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ドラフト・キングス社について
企業概要
ティッカー | 【DKNG】 |
会社名 | DraftKings Inc. |
カテゴリー | カジノ & ゲーム |
設立 | 2012年 |
CEO | ジェイソン・ロビンズ 氏(2012年–) |
上場 | 2020年4 月(Nasdaq) |
時価総額 | 16.51億ドル |
企業価値(EV) | 15.6億ドル |
本部 | マサチューセッツ州 ボストン |
従業員数 | 2200人 |
ゲーム技術を有するSBテックと合併後に、上場を目的としたダイアモンドイーグルという会社に身売りし、企業価値を上げることで上場を果たしました。上場後はDraftkings Inc.として経営しています。(IPOするために、資金力のある投資会社の力を借りて上場した格好です)。その時の企業価値は33億ドル、IPO後も株価は上昇し、一時は110億ドルまで時価総額は上昇しています。
現在は、全米で10州にモバイル・スポーツベッティングを展開し世界12カ国にオフィスを構え、26カ国で運営しています。
サービス・商品
ドラフト・キングスは米国のデジタルスポーツエンターテインメント・ゲーム運営企業です。
主にスポーツ関連のギャンブルやゲームをオンラインおよび店舗で提供しています。また、オンライン向けスポーツギャンブルやカジノのプラットフォーム用ソフトウェア、カジノゲーム製品を開発・販売し、同社ウェブサイトやアプリで提供しています。
具体的にドラフトキングの提供するサービスには、企業ユーザー間(B2C)と企業間(B2B)があります。
- デイリーファンタジースポーツ
- スポーツ賭博
- iGaming
など
デイリーファンタジースポーツとは
NFLなどのプロスポーツの知恵を利用し「自分の理想のチーム」を作成。他のユーザーのチームと戦わせリアルマネーを賭けながら勝敗を競う遊び
デイリーファンタジースポーツはピアツーピアのプラットフォームで、ユーザーは賞品をめぐって互いに競い合います。オンライン上で、自身で選んだプレイヤーで作った理想のチームを作り、それを他の人が作ったチームとポイントを競う仕組みです。自身が選んだスポーツ選手の実際の成績を元に点数が増減されます。NFLが一番のメジャーですが、野球、サッカー、ゴルフ、その他多くのスポーツにおいてプレイすることができます。
シーズンを通して、自身の作ったチームを競わせて楽しむモードから、一試合だけに絞って点数を競い合うこともでき、さらには「次のプレイがどうなるのか?」ということにリアルタイムですぐ賭けることもできるようです。直近のパフォーマンス、ケガ、出場停止、天気、その他様々な要素を加味して分析し、ベストなシナリオを作ってプレイし勝率を上昇させることで、自身へのリターンを増やすことができます。
多くのユーザーが、今まで見ていなかったスポーツを新たに見るようになった、より深くスポーツを分析するようになったというデータもあります。新たなスポーツの楽しみ方、既存ビジネスとのシナジーなど、多くのことが期待されます。
スポーツ賭博
ファンタジースポーツとは違い、試合毎やゲームの局面毎に結果を賭けることができる遊び
スポーツ賭博(スポーツブック、スポーツベッティング)には、ユーザーが会社が決定した一定のオッズ(命題)でイベントにお金を賭けて賭けることを含むスポーツ賭博が含まれています。
- サッカーワールドカップ
- 自動車レース
- ゴルフのトーナメント
- など
あらゆるものがリアルマネーを使った賭けの対象になります。
2020年現在、コロナによるパンデミックの影響で米国プロスポーツの再開のメドは立っていません。これはスポーツベッティングに悪影響を与えています。
iGaming
iGamingは「ブラックジャック」「ルーレット」「スロットマシン」などのゲームをアプリ上で楽しめるサービス
賭け事なので、各州によって規制の対象になりますので、州政府のとの交渉は継続して行われています。またコロナの影響でメジャースポーツが休止されていた影響もビジネスに打撃を与えています。6月以降段階的にメジャースポーツが再開され、NFL(アメフト)も9月から始まり、より本格的なビジネス向上に期待があります。
ニュースで、「DFSは賭け金に対して、課税対象となるべきだという」IRSのメモに注目が集まっています。
ドラフト・キングスは、ファンタジースポーツは賭け事ではないということを主張していますが、全国の州議会や裁判所の如何によっては課税の対象となり、年間2000万ドルから3000万ドル程度の大幅な減益が予想されます。
マーケット・ユーザー(顧客)
2019年時点で4560億ドルの市場となっています。
- カジノ:35%
- スポーツベッティング:16%
- スロットマシン:20%
- 宝くじ:26%
ラスベガスやマカオなどのリアルカジノ施設では年率2%で成長しているのに対して、オンラインカジノは年率10%成長になっています。
スポーツ賭博市場(スポーツ×ベッティング)は規制が徐々に緩和されてきており、今後数年に渡り超成長分野になると言われていて、市場は700億ドル規模へ成長することが見込まれています。
