【レイヤーマスター】Teslaよりも驚異の存在!自動車業界を激変させる存在について解説します

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2020年7月1日は自動車産業にとって記念すべき日となり、 少し前まで「新興メーカー」の扱いだったTesla時価総額が2076億ドル(約22兆円)となってトヨタ(21兆7185億円)を抜き、業界トップに躍り出ました。

そんなTESLAを飲み込み自動車業界の構造を激変させる存在があることをご存知でしょうか。そんな恐ろしい存在を順を追って解説します。

  1. コモディティ化
  2. デコンストラクター(構造破壊)
  3. レイヤーマスター
  4. 自動車業界のレイヤーマスター

コモディティ化

これまで説明してきたTeslaの魅力ですが、イーロンマスクのカリスマ性とビックデータを用いた新規サービスを除いて将来的にTeslaの技術はコモディティ化すると考えられます。

コモディティ化とは

コモディティ化とは、競合他社がTeslaに技術的に追いついてきて、差別化が計れなくなった時に起こる価格競争の状態のことです。この技術が陳腐化した状態は、これまでの先端技術と同様に必ず起こります。

例:

  • 技術の円熟由来 → 液晶テレビ、DVDレコーダー、iphoneなど
  • 企画や仕様由来 → プロジェクター、体重計、体温計など
  • モジュール化由来 → デスクトップPC、EVの動力など
  • 安全適合由来 → 冷蔵庫、電子レンジ、トースターなど

つまり、一部の半導体や卓越した技術を持つ商品以外はどれも陳腐化するということで、日本の家電メーカーやサムスンなどと同様、Teslaの持つ電動化や自動運転技術についてはいつかはコモディティ化の宿命を背負っています。

デコンストラクター(構造破壊)

TeslaがEV販売ディーラーまでを持つ、垂直統合されたビジネスモデルということは先に説明した通りですが、この一気通貫のVC(バリューチェーン)型は、ある日突然予想もしない方向から破壊される可能性があります。

VCとは

東芝、日立、松下電器は以前、開発→生産→販売(系列店)でのVCを形成して、独自の販路を形成しブランド力を高めていました。

しかし、ある日ヨドバシカメラや、ヤマダ電機のような量販店が出現し、ブランド力だけで売れる時代は唐突に終わりを告げました。

このような、構造を変革させる存在のことをデコンストラクターと言います。

デコンストラクターの4つのパターン

デコンストラクターは4つのパターンに分けられます。

パターン特徴メーカー例
レイヤーマスターニッチ・トップ/専門特化Microsoft、CATL、レーザーテック、キーエンス
パーソナルエージェント購買代理人Amazon、モノタロウ、BASE、アップル
オーケストレーターVCコントロール型アクスル、ミスミ、DELL
マーケットメーカー市場創出リクルート(ゼクシィ)、フルキャスト、アップル、Facebook(Instagram)

Teslaにとって驚異の存在「レイヤーマスター」について

世界で一番規模の大きなレイヤーマスターは、台湾No1企業でiPhoneなどの電子機器を組み立てるFOXCONN(鴻海精密工業)です。2019年の連結売上高は、前年比0.8%増の5兆3395億2617万台湾元(約19兆2300億円)だったということで、Tesla並の超巨大な企業です。

2016年には、シャープを買収した企業としても有名です。これによって日本が失ったEMS(受託生産)市場の金額は50兆円以上/年とも言われています。さらには、ものづくり産業というのは2次請、3次請と波及していきますので、そのダメージは計り知れません。

また、台湾には世界最強のファウンダリと言われるTSMC(台湾セミコンダクター)もあります。

このFOXCONNとやTSMCは、組立・製造に特化したレイヤーマスターで業界構造を激変させました。

自動車業界のレイヤーマスター

実はすでに自動車業界(組立)でレイヤーマスターに挑戦する企業があります。つまり、自動車の組立を受託生産する企業があります。その企業がドイツを拠点とする、マグナ(Magna)とその子会社に当たるマグナステイヤー(Magna Steyr)です。

