシステムを実現しています。
これらは、イーサリアムのロードマップに記載されている主要な目標の一部に過ぎません。これらのアップグレードの正確なタイミングや具体的な実装の詳細は、イーサリアムのコミュニティが進化・発展し続けるにつれて変化する可能性があります。
イーサリアムプロジェクトの計画や取り組みに関する最新情報については、公式チャンネルやアップデートを注視することが推奨されます。
マークルツリー(Merkle tree)とは、暗号技術やブロックチェーン技術において、データの真正性を検証するために用いられるデータ構造の一つです。
イーサリアム(ETH)では、ブロック内のトランザクションを要約してデジタル指紋(ルートハッシュ)を作成し、ブロック全体を保存しなくてもブロックの内容を確認できるようにするために、マークルツリーが使用されています。
マークルツリーは、トランザクションを取得し、それらをペアでグループ化し、各ペアのハッシュを生成することで機能する。このプロセスは、1つのハッシュ(Merkleルート)だけが残るまで繰り返される。Merkleルートは、ブロック内の各取引の真正性を証明することにより、ブロックの内容を検証するために使用することができる。
Ethereumでマークルツリーを使用すると、ノードがブロック全体を保存しなくてもブロックと取引の真正性を検証できるため、ネットワークのセキュリティと効率が向上します。さらに、スマートコントラクトなど、より複雑で高度な機能をEthereumネットワークに実装することが可能になります。
また、JPモルガンの2022年時点の見解によると次の予測が公表されました。
2021年 90億ドル → 2025年 400億ドル(4兆円)
新ETHからフォーク(分離)したイーサリアムクラシック(PoW)があったり、メタバースなどのDXにより需要が伸びたらどうなるかも重要な視点かもしれません。
ETHのダウンサイド・リスク
イーサリアムのダウンサイド・リスクの要点は次の通りです。
- 中央集権化
- 資金ロック解除
分散的なボーダフリー通貨(Digital money)を目指すイーサリアム(ETH)は、※PoWからPoS化し中央集権的になっていることがデータから分かります。
政府の監視下になったり、一部のクジラに資金が偏っているということはイーサリアムの存在意義に関わり、ダウンサイド・リスクにつながります。
※ PoW→マイニング依存 PoS→ステーキング依存
✔︎ 66%がOFAC(米政府機関) の監視下
✔︎ 一部のクジラウォレットへの偏り
ただし、中央集権化が懸念の一つではありますが、BTC以外は他のチェーンも同様です。
ETHとBTCの主な違いは機能性だけでなくこの分散性でもあり、BTCはコモディティとSECが明言していることからも分かります。
また、PoS化後は、ETHはステーキング資金流入により、BTCと比べ価格が下がりづらいことがチャートから確認できますが、資金ロックが解除された時の引き出し祭りによる価格下落には注意が必要です。
2023/4月 上海ハードフォークイベント
そのほかのイーサリアムやNFTの課題
イーサリアムやNFTの問題点として、透明性が高すぎるという問題点があります。これは、いつ誰が何を取引したのかが、誰にでも観れてしまうというもので、プライバシーの倫理観に反しています。
これを解決するのが、ゼロ知識証明という技術ですが、いまだに普及した技術はなく、さらに一部に偏っていてNFTへの言及がないというのが現状です。
イーサリアムの生みの親ヴィタリック・ブテリン氏により、これが本人直筆のシンプルなブログにて改めて言及されましたが、NFTの様々な問題点が解決される日はまだ遠そうです。
〜ブログより一部抜粋〜
イーサリアムのエコシステムに残る最大の課題の1つは、プライバシーです。デフォルトでは、パブリックブロックチェーンに載るものはすべて公開されます。
イーサリアムのアプリケーション群をすべて使用することは、人生のかなりの部分を誰もが見たり分析したりできるように公開することを意味します。
この状態を改善することは重要な問題であり、このことは広く認識されています。しかし、これまでのところ、プライバシーの改善に関する議論は、主に1つの特定のユースケースに集中しています。
この記事では、他の多くの文脈でEthereum上のプライバシーの状態を改善することができる別のカテゴリーのツール、ステルスアドレスの仕組みと使用例について説明します。
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結論:長期的なステルスアドレスのエコシステムは、ゼロ知識証明に大きく依存することになりそうです。
ステルスウォレットの提案
これは私もずっと疑問に思っていたことで、いくらNFTプロジェクトの運営とは言え、常に監視されることは気持ち悪いですし、プライバシーがないので特に欧州では受け入れられないでしょう。
この問題を解決した新たなイーサリアムが誕生することで、キャズムを超え、一般的に広く普及していく日が来ることが個人的に楽しみです。