ダイバージェンス(差異、逸脱)とは、下記の2つの現象が同時に起こる逆行現象のことです。
- テクニカル指標(オシレーターのRSIもしくはMACD)の上値が切り下がる一方
- 株価の値上がりが切り上がっている
FX(為替)トレードでよく使われるこの指標は、実は株式にもよく当てはまります。
オシレーターとは、相場の勢いを表すものです。つまり、「ローソク足が上がっているのに、オシレーターが下がっている」ということは、「株価は上がっているけど勢いが弱くなっていること」なので、「トレンド反転のタイミングが近いかもしれない」ということを表しています。
つまり、強気相場でダイバージェンスが発生したときには、売りシグナルになります。
RSIのダイバージェンス
このチャートは、ナスダック総合指数の週足チャートで、過去10年を振り返ると2020年9月の調整相場も含めて、4回ダイバージェンスが発生していることがわかります。
実際、金融危機後の10年を振り返ると、2020年9月の調整相場を除き3回ダイバージェンスが発生しいずれの場合も指数が暴落しました。
- 2011年は▲20.1%
- 2015年は▲18.0%
- 2018年は▲23.9%
このような前例から、2020年9月の調整相場も▲20%前後の暴落を覚悟する必要があり、最悪の場合、底値サポートラインである200SMAの7600ポイント付近まで下落する恐れがあります。この場合、高値から▲37%の暴落となりコロナショック同様のダメージとなることになります。
MACDのダイバージェンス
RSIに比べて反応が鈍いのがMACDです。つまり、鈍いぶん騙しが少ないと言えます。
このチャートは、NASDAQ100指数の直近2年の週足チャートでMACDと比較すると4回ダイバージェンスが発生していることがわかります。
MACDの場合は、ボリュームとチャートを比較して使用しています。
- MACD設定値:12 26 9
プロは、見慣れてくるとローソク足だけで分かるようになるようですが、テクニカル指標で見ると一目瞭然ですね。
ダイバージェンスの使いどころ
ダイバージェンスが出ていたら、必ずどこでも反転するのかというとそうではありません。
天井(レジスタンス)付近または底(サポート)付近になりそうなところで、ダイバージェンスが出ていると高い効果が期待できます。
金融相場は始まったばかり
今回の2020年9月の調整相場では、大きく株価を調整する可能性はありますが、これでハイテク株投資の時代が終わったわけではありません。
なぜなら、金融相場は未だ始まったばかりだからです。
9/15〜16に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)でFRB(米国連邦準備制度理事会)は、ゼロ金利政策の長期化を予想していますから、低金利は株価にとって追い風になりやすいんです。
なぜ、低金利が株価にとって追い風になりやすいのかというと、資本社会のシステムでは金利が下がれば資産価格の期待利回りも低下するからで、すなわちPERの上昇を意味します。
PERが上がると、下記の式のように株価に直接の影響があります。
株価 100ドル = EPS 10ドル × PER 10倍
株価 200ドル = EPS 10ドル × PER 20倍
EPS=一株あたり利益(決算で確認できます)
PER=株価収益率(Finviz、yahooファイナンス、各種証券口座などで確認できます)
具体的には、FRBは今回のFOMCでインフレ率が2%を超えるよう、一定の期間の平均が2%であれば、多少2%を上振れしても直ちに利上げに踏み切らないという考えを示しました。
また、これまでFRBはインフレ率が加速することを懸念して失業率が4%に低下したら予防的に利上げをしていましたが、これも労働市場を総合的に判断して決めるとして、仮に4%を下回っても直ちに利上げに踏み切らないという姿勢に変更しました。
経済サマリーによると、FOMCメンバーの大半が2023年末までのゼロ金利を「予想」しているので、少なくとも2023年末までゼロ金利政策が維持されると見られています。
現在は、米10年債利回りは、ゼロ金利政策の長期化が予想されているので0.6%台と低水準で推移していますが、将来のインフレ率が加速すれば米10年債利回りは上昇します。
つまり、インフレ率が上がれば、米10年債利回りが上昇しPERが下がることで、株価は値下がりしやすくなるということです。
とくにハイテク株は、高PER株が多いので値下がりしやすくなります。