  • 売上高:約4兆2300億円(FY19)
  • 営業利益:約3000億円(FY19)

自動車部品の売上規模は、ボッシュ、デンソー、コンチネンタル、ZFに次ぐ世界第5位

  • マグナの完全子会社(本社:オーストリア)

メルセデスベンツの4MATICを開発。Eクラス、BMW X3などの生産を行う。

この自動車のEMS(受託生産)を行っているマグナステイヤー(Magna Steyr)の他にも中国のメーカーも脅威になります。

  • 北京汽車集団(国営)
  • 2018年の車種別EV販売では1位

ダイムラーの株式を5%保有
関係性は非常に強く新工場も共同運営し、ダイムラー現代自動車それぞれ合弁会社SAAB(スウェーデン)から設備・技術を買収。電池メーカーBYDとEVでシェアを争う。

  • 北京汽車集団の完全子会社BJEV

マグナステイヤー(Magna Steyr)と北京汽車集団の完全子会社BJEVは提携して合弁会社(生産能力:18万台/年)を中国に作っています。

この会社の生産技術は、「Toyotaスープラ」や「BMW Z4」を生産しています。

トヨタがグループ企業以外に製造委託を行うことは異例で、このことからも実力がわかると思います。

また、ジャガー・ランドローバーの受託ラインではエンジン車とEVを混合でラインに流すことを実現しており、これはTPS(トヨタ生産方式)でいうところの平準化の証左になっています。

また、開発〜製造のワンストップで受注しており、これらの技術は今後進化していくと、業界構造を激変させる可能性を持っています。

ファブレス(工場を持たない)ことの強み

日産が苦しんでいる事実からも、固定費を削減できるメリットは絶大です。

同じように、EMS(受託生産)を行なっているTSMCのファブレスの特徴が以下になります。

強みと弱みは表裏一体

メリット

  • 初期投資の削減
  • 生産に関わる経営コストの削減
  • 市場変化に強くなる(コロナやリーマン等)
  • 経営資源を絞れる(工場の強さはなくなる)

デメリット

  • 品質のばらつき
  • 情報の管理

デメリットは、製造管理(情報漏洩対策の徹底など)で潰すことができます。

中国のTeslaに対する構想がみえ隠れ

中国では、これまで海外自動車メーカーは、中国のメーカーと提携することで中国市場での販売を許されてきました。しかし、Teslaはそれをスキップすることを許諾され、Tesla資本の工場で生産したEVを中国で販売した結果、中国での販売台数1位になりました。

なぜ中国政府がTeslaの生産を許諾したのかというと、Tier1、Tier2の実力を上げようという理由からでしたが、これは、中国政府にとって面白くないことは明白です。

中国はしたたかに「絶対に負けない」戦略を長期的に具現化してくることでも知られています。

まとめ「自動車のEMS(受託生産)市場の拡大が及ぼす変革」

これまでの説明をまとめると、マグナステイヤーと北京汽車がレイヤーマスター化する土壌が出現しており、事実マグナステイヤーの開発部門は非常に忙しいようです。

自動車業界への他社レイヤ〜の参入障壁が圧倒的に下がる

例えば、次のような自動車製造ができなかったTeir1やクラウド系企業も自動車業界に参戦できるということになります。

ソフトウェアの力を最大限生かして攻勢をかける土壌ができつつあるのは事実です。

自動車業界で「NVIDIAとTSMC」の関係のような構図が出現する日も近いでしょう。

しかし、いい事ばかりではありません。iPhoneなどの小型電子機器と違い自動車生産の固定費は莫大で、規模が大きくなれば、EMS(受託生産)にもリスクはあります。

自動車製造の固定費
  1. 土地代
  2. 人件費、生産義技術を持った技術者
  3. ラインの費用(モデルが変われば改定が必要)
  4. 予備品の費用
  5. サプライチェーンの維持(SCM)

自動車はFOXCONN(鴻海精密工業)のように、1日ですぐにアサインすることは難しいのです。

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