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【投資のキホン】成長(グロース)株のシンプル分析方法 (最低限の確認項目について解説します)

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グロース株のシンプル分析

グロース株分析するには、「この銘柄はテンバガー株になりうるか!?」といった視点で

以下のグロース株5つのポイントに沿って確認していきます。

成長株を見分ける5つのポイント
  1. 増収増益か?
  2. 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
  3. 時価総額が比較的小さいか?
  4. 今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?
  5. 将来の「成長ストーリー」は良好か?

1〜3)を確認するには、シンプルに決算を継続的にチェックする

そもそも株価が上がったり下がったりするのは、何が理由か分かりますか?

マーケットの売りたい人と買いたい人の差じゃないかな?

それも一つの理由ですが、本質的にはシンプルに「EPS」が株価の上下を左右しています。EPSは、会社の成績であり「業績=決算」によって確認できます。

決算」とは企業が、通常年に4回発表する業績発表(E↓)のことです。
下のチャートは、決算を一度も取りこぼしていないピカピカ銘柄の一つ、TTDになります。

Source: Trading view

グロース株に投資する上で目指したいのは、ダブルバガー、トリプルバガーそしてテンバガーだと思いますが、テンバガーに投資する(出会う)唯一の方法は「良い決算」を最低でも3年間(12回の決算)を確認していくことになります。

「良い決算」を確認する3つのポイント
  1. EPSがコンセンサス予想を上回っているか?
  2. 売上高がコンセンサス予想を上回っているか
  3. ガイダンスがコンセンサス予想を上回っているか

「良い決算」とは、この1, 2, 3 全てがパーフェクトな決算「だけ」を指します。

ひとつでも取りこぼしがあればそれは「悪い決算」で、テンバガーに到達するのは難しくなります。

株価を左右する要因は、短期的にはコロナ渦中のパンデミックや大統領選挙など、外的要因による感情的要素(論理的でない)株価の変動もありますが、「長期的には株価を左右するのは企業業績のみ」になります。

決算を確認するには、まずは「EPS」「PER」「PSR」を知っておいてください。
企業業績をみるときに必ず出てくる指標です。

EPSとは

EPS(一株当たりの純利益)とは、会社が上げる利益のことで株価の源泉となる指標です。

参考に、EPSは下記のように計算されますが、年に4回発表される決算で必ず発表されるものですので、計算することはありません。

理論的には次のようになります。

EPS100円の会社 = 株価(企業価値)100円

つまり、次のようなことが言えます。

EPSが上がれば株価も上がり、EPSが下がれば株価も下がる

実際のネット情報では次のように取得することができます。(株探:日本株の例)

引用:株探

しかし上図のように、実際の株価はEPSの通りになっていません。これはなぜかというと「将来の成長性」が期待値として上乗せされているからです。

この期待値が、PER(株価収益率)もしくはPSR(株価売上高倍率)として確認できます。

PERとPSR(株価の割高/割安さを示す指標)

略称英称観点計算式指標目安
PERPrice Earnings Ratio純利益(フロー)株価 ÷ EPS利益と比べて割安かが分かる10倍〜30倍以下(15程度)
(業界、業績より目安は異なる)
PSRPrice to Sales Ratio売上(フロー)時価総額 ÷ 年間売上高売上と比べて割安かが分かる(ベンチャー企業向け)PSRは20倍以上だと割高、0.5倍以下なら割安
(業界、業績より目安は異なる)

PERとは

PERは、株価と企業の収益力とを比較することで、株価が現在どのくらいの水準にあるのかを測る指標です。

利益(フロー)の面から見て、現在の株価が割高なのか、それとも割安なのかを判断する材料になります。

EPSだけでもみることもあり、毎回プラス成長していれば株価が右肩上がりになりやすい場合が多いです。

PERは数値が低いものほど割安ですが、高成長なら数値が高くても割安になることもあります。一般的には、PER15〜17倍程度が妥当だといわれていますが、同業他社と比較することでも割高・割安を判断することができます。