業界アナリストによると、オンラインカジノは420億から580億ドル規模の市場になる見込みで、DKNGなどがその恩恵を受けるだろうとされています。
早ければ2021年にもNYを筆頭にCA FL TXなど4大州で合法化されるのではと見ているそうです。
2020年現在スポーツベッティングを許可している州は23州
”オンライン”でのスポーツベッティングを許可している州は15州(全米の27%)
全米の各州は新しい税収の財源を探しており、オンラインカジノやスポーツベッティングは積極的に検討したいプロジェクトに当たります。
しかし、州によっては賭博事業に経験値の開きがあり、導入に時間がかかっているようです。
スポーツベッティングとカジノでは、それぞれ規制に違いがあります。
法規制 | |
---|---|
スポーツベッティング | 緩い |
カジノ | 厳しい |
カジノの規制が厳しい理由は、アメリカン・インディアン居住区ンポ既存権益の保有者に対する保護があったり、ギャンブル依存症防止などの長い歴史的経緯があるためいろいろとうるさいというのが現状のようです。
それに対して、スポーツベッティングというのはもともとスポーツファンの間で自然に発生したものですので、法規制としては緩めになっています。
コロラド州でスポーツベッティングを開始した初めての会社となった。ペンシルバニア州、ウェストバージニア州でiGamingを、イリノイ州などでスポーツベッティングを開始した。
今後も、スポーツベッティングの合法化に向けて、複数の州当局と調整を継続している。
CFOのQ2決算説明より
ビジネスモデル
スマホ・ゲームと同様に課金(サブスクリプション)から収益を得ています。
2020年3月末時点では次の通りです。
- 430万人の課金ユーザー
- 月次ユニークプレーヤ数72万人
- ユーザー一人当たりの売上高:41ドル
メジャースポーツ日程のズレが起因して、MUP(Monthly Unique payers)月間アクティブ課金者は、35%減少し、29万5千人となったが、一人当たりの課金単価は、$42から$63へ向上。ミックスが変化し、単価の高いiGamingへの移行が進んだとのことです。
運営側はユーザーに賭け事にハマってもらった方が儲けが伸びますので、そのための仕組みというのも設けています。
- 「次のプレイがどうなる??」ということにリアルタイムですぐ賭けることができる
このような短期的な賭けは「インゲームベッティング」と呼ばれ、次の1手がどうなるかというのは読みにくく面白みを感じたり、社交性が高くなるという効果があるそうです。
- 「ジャックポット」でユーザーが勝つように勝率を調整している
いつも胴元だけが買っていたら面白くなくなってしまうので、「ジャックポット=大当たり」としてときどきユーザーが勝てるようにしています。
このジャックポットは、偶然性を保つ必要性があり、これがいつ出るかというのはドラフトキングス経営陣にも分からないアルゴリズムがあります。
そのため、4半期決算前にジャックポットが出ると業績が悪くなるため「経営面にも不確実性がある」と言えます。
DKNGはNFLと良い関係を築きましたが、今後の業績を予想上で「人脈、コネ」の持つ意味は大きいと考えられます。
2020年の9月には、DKNGはマイケル・ジョーダンを特別顧問に向かい入れました。
こういったレジェンドを特別顧問に引っ張ってこれるのは、本当に凄いことだと思います。
スポーツの力を信じていて、この業界に恐ろしいコネを持ってる仕掛け人の存在によって未来にとんでもない可能性を秘めてるかも知れないと感じさせてくれます。
ライバル・競合他社
ドラフトキングスはもともとスポーツベッティングから始まった会社ですが、その分野でライバル的な会社のファンデュエルなどがありますが、それらを抑えてナンバーワンの存在です。
ティッカー | 会社名 | 企業スコア総合 | 財務健全性 | 収益性 | 割安性 | 安定性 | 株価モメンタム |
---|---|---|---|---|---|---|---|
DKNG | ドラフト・キングス | ★★ | — | 1 | 3 | 4 | 9 |
BYD | ボイド・ゲーミング | ★★ | 6 | 4 | 1 | 7 | 10 |
CHDN | チャーチル・ダウンズ | ★★ | 4 | 4 | 1 | 6 | 9 |
CZR | シーザーズ・エンターテインメント | ★★★ | 5 | 8 | 4 | 5 | 8 |
LVS | ラスベガス・サンズ | ★ | 2 | 1 | 1 | 7 | 4 |
MGM | MGMリゾート・インタナショナル | ★★★ | 6 | 3 | 8 | 5 | 6 |
MLCO | メルコ・リゾーツ・エンターテイメント | ★ | 1 | 1 | 6 | 4 | 4 |
PENN | ペン・ナショナル・ゲーミング | ★★★ | 3 | 6 | 5 | 4 | 10 |
SGMS | サイエンティフィック・ゲームズ | ★★ | 1 | 7 | — | 3 | 10 |
WYNN | ウィン・リゾーツ | ★ | 3 | 1 | 4 | 5 | 3 |
グロース(成長)株か?バリュー(割安)銘柄か?
