吉利グループ(Geely)は、買収による拡大が特徴
吉利グループの前身はグループのトップである李書福が1986年に創業した冷蔵庫部品のメーカーです。
同社は1997年に四川省にあった倒産寸前の国有小型自動車メーカーを買収し、自動車産業への参入を実現しました。また、2005年にグループ傘下のGeelyブランドを有する吉利汽車控股有限公司が香港証券取引所に上場しました。
吉利の歴史を見てみると、2002年から2010年までの9年間で、吉利は9回のM&Aを行い、4回成功しました。ゼネラルモーターズ(GM)は100年間で8回の買収ということなので、そのM&Aへの積極性がわかります。M&Aは吉利がよく利用する手段であり、豊富な経験を積み重ねて大きくなってきました。
年/月 | 内容 |
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2006 | 上海でロンドンタクシー(以下LTC)の 親会社マンガンブロンズホールディングスと合資会社設立 |
2009 | オーストラリアの自動変速機メーカーの ドライブトレイン・システムズ・インターナショナル(以下LTC) |
2010 | 18億ドルでフォード傘下の乗用車部門のボルボ・カーズ(Volvo Cars) |
2013 | LTCの100%株、2017年にはマレーシアDRB-HICOM集団(以下、DRB) 傘下のプロトン自動車(Proton)49.9%株及び 高級スポーツカーのロータス(Lotus)の51%株取得 |
2014 | 吉利グループ傘下で生産している主要なブランドを GeelyとVolvoに統一し、ブランドと販売チャネルの見直し |
2016 | 若者をターゲットとし、グローバル市場を見据えた新ブランド 「LYNK&CO(VolvoとGeelyの間にポジショニングされる ミドルクラス・カーブランド)」を発表し、2017年の年末に発売 |
2017 | 「空飛ぶ自動車」の設計・開発を手がけるテレフギア(Terrafugia)を買収 |
2018/2 | メルセデス・ベンツの所有で知られるダイムラーの 株式9.69%を親会社の浙江吉利控股集団が取得して筆頭株主 |
2018/6 | ボルボ・グループ(ABボルボ)の株式8.2%を 親会社の浙江吉利控股集団が取得して筆頭株主となった |
2018/9 | デンマークの新興金融機関のサクソバンク買収 |
2019/6 | 吉利傘下のECARX、テンセント傘下の騰訊車聯 (Tencent Auto Intelligence: TAI)と提携合意 |
2019/9 | ダイムラーとともに有人ドローンを開発するボロコプター の株式10%を共同出資で取得 |
2020/1 | ダイムラーと親会社の浙江吉利控股集団はEV化を目指して スマートの事業を統括する合弁会社を折半出資で設立。 同年11月にダイムラーとHV用のガソリンエンジンを共同開発することを発表 |
2020/3 | 「吉利衛星プロジェクト」発足「低軌道衛星」を自ら打ち上げ、 自動運転・コネクテッドカーに必要な高速通信網を整備する方針を表明 |
2021 | スイスのConcordium財団とブロックチェーンの合弁事業を発表 |
2021 | EV専門会社、リンリン・テクノロジーズ(Lingling Technologies)設立 |
2021/1 | 百度(Baidu)との戦略提携、百度ブランドのEVを吉利が製造することに |
2021/1 | 台湾のフォックスコン(Foxconn)との提携 吉利とフォックスコンが合弁企業(JV)を設立し、 世界的な自動車関連企業に製造及びコンサルティングサービスを提供 |
2021/1 | 米ファラデー・フューチャーのEVを受託生産提携 |
2021/1 | テンセントとスマートーカーや自動運転技術で提携 |
2021/1 | 重慶市にAI関連技術の合弁会社を設立 |
2021/2 | 蘇州に自動運転のグローバル研究開発センターを設立 |
2021/2 | スイスのConcordiumとのブロックチェーン合弁事業 |
2021/3 | プレミアムEV開発の新会社「極氪公司」を設立 |
2021/3 | ボルボ・カー、インフォテインメント開発でECARXと合弁会社を設立 |
上場後、海外企業の買収も積極的に行い、吉利グループ傘下に収めています。また、最近ではテック企業などとの事業提携にも積極的です。
吉利のEV事業について
Geelyブランドは、2020年に約120万台の車を販売し、中国全土で販売車数で第5位となっています。
中国国内市場から収益の90%以上を得ており、残りは世界の他の地域からとなっている。
2016年にボルボと合弁会社を設立し、Lynkブランドの車を作り出しました。この新しいブランドは、現代のライフスタイル・ブランドによく似た販売およびマーケティング・アプローチで、若い顧客層をターゲットにしています。
ブランド構成は現在、高級モデルのボルボ、ミドルクラスのLYNK&CO、エントリーク
ラスのGeelyとプロトン、というラインアップに、スポーツカーと合弁電気自動車を加え、主軸
の中国事業の基盤及びに海外事業を強化しています。

吉利グループはボルボを買収後、ローエンドブランドというイメージを拭い、ボルボの技術体制と「最も安全な車」というブランドイメージに頼り、全面的な戦略転換を遂げようています。
2015年に発売され、ボルボ・カーズが開発した「天地」というコンセプトをもとに、吉利汽車の自主ブランド「博瑞」のボディデザイナーは元ボルボ設計部総監・現吉利汽車副総裁Peter Horburyです。
最新EVプラットフォーム「SEA」
2020/09/23にGEELY AUTO GROUP共通であるEVに特化した初のプラットフォームを発表しており、それを活用した最新型の製品が待ち望まれていました。
- 小型車のAセグメントから商用車までカバーする汎用性
- モーターを最大3つまで搭載可能
- かつレンジエクステンダー用の発電エンジンを搭載可能

吉利汽車(GEELY AUTO)の本気EV「Zeeker 001」は発売後、年内分即完売と好評
吉利汽車(GEELY AUTO)は、2021年に電気自動車(BEV)専門ブランドである、「ZEEKR」を立ち上げました。
そして、「ZEEKR」から発売される初めてのBEV(バッテリーEV)として「Zeekr 001」を発表しました。
- クロスオーバータイプ、プレミアムカー
- 最新のテスラモデルYに匹敵する出来の本気EV(航続距離、充電出力)
- プラットフォーム「SEA」を採用
- 価格266000元(約458万円)〜345000元(約594万円)
- 2021年度分が完売(4月注文開始6月時点)
- 予約注文の平均価格335000元オーバー
- 最上級パフォーマンスグレード選択率:40%以上
- ヤマハプレミアムオーディオシェア:80%


吉利傘下のインテリジェントカー開発企業「ECARX」
過去数年間のコンセプトの誇大宣伝の後、車両のインターネット技術と「インターネット × 車」が上陸し始めました。インテリジェントカーとコネクテッドカーのトレンドは止められなくなり、インテリジェントコネクテッドカーは業界の発展のホットスポットになっています。

ECARX社については、Silasさんのツイートで知りました↓
吉利グループ傘下のインテリジェントカー開発企業ECARX(億咖通科技)は、センサー開発やIoVクラウドプラットフォームサービス提供しています。
ECARX社が開発する車載プラットフォーム「GKUI」は、百度(BIDU)のAIロボット「小度」と融合される形で、今後の自動運転車に搭載される予定でのようです。
Geelyは2018年3月にGKUIインテリジェントエコシステムをリリースしました。この自作システムは、クラウド1つ、デスクトップ1つ、ID 1つ、アプリケーションエコロジーの4つの部分で構成されています。
マップ、エンターテインメント、車の制御、生活、スマートホームなど、オープンでさまざまなアプリケーションパートナーを紹介します。
業界で最もオープンなアプリケーションエコシステムの作成を目指して、AlibabaのAutoNaviナビゲーション、iFlytekの音声認識、5GネットワークへのZTE接続、Ximalaya Radio、Tencentソーシャルネットワーク、JD Smart Home、高速データクエリ、Guahao WeDoctor医療サポート、Babytree児童教育、及びその他の革新的なアプリをサポートしています。
GKUIには次のような企業群が参画しています

Volcano Engine、Huawei Smart Mobility、Baidu Apollo、Tencent Autolinkとソフトウェアレベルで協働しています。
ロータスLotusにも、ECARX社(吉利傘下)と音声認識技術で有名なCerence 社の提携によるボイスアシスタント機能を搭載予定
Lidarシステムを開発する、Luminar($LAZR)と提携強化、Zenseact社(ボルボ子会社)は自動運転ソフトウェアソリューションを開発し、ECARX社はIoVエコシステムのオープンプラットフォーム構築を担当します。
吉利グループの宇宙事業
吉利グループの宇宙事業については、アホドックさんのツイートでまとめられています↓
そのほか各詳細情報については、吉利グループについて詳しいSilasさんのNoteでまとめられています↓
業績



中国株に投資の注意点
中国株へ投資できるマーケットとしては、香港市場があります。
注意点として、中国株は1株から購入できる米国株と違い、単元株(1回で取引できる最低株数のこと)が100〜1000株と決まっていて銘柄によって異なります。
USドル(104円/USドルの場合)265ドル × 104円 = 27,560円
香港ドル(14円/香港ドルの場合) 251Hドル × 14円 × 200株 = 702,800円
米国株取引 | 中国株取引 | |
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通常取引(ザラ場) | 現地時間で9:30~16:00 | 前場 : 現地時間9:30~12:00 後場 : 現地時間13:00~16:00 ※休憩時間 : 現地時間12:00~13:00 |
1.寄付値の決定方法 | プレ・マーケット (現地時間 8:00〜9:30) | プレオープニング・セッション (現地時間 9:00~9:30) |
2.引値の決定方法 | アフター・マーケット (現地時間 16:00〜20:00) | クロージング・オークション・セッション (現地時間 16:00~16:10) |
3.受渡日 | 約定日から起算して3営業日目 | 約定日から起算して3営業日目 ※国内約定日・受渡日は日本および現地(香港) 両方の営業日である日にもとづきます。 |
4.一般的な単元株数 | 1株 | 100〜1000株 |
5.配当金の権利確定日 | 発行会社の決算日 | 毎年変わる |
6.値幅制限 | なし | なし(ストップ高・安もなし) |

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