PERの目安の求め方

PERは、純利益/時価総額のことで、時価総額100億、純利益10億ならPER=10倍です。

時価総額は、下記の要素で決まってきます。

時価総額業績
高い売上 100億、営業利益 30億
低い売上 100億、営業利益 10億

時価総額とは、理論的にはおおむね営業利益に比例します。

時価総額業績
高い売上 100億、営業利益 10億、売上成長率30%
低い売上 100億、営業利益 10億、売上成長率10%

このケースだと、前者はPER30倍、後者がPER10倍くらいが適正値になります。

<PER の使い方まとめ>

(1)PERは低いと割安、高いと割高

(2)PER15倍が一つの基準になる

(3)PERの計算には予想EPSを使う

(4)PERが低くても将来性のない会社は割安ではない

(5)PERが高くても将来性のある会社は割安かもしれない

(6)PER100倍など極端に高い場合は手を出さない

(6)PERだけでなく、業績や将来性、チャートと併せて判断する

【結論】:株式投資で利益を上げるためにはEPSに対して割安に評価されているものを買う必要がある

PSRとは

PSRとは、企業価値を売上高で評価し、株価が現在どのくらいの水準にあるのかを測る指標です。

本質的にはEPSがもっとも重要になりますが、ここ数年テック系のグロース株は赤字(先行投資)で売上だけ成長するというのが主流になってきています。

この場合、売上の方が重要視されることが多いです。

  • 売上を投資に積極的に回していくベンチャー(成長初期)企業だと、営業利益はマイナスになりやすい
  • これは、マイナスだから悪いということではなく、企業自身が将来の成長性に投資しているということを表している

その場合、PERが機能しない(異常値になる)ため、PSRを割高・割安の目安として使うことができます。

PSRは、「どの時点の売上高を換算するか?」によって変わってきます。

主に使われる3種類のPSRは次の通りです。

3種類のPSRについて
  1. PSR(TTM)= 過去12ヶ月売上ベース
    • 一般的にはこれが使われている。Yahoo Financeなど
  2. PSR(FWD)=アナリストの来年予測ベース
    • 未来のPSRを指し示す
  3. PSR(×4)=直近の売上 × 4 「=ARR(Annual Recurring Revenue))」
    • おそらく日本のローカルルール
    • 主にSaaS銘柄に使用
    • 決算後すぐに計算でき、早く動ける

ARRはMRR(四半期売上×4 or 月間計上収益を×12)から算出することができます。

※重要ルール

  • 同じデータソースを使う(Yahoo Finance、Finviz、その他でちょっと違う)
  • PSR種類を必ず揃える (TTMが標準)
  • 同じ性質の会社と比べる (EコマースとSaaSは違う)
  • 利益(EPSが+)が出ていないグロース企業のみに適用できる (目安は100B以下、米グロースは利益の多くを先行投資する傾向のため)
    • 利益(EPSがー)の場合はPERを使う。日本企業の場合が多い。
PSRの注意点

PSRで判断するコツは、対象の会社だけで判断せず、”業界の将来性を見る“、”同業他社のPSRと比較する”、”PSRの成長率を見る

PSRだけで判断することが難しい理由は、計算式の分子になる時価総額は売上高だけでなく利益や利益率、成長可能性などが影響しますが、分母となる売上高は「利益率が加味されていない」単純な売上高で決まるためです。

そのため、利益率が低い業界では分母の売上高が大きくても、利益率が低いため時価総額が高くつきづらく、割安に見えやすくなります。反対に利益率が高い業界では売上に対して時価総額が高くつくケースもあり、割高に見えやすくなります。

例:ZOOM(ZM)のPSRは約45倍(2020年3月時点)でしたが、ZOOMの株価はその後4ヶ月で2.5倍にまで成長しました。

売上高成長率について

売上は企業の利益の源泉とも言えるため、企業の成長性を語る上で欠かすことができません。

前年同期と比べて増加していることはもちろん、可能であれば2~3年ほど高い増加率を継続している企業が理想です。

5)将来の「成長ストーリー」は良好か?