この株は未来の「GAFAM」のようなテンバガー株になりうるか!?
以下のグロース株5つのポイントに沿って確認してみましょう。
1) 決算が予想を上回っているか?
EPSは、過去2回の決算を全てミスしていますが、売上成長はしています。
EPS(一株あたり利益)
直近の2020年Q2決算では、EPSが予想EPSを「0.06ドル」上回っています。
2020年 2Q決算 | 実績 | 予想 |
---|---|---|
EPS(一株利益) | -0.55 ドル | -0.17ドル |
2020年Q3決算は、11/9を予定しています。
Q3ガイダンス | コンセンサス予想 |
---|---|
EPS(一株利益) | −0.59 ドル |
売上高成長率
直近の2020年Q2決算では、売上高が予想売上高を「$17.70M」上回っています。
2020年 2Q決算 | 実績 | 予想 |
---|---|---|
売上高 | 70.93M ドル | 69.74M ドル |
売上成長率YtoY | – | – |
Q3ガイダンス | コンセンサス予想 |
---|---|
売上高 | 131.42Mドル |
売上成長率YtoY | – |
利益率(Margin)
利益率は不明です。
DKNG | |
---|---|
Gross Margin(粗利率) | – |
Operating Margin(営業利益率) | – |
Profit Margin(純利益率) | – |
バランスシートでは、1.2億ドルのキャッシュを確保し、借金もほとんどなく成長のための投資に潤沢な資金力を有しています。
2) 株価チャートが持続的な上昇トレンドか?
2020年10月、3200万株の公募増資で大きな調整が入りました。株価が下がったこの局面は押し目買いの好機とし、オッペンハイマーによると増資で体質強化が図れるとのことで投資判断は「アウトパフォーム」、PT:55→65ドルと見ているとのこと。
3)時価総額が比較的小さいか?
現在の時価総額は18.67Bドル(2020/10)
4) 今の株価(バリュエーション)は、割高か割安か?
現在の株価 : 50ドル
5) 将来の「成長ストーリー」は良好か?
オンラインカジノ、スポーツベッティングなどの市場は、年率10%ほどの成長を見せています。将来的にも非常に大きなポテンシャルを有していると思います。
メジャースポーツに連動して売上が変動するため、昨今のスポーツの再開に恩恵を受けていますが、成長をドライブするために、以下のような難局を打開していく必要があります。
①州政府の規制対応→合法化に向けた調整。
②税金の徴収問題→スポーツファンタジーに対して課税されるか問題、数十億にのぼるリスク。数日前のニュースにより、株価減。
③メジャースポーツの再開の未通し(コロナ影響)
④競合との差別化
今回は、純利益が予想を下回りましたが、その費用は一時的なものも多く、本来のビジネスからどのような収益モデルかを評価するには時期尚早かと感じます。
法的なリスクを排除するための訴訟、弁護士費用なども多く経費としてのし掛かってくるなかで、これらの課題を解決していく必要があります。市場のポテンシャルとビジネスモデルについては、米国株ならではの成長に対する「ワクワク感がある銘柄だな」と思います。
お疲れ様でした!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
皆様も健康な投資ライフをお過ごしください。
今後も良い記事を書いていきたいので、引き続き応戦よろしくお願いします!