企業について、サクッと把握
深掘り(公式資料より、ビジネス、業績について )
以下のポイントに沿って、公式資料から抜粋して深掘りしていきます。
マーケット
世界全体の不妊治療の市場規模は、2018年の約15億ドルから2023年には22億ドルに成長し、年平均で約8%ずつ成長するとみられています。
妊娠率が低下したことや、各種の不妊治療オプションの知名度が上昇したことが、市場成長の一因となっているようです。
治療コストの高さや、政府の厳格な規制などが、市場成長の主な抑制要因となっています。
また、中国が三人までの子供を許容する規制緩和を行うことも、追い風となりそうです。
不妊治療に対するニーズ
不妊という課題を抱えている家庭は多く、次のようなニーズがあります。
- カップルの8人に1人は不妊治療が必要としている
- ミレニアル世代の8.1%が LGBTQ +であり多様性を受け入れる現代で新たな取り組みが必要
- 不妊の発生率は高く成長し続けており、女性の出産適齢期を超えて、出産の高齢化が顕著になっている
「不妊に悩む人は8人に1人」なので「糖尿病の11人に1人」より多いんですね。
ユーザー、顧客
Progynyは現在、フォーチュン500社の上位10社のうちの3社を含む、20以上の業種の米国内の80社以上の自家保険事業者にサービスを提供しています。
2019年時点のユーザーは、高成長産業と成熟産業の両方で業界をリードしており、従業員数1,000人から250,000人までの規模で、140万人の被保険者を抱えていました。
2020年時点のプロジニーの顧客基盤は、25業種130社に及び、210万人の従業員の患者をカバーしています。その顧客は、マイクロソフト(MSFT)、グーグル(GOOGL)、ウーバー(UBER)、ロシュ(OTCQX:RHHBY)、ペイパル(PYPL)、ニュースコープ(NWSA)、ユニリーバ(UN)など、各業界のリーダー的存在を含みます。
「Google」「Facebook」「Microsoft」の3社で全体の41%を占めています。
ソリューション(テクノロジー、プロダクト)
不妊治療について
不妊治療には、タイミング法や、人工授精、体外受精など原因や状況によって、治療方法は様々です。
従来も同様の福利厚生サービスはありましたが、補償額が低く体外受精など多額の費用がかかる不妊治療をカバーしきれていませんでした。
プロジニーはこのような、高額治療もきっちりとカバーしており、非常に注目すべき点であると思います。
日本でも、不妊治療を受ける方は増加していますが、保険適用外の治療も多いため、一般的に費用が高額になる傾向にあります。例えば、体外受精は、保険適用外で1回あたりの費用が50万円前後かかると言われています。
プロジニーによると、不妊治療には約7万ドルかかるということです。
不妊治療に対するアプローチは様々なため、プロジニーも個人のニーズに合わせた治療方法が選択できるように、次のようなオプションが選べるようになっています。
- 「IVF」体外受精
- 「Egg Freezing」卵子冷結保存
- 「Surrogacy」代理母出産
- 「Adoption」養子縁組
また、不妊治療中に必要かつ適切な薬を提供するために、薬局サービスである”Progyny Rx”を提供しています。
実績
プロジニーは不妊治療に対して高い実績を上げています。
下記グラフを見て頂くと、「miscarriage rate(流産する確率)」が全国平均より45%減少、「live birth rate(妊娠する確率)」が全国平均より26%高いなど、様々な指標で実績を上げていることがわかります。
ビジネスモデル
企業が優秀な人材を引き付けるためには、給料だけでなく、福利厚生なども充実させる必要があります。
下記の写真は、プロジニーによると、手厚い不妊治療の福利厚生を受けるためなら、70%近くの人が積極的に転職すると考えているというデータもあるようです。
こういった分野の福利厚生は、撤廃しようとすると従業員や社会からの大きな反発を受ける可能性が高く、一度契約されれば、簡単に解除されることは少ないことは、そのサービス継続率はほぼ100%となっていることからもわかります。
コンペティター(競合)
業績
売上成長(損益)
プロジニーは起業(2016年)わずか2年で、売上1億ドルを達成した急成長している企業で、2019年には上半期だけで1億ドルを超えており、損益も2019年上半期には黒字化を達成しています。
成長率もYoYで、2年連続110%以上と驚異的な成長力ですが、2020年には売上成長が50%と鈍化しています。
バランスシート、キャッシュフロー
今後の業績見通し
どちらの評価でも、2020〜22年にかけてお大きな成長が期待できるようです。
この記事の情報ソース
↓公式のSec.gov資料
↓公式のIR資料
↓その他ツールサイト