この企業の成長性の核心に迫るために、シンプルに次の2つのメソッドを行います。

  1. 変化に着目せよ
  2. 想像力を働かせよ

1)変化に着目せよ

業績の変化に着目

例)安定して10%伸びてきた会社が、ある年20%の伸びを見せた → 一時的?継続的?

2)想像力を働かせよ

ある事柄から想起される可能性について幅広く検討

例)iphoneが発売されて売れ出したのを見てこの勢いはどこまで行くのか考える → 一時的?継続的?

実際にサービスを使ってみたり、発売されている物を買ってみたりして確かめるのも良いでしょう。

↑想像力を養う方法

現実に起きた「事象のパターン」をどれだけ知っているかが鍵

例)J:COM誤発注事件のとき、買い向かえた人は前年の電通の誤発注事件を知っていた人(個人投資家CiS氏、BNF氏)

  • 東日本大震災 → 災害グッズ
  • 大ヒットした商品
  • 突如ブームになった芸人など

何か現実にこのような事象が起きたとき、ただ起こったこととして見るのではなく、なぜ起こったのかまで考えることで想像力が磨かれます

未来を考え通す力は人間が持った特性の一つであって、
コンピューターや数字だけではできない。

無職から資産150億円以上に増やした偉人投資家:片山晃氏

そのほかのグロース株かどうか「成長性」を確認する指標

競争力が高い企業ほど、収益性と成長性のバランスが取れていて、今後の高成長が見込めるグロース株と言えます。
これを判断するには、会社の決算書(「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」)から読み取れる下記の情報をスクリーニングします。

収益性を確認するためにROE、ROAを、成長性を確認するためには売上成長、自己資本比率、利益率、キャッシュフローをチェックします。

確認方法は、米株であれば「マネックス証券の銘柄スカウター、楽天証券の企業情報ページ、SBI証券の外国株取引サイト」、日本株であれば「株探」が見やすいためオススメです。

略称英称観点指標目安
ROEReturn On Equity純利益(フロー)株主資本と利益の関係世界基準は10%以上
(高い程よい)
ROAreturn on assets総利益(フロー)総合的な収益性一般的に5%以上で優良
(業種により目安が異なる)
自己資本比率総資産(ストック)無利子負債も含めた企業健全性70%以上なら理想企業、30〜40%以上なら倒産しにくい(業種により目安が異なる)
D/Eレシオ(DER) Debt Equity Ratio純資産(ストック)有利子負債に対する企業健全性低ければ低いほど財務健全性が高く、高いほど借金過多
売上成長純利益(フロー)企業の成長性増収率20%以上。売上高が4年で2倍で優良
営業利益率純利益(フロー)儲かる企業かどうか10%以上あれば優良。40%の超優良企業もある。
キャッシュフロー(CF) 現金収支P/L,B/Sでは分からない企業健全性各CFのバランスから黒字倒産のリスクを検知する

ROAとROE(経営の巧さを表す指標)

略称英称計算式指標目安
ROAPrice Earnings Ratio当期純利益÷総資産 借金とか含めた総資産を用いて企業があげた利益が分かる指標日本企業平均約3%、アップル約17%
ROEPrice to Sales Ratio当期純利益÷自己資本自分の資本だけでどれだけ利益を上げたかが分かる指標日本企業平均約8%、アップル約70%

 
(参考:日本企業平均約8%、アップル約70%←バケモノレベル)

流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る指標

ROEとは

ROEとは、優良銘柄を見つけ出す際に有効な指標です。ROEが高いほど、その企業は株主の資金から利益を稼ぐ能力が高いと判断され、特に外国人投資家はROEを重要な指標としています。

注意点

借金(負債)は「株主資本」には入らないため、多くの借金をして利益を上げた結果、高いROEになるケースもあります。

ROAとは

ROAの目標値は、業種や企業の形態によって異なるため、目標値を決める際には、日本企業における一般的な目標値である5%を目安にしつつ、同業他社のROAを参考にしながら数値を設定するのがよいでしょう。

アメリカの企業におけるROAの平均値は6%程度ですが、日本企業の平均値は3%程度です。そのため、日本企業ではROAの目標値を5%程度で設定しているところが多いです。

上記数値が年々上昇傾向にあればROAの上昇につながり、株価の上昇につながります。

自己資本比率の目安

経産省:令和元年中小企業実態基本調査速報(要旨)(平成30年度決算実績)によれば、2019年の中小企業の全体の自己資本比率の平均値は40.92%となっています。

自己資本比率の目安としては、一般的に下記のようになっています。

超優良70%以上
優良40〜70%
普通20〜40%
危険10%以下

D/Eレシオ

自己資本比率は総資産を用いて計算しますが、D/Eレシオでは有利子負債のみを加味して計算します。

目安は一般的には0.5〜1倍が健全と言われていますが、業種やビジネスモデルによって異なることから、それらを並列に比べることはできません。「一般的な目安」と主張するメディアやコンサルタントなどに、振り回されないように注意しましょう。

DEレシオの短所は多額の現預金を保有している企業であっても、有利子負債が多ければDEレシオは高くなってしまうという盲点があります。

そのため、現預金を含めた実質的な負債をもとに計算される「ネットD/Eレシオ」という指標もあります。

営業利益率

売上の増加と共に、営業利益も2~3年ほど高い増加率を継続していれば、増収増益のグロース株として投資候補に加えることが出来ます。

Rule of 40%(40%ルール)とは

赤字のベンチャー企業の株価を判断する有名な一つの指標として「Rule of 40%(40%ルール)」があります。論理的な理由は説明されていませんが、求め方は次の式になります。

Rule of 40%(40%ルール)

X = %(売上高の成長率YtoY前年同期比) + %(営業利益率Operating profit margin

この指標は、「Xの値」40%以上だと良い40%以下だと悪いとするものです。

 キャッシュフローCF

キャッシュフローはファンダメンタルズを重視する機関投資家などが現金創出力や投資効率など企業分析を行う際に使っています。

キャッシュフローには下記の3種類があり、それぞれ示すものが異なります。

3つのCF

 

  • 営業CF → 本業の営業活動で稼いだ現金の増減
  • 投資CF → 将来の利益につながる活動に使った現金の増減
  • 財務CF → 増資や配当、金融機関に対する借入・返済などによる現金の増減

  • 現金等残高 → 現金・預金と現金同等物を合計した期末の残高
  • 現金比率 → 総資産に対する現金等残高の割合

また、営業利益、営業CFと投資CFを合算した自由に使えるお金を、フリーキャッシュフロー(FCF)と言い下記のことが読み取れます。

  • プラスの場合は、事業活動で生み出した資金を示し、その資金は経営者の経営判断により事業展開や株主還元、借入金返済など自由に使途を決めることができる。
  • マイナスの場合は、事業活動で資金が不足したことを示す。

2) そのほかグロース株特徴

□オーナー経営者で筆頭株主

□増資や株式分割を行っている →成長性の現れ

□株価を上昇させる材料がある →時代に合ったテーマ性、新製品や経営の変化による「増益期待」

□上場5年以内の新興株

□小型株の方が大型株よりも大きな上昇が期待できます。

  • 大型株 時価総額5000億円超
  • 中型株 1000~5000億
  • 小型株 1000億円未満

※企業規模が小さいほうが伸びしろがある。時価総額100億円以下、特に30億円前後の会社に注目しましょう。

□高PERは気にしすぎないこと

※グロース株を探す場合将来の成長性を予測するため、PERの高さは気にしなくてよいです。「毎年増収増益を続けている」「今後も増収増益の見込みがある」というデータのほうが重要です。

※しかし、高PERの銘柄は将来への期待で株価が上がっているため、成長が鈍化したり業績が悪化すると株価の下落も大きくなります